中国国家統計局の発表は、一見すると中国が金融大国に成長しつつあることを示すデータに思えた。中国は人民元の国際化、上海への金融自由地帯の設置といった金融改革を数年前から行ってきたためだ。世界の製造業を掌握した中国が、米国が支配する金融業でも躍進するのなら意味深長だ。だが、詳しく見ていくうちに好奇心が不安に変わった。
中国国家統計局は先月、7-9月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期に比べ6.9%増加したと発表した。業種別の成長率も併せて公表、10業種余りが4-8%と低調な中で、唯一高成長を遂げた業種があった。金融業だ。前年同期に比べ、実に16.1%成長した。目標の7%維持(保七)はかなわなかったとはいえ、市場予想を上回る6.9%のGDP成長率を達成できたのには、金融業の力が大きかった。
今年6月末以降、中国は株価暴落に見舞われたが、金融業の何が急成長したことで経済が持ち堪えられたのだろうか。韓国銀行(中央銀行)のGDP分析専門家に尋ねたところ「銀行の融資が15.4%も増えたため」という答えが返ってきた。世界的な金融危機と欧州債務危機のあおりで実体経済が低迷するや、中国政府が最後の手段であるカネのパワーを使って経済を支えたということだ。実際に、中国の習近平国家主席が先月の訪英中に「今年の7%成長は十分可能だ」と発言すると、中国人民銀行(中央銀行)はすぐさま追加利下げに踏み切り、市中に資金を供給した。
金融緩和政策は手術の痛みを和らげるためのモルヒネ注射にすぎない。患者の生死はモルヒネ注射ではなく手術が成功するかどうかにかかっている。中国経済における手術とは、習主席が繰り返し提唱してきた国有企業改革、中国から欧州までをインフラでつなぐ一帯一路(新シルクロード)構想、都市化を通じた新たな内需創出だ。だが、国有企業改革は既得権層の壁に阻まれており、一帯一路と都市化には長い時間がかかる。それゆえ、本来なら成長率低下という痛みを乗り越えながらスピーディーな体質改革を図らねばならないが、中国は成長の目標を定めておいてこれを後押しする力が足りなくなるや、カネで経済を膨らませているのだ。