10月の半ばから11月は大学の学祭シーズン。
普段は授業をサボってアルバイトに励んだり遊んでいたりしている大学生も、全然無関係なのにちらっと覗いていくかーというかんじの近所の人も、たくさんの人で賑やかにしている。
構内には銀杏並木がある大学が多くて臭い臭いと言いながら銀杏を避けて歩くのは秋の風物詩だ。友人は「あのみんなが踏み潰してる銀杏、拾って持って帰って焼けば食べれるのに。もったいないなあ」とよく言っている。
現役の茶道部員だった頃は、この季節は茶会シーズンと呼んでいた。こんな書き方をする時点で、自分はもう茶道部を退してしまったんだなあと少し寂しくなるが時の流れははやいものだ。
茶会にもシーズンなんてあるんだね!と驚かれるけれど、本当は茶は日常とともにあるだけなので一年365日お茶をやってもかまわない。便宜上「桜のお花見の時期と、紅葉の紅葉狩りの時期は茶会のシーズンだよ」と答えている。まあ間違ってはいない。あとは強いて言えば季節の変わり目だろう。
東京農業大学の茶会
なんとなく、自分が行ったお茶会について書くのを憚っていたところがあるのだけれど、せっかくなので東京農業大学の茶会について書きたい。
東京農大の学園祭「収穫祭」は、他大学のタレントによる集客とはまったく異なり、100%東京農大生による、まじりっけなしのハンドメイド。
しかも世田谷・厚木・オホーツクの3キャンパス合計でなんと15万人以上が訪れるというビッグイベントで、各種メディアが調査する「学園祭が盛り上がる大学」ランキングの常連なのです。
盛り上がりの秘密は、東京農大テイストあふれる独自企画。超有名な野菜無料配布をはじめ、行列必至のハチミツ、個性的な模擬店など、お腹も好奇心も大満足のイベントが目白押しです。
もちろん、受験生へのおもてなしもきっちりご用意。当日は学生の研究成果の展示(文化学術展)のほか、 キャンパスごとに工夫をこらした入試説明会を開催します。
この時期は、受験勉強もそろそろ追い込みでしょうが、自分の目でキャンパスを確かめるとやる気も出ます。ぜひとも足を運んでみて下さい。
東京農大の収穫祭は大根踊りなどが目玉だったりして人もたくさん集まっているのだけれど、茶道部の茶会を目当てに行った。
特に記述すべき点は、薄茶盛り(抹茶を入れておく容器)に盛った抹茶が丁寧に整えられているところ。それはもう目を疑うくらいに綺麗。
茶碗とは違って、薄茶盛りはお客様にじっくり見られる可能性が低いポジションにある道具で、ふとすると誰もその細やかな仕事ぶりに気づかないこともあるはず。それなのに、なだらかな山の部分がなめらかになっている。
そして、灰山も同様。灰山は、風炉と呼ばれる、炭を置くために盛った灰の部分なのだけど、その山もきっちりと整えてある。
そのこだわりっぷり。
プロと素人の差は、意識が行き届いているかどうかだ。と思う。
日本建築は表からは見えない屋根裏の装飾に力を入れたりしているし、本当に繁盛するお店はトイレがとても綺麗。ピカピカに掃除されている。
細部にこだわる余裕があるというのがプロとして大切なことではないか。
当然のことながらお点前も美しいし、お菓子も食べ応えがあっておいしいし、お茶も服加減がちょうどいい。
行き届いた茶会で身も心も洗われる気持ちだった。