ご当地アイドル:ブームに陰り? 茨城県内2組が解散
毎日新聞 2015年11月26日 10時45分(最終更新 11月26日 10時57分)
地域をアピールするため茨城県内各地で結成された「ご当地アイドル」が今、転換点を迎えている。すでに2グループが解散したほか、活動を続けるグループもメンバーの確保に悩む。果たして生き残ることはできるのか。【中里顕】
水戸市内の空き店舗で11月上旬の夜、「水戸ご当地アイドル(仮)」のメンバー5人が軽快なリズムに合わせてステップを刻んでいた。オリジナル曲を中心に週3回、1回1時間ほど歌や振り付けを合わせ、週末のイベントに備える。
同グループは2012年7月、地元商店主ら有志の発案で結成された。友人の紹介で昨年11月に加入したリーダーの高校2年、りまさん(17)は「ファンの皆さんが応援してくれるので続けている」と笑顔を振りまく。受験勉強の合間に活動するメンバーもいる。
結成時、チラシや新聞広告でメンバーを募集したところ、87人が集まり、週末は各地のイベントから引っ張りだこだった。
イベント出演は現在も多いが、悩ましいのはメンバーが抜けていくこと。中心は高校生で、進学や就職を機に「卒業」するケースが多い。結成当時から既に10人以上のメンバーが交代した。現在は随時、募集しており、選考は書類と面接のみだが、応募があるのは2〜3カ月に1人だ。
運営の担当者は「今後は大規模なオーディションで募集することを検討したい」と「ご当地アイドル」のともしびを消さない考えだ。同時期に結成された5人組の鹿嶋市「かしま未来りーな」も事情は似ており、年2回のオーディションを3回に増やすことを検討している。
アイドルグループ「AKB48」やご当地アイドルを扱ったNHKのドラマ「あまちゃん」(2013年)の人気で県内でも自治体や商工会議所の支援を受けて続々と誕生した。だが、今年8月、土浦市の「T−Princess(ティープリンセス)」は3年間の活動期間を終え、10月には下妻市の「しもんchu」が解散した。
「しもんchu」の運営に携わった地元の工務店経営、内山学さん(39)は「直近ではほとんど応募する人がいなかった。アイドルをやりたい女の子は少なくなっている」とみる。
「ブーム」に陰りも指摘される中、牛久市では今年4月、女性8人による「ノノキス」が結成された。グループ名は漢字の「牛久」を分解して付けられたという。現在は市内のイベントで歌やダンスを披露している。街のアピールにつながるのか、効果も問われそうだ。