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天才ブログ

メンタルヘルスとエンタメ話題を。

【1分で読める短編】妖怪ひとりぼっち

エンタメ 短編 その他

以前、デタラメに本のタイトルを100タイトル考えてみました。

その中から今日は一つの物語を書きました。お話しします。

妖怪ひとりぼっち

妖怪ひとりぼっちは毎日一人で過ごしていました。
来る日も来る日もひとりぼっちでした。
部屋の中から、窓の外を眺めていました。
向こうにある木を眺めていました。

ある日その木の下に人が座っているのに気づきました。

来る日も来る日もその人は木の下に座っていました。
妖怪ひとりぼっちは人と関わるのが苦手でした。
だけどその人のことが気になって仕方ありませんでした。 

妖怪ひとりぼっちは気になって
ついには部屋を出てその人に話しかけました。

 

あなた ここでずっと座ってますね。
何をしてるんですか?
あなたも独りなんですか?

そうです。 私は独りでここに座っています。

あなたは寂しくないですか?

いいえ、寂しくありません。

 

次の日もその人は木の下に座っていました。
妖怪ひとりぼっちは今度は水を持って行きました。

よければお水を飲んでください。

ありがとうございます。いただきます。

次の日はパンを持って行きました。
自分で焼いたパンを持って行きました。

お腹が空いたら食べてください。

ありがとうございます。いただきます。

 

妖怪ひとりぼっちは毎日あれこれ木の下の人に何かを持って行きました。
人に何かをすることがとてもうれしく思えてきたのです。
その日はおにぎりを持ってきました。

お腹が空いたら食べてください。

ありがとうございます。いただきます。

あなたがこうして、私が持ってきてくれた物を召し上がっていただくだけで、私は十分幸せなのです。お礼を言うのはこちらの方です。ありがとうございます。

それはよかった。あがとうござりまズラ。

次の日も窓から木の下を眺めました。
しかし、いつもの木の下の人がいませんでした。
妖怪ひとりぼっちは慌てて家を飛び出し、木の下に駆け寄りました。

 

いないいない、木の下の人がいない。
私の親切を受け取ってくれる人がいなくなってしまった。
私は寂しくて仕方がない。
どうしていなくなってしまったんだ。
人に親切になんてするんじゃなかった。

 

妖怪ひとりぼっちはその場で泣き崩れてしまいました。

 

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