「うちの会長は1995年まで個人資産が世界一で、300兆ウォン(約32兆円)もの金を動かしていた日本の西武グループ会長の一人娘と結婚し、娘婿に当たる」
今年8月26日午前11時ごろ、釜山市中区中央洞のビル8階。全国から200人ほどの投資家たちが集まって行われた事業説明会で、冒頭のような説明がなされた。教育担当者P容疑者(51)は「韓国西武グループは国内10社の系列会社と2つの法人を傘下に持つグループだ」と述べた。
続いて、会長だというK容疑者(60)についての紹介があった。「会長は慶南中学・高校を経て延世大学政治外交学科を卒業後、MBCに公開採用19期生として入社し、ロンドンや日本、フランスで特派員を務め、1992年から9年間、大統領府担当記者も務めた。父親は釜山地裁所長を務め、また3人の兄が法曹界におり、息子2人は日本の西武百貨店の社長と常務だ」とのことだった。だが、これは最初から最後までうそだった。事業説明会の会場周辺には、与野党の代表や警察庁長官、報道機関のトップなど、韓国中の名だたる人物からの花環数十個が並んでいた。これもまた、インターネットで検索した有名人の名前を借り、作成した偽物の花環だった。
このような形でうそを並べ立てたグループは、サルノコシカケの輸出事業に投資すれば、毎週13%の利子を10週間支払うとだまし、投資家を集めた。グループはこのような形で組織を拡大し、今年2月から8月までに、投資家は2274人、出資金は640億ウォン(約68億円)に達した。K容疑者らは毎夕、出資金の13%が入金された初期の投資家たちの通帳の取引明細を見せたり、事業の現場の見学も実施したりした。今年8月の事業説明会で、出資金の50%を支給するというプロモーションを行った際には、3日間で100億ウォン(約10億6800万円)を集めた。
警察は「被害者の大部分が高齢者や主婦で、日本の大企業オーナーの娘婿が運営する財閥だという話だけを信じた」と説明した。釜山中部警察署は4日、問題のグループの会長K容疑者ら14人を逮捕し、本部長や支社長など30人を書類送検するとともに、隠された出資金などの調査を行っている。