【寄稿】ソウルの新愛称への懸念

【寄稿】ソウルの新愛称への懸念

 ソウル市の新しいキャッチフレーズをめぐってはさまざまな意見や指摘が飛び交っている。これは単にソウル市に限った問題ではないということ、そして一度定着すればそれを見直すのに多くの経済的、社会的損失をもたらすことに起因している。そのためこれを決めるに当たっては慎重に慎重を期さねばならない。さまざまな指摘がなされ、議論が起こる背景には、ソウル市のキャッチフレーズを長く使いたいという市民や国民の思いがあることを忘れてはならない。

 ある都市のキャッチフレーズはその都市のシンボルであり、顔であり、なおかつその都市の文化的・知的レベルの尺度にもなる。そのためソウルのキャッチフレーズは国としての格や経済面にも直接的な影響を及ぼすことを忘れてはならない。大韓民国はすでに国際的にも一定の存在感があるため、その首都であるソウルのキャッチフレーズを決めてこれを世界に広めるとなれば、単に市民の多数決という単純な発想や方法では誰からも理解や納得は得られないだろう。

 長い間アーティストを育てる教育に携わってきた者として、幾つか意見を提示したい。まず第一に国際的な言語感覚の問題だ。キャッチフレーズは最初にそれを聞いた時の印象が大切だ。英語であれば発音がしやすいものでなければならず、また一定のリズム感がなければならない。さらに親しみやすさがあって覚え安いということも重要だ。これらの条件を満たしてこそ、人々の記憶に長く残り、一定の余韻を伴いながら世界に広まっていくだろう。そう考えると今回の「アイ・ソウル・ユー(I. SEOUL. U)」は文法の問題はさておき、発音が不自然で英語特有のリズム感もなく、また新しい単語を無理に作り上げた感も否めない。

 2番目に独創性と審査の問題だ。「I. SEOUL. U」はソウルの文化、親しみやすさ、個性、斬新さ、さらには外国人に好感を抱かせる心理的な仕掛けが欠如しているだけでなく、参考とした他都市のキャッチフレーズの本質も見逃している。優れたキャッチフレーズは単純明快で、無用な言葉や説明がなくとも誰もが共通のイメージを持てるものでなければならない。

 今回のように共感の得られないものは最後まで押し通すのではなく、少しばかりソウル市のメンツがつぶれたとしてもあらためて計画を立て直してはどうか。そして誰もが本当に愛情を込めて口にできるソウル市の新しいキャッチフレーズをもう一度作り直してほしいものだ。

アンドリュー・チャン教授(ニューヨーク・スクール・オブ・ビジュアル・アーツ)
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