メディアでも何かと波紋を呼んでいるマタニティーマーク。
付けたほうがいいのか、付けないほうがいいのか。
迷った末の私の選択は「見えないところに付ける」でした。
妊娠中も仕事を続けており毎日電車に乗っていましたが、体調はよかったので特別他人に気を使ってもらう必要はなく、「妊婦様」と思われてトラブルに巻き込まれることを避けたかったためです。
とはいえ、事故や突然の体調不良の際に妊娠中だと気付いてもらえなければ困ることもあるかもしれません。
必要な場合のみ妊娠中だと知らせたいという思いから、バッグの持ち手の内側に付けることにしました。
そして、なんとも小賢しいのですが、優先席に座ったときだけ見えるようにしていました。
ある日、会社の先輩から「マタニティーマーク付けているの?」と質問されました。
事実の通り「見えるところには付けていません」と答えると、我が意を得たりと言わんばかりの顔で「よかった! あれ付けている人見ると、席譲れって圧力かけられているみたいで腹立つんだよね」と言われたのです。
その先輩は未婚の女性ですが、それほど気が強いタイプではありません。
ネット上でそのような意見を目にしたことはありましたが、実際身近にそう考える人がいること、そしてそれを妊娠中の私に言う人がいるのだと衝撃を受けました。
そして、自分の選択は間違っていなかったのだろうとほっとしました。
しかし、ある日そのためにちょっとしたトラブルが起こってしまいました。
いつものように、通勤電車のなかでバッグの内側にマタニティーマークを付けて優先席近くに立っていました。
私の前の3人掛けには、サラリーマン男性、大学生風の女性、年配の男性が座っていました。
斜めの位置にいた年配男性から、内側に付けたマタニティーマークが見えたのでしょう。
突然、真ん中に座っていた女性に向かって「若いんだから席を譲りなさい」と言い、次に私に「もっと見えるところに付けておかないとダメじゃないか」と言いました。
女性は席を立つと、その男性と私を見て無言で離れて行ってしまいました。
私はといえば、一瞬何を言われているのかもわからず「大丈夫です」とも「ありがとうございます」とも言うことができませんでした。
気まずい空気の中、空いたその席に座って居心地の悪い思いをしました。
正直にいえば、この男性に対して「自分が譲ってくれるわけでもないのに余計なお世話だ」と腹立たしい思いもありました。
優先席近くに立っていたのは、降車駅のエスカレーターに近いからというだけで妊娠以前からの習慣です。
できれば座りたいという思いも妊娠前から変わりません(笑)。
まだお腹も目立っていない頃でしたから、譲ってもらえるとは思ってもいませんでした。
でも、バッグの内側とはいえ、角度によっては見えるところにマークを付けていたことは事実です。
そして、それを見てしまったら気まずい思いをする人もいることでしょう。
混雑する通勤電車、座りたいのは皆同じです。
それ以降、バッグの内側に付けるのはやめて、定期や携帯電話と一緒に内ポケットに入れておくことにしました。
日常的には見えなくても、妊娠中だと気付かれなくてはならない何かがあれば、おそらく見つけてもらえるだろうと。
私の夫は「妊娠中かもと思っても、マークを付けていないと譲っていいのかわからない」と言います。
妊娠していた私を近くで見ていたから、少しはその大変さをわかってくれているのかもしれません。
妊娠を経験していない人もいますし、経験していても労わる必要はないと思う人もいるでしょう。
マタニティーマークを付けている女性を見てどう思うかは、人それぞれです。
いずれにしても、妊婦自身が自分とお腹の子を守らなくてはいけないのだと、妊娠中、外では日々気を張っていました。
著者:Mayu Ken
年齢:31歳
子どもの年齢:11ヶ月
雑誌編集者・ライター。27歳で結婚、30歳で第一子(男児)出産。趣味は旅行、読書、ドラマ観賞、フィットネス。興味があることはインテリアと女性のライフスタイル。産休中に整理収納アドバイザー2級を取得。現在の悩みは腰痛とお酒が飲めないこと。
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