恐らく僕は掟上今日子の備忘録を他の人達と全く違う視点から見ていると思う。
今日子さんは記憶が1日しかもたないという病魔を抱えている故、通常の社会生活を営むのがかなり困難だ。
食べた朝食も、交わした会話も、出会った人も、解決した事件も、次の日にはまるでその出来事が全てなかったことかのように綺麗さっぱり忘れてしまう。
どんなに良いことがあっても彼女の記憶には残らない。
どんなに嫌なことがあっても彼女は忘却してしまう。
積み重なる日々の記録は記憶に残らず、顔にシワだけを刻んで時間が流れていく。
個人的な主観になるけど、記憶が1日しかもたないという病は四肢欠損よりもハードなのかもしれない。
そんな毎日をどうして楽しく過ごせるというのだろうか。
しかし今日子さんはそのハンデを物ともせず、探偵として周囲から一定の評価を受けている。
自分の抱えるハンデを、即日現金払い、即日解決というスタンスを取ることにより見事探偵業を真っ当している。
彼女のこの強さはなんだろうか。
どうして人生に希望を見いだせるのか。
今日子さんほどじゃないにしても、僕もハンデを抱えていたりする。
病と言ってもいいかもしれない。
自分が抱えるハンデに関しては、誰にも言わず墓場まで持っていくつもりではあるけど、しかし今日子さんのような強い人間を見ると、「俺は何をウジウジやっているんだ」と自分に憤りを感じてしまう。
僕は、社会で生きるための必要な能力が人より劣っているのは紛れも無い事実であり、一時は死ぬほど悩んだものだ。
「なんでみんなが普通にできることが僕にはできない!」
しかしいくら悩もうとどうにかなるわけでもなく、闇が深くなるだけだった。
周りの人間と違う自分を客観視して酷い孤独感に苛まれたりもした。
スティーブ・ジョブズは幼少期に、明らかに自分は他の人と何かが違うと感じたらしい。そしてジョブズは「自分は選ばれた特別な人間なんだ」と思ったそうだ。
でも僕にはそんな強さは当然ない。周囲と自分に大きなズレを感じた時、「やっぱり自分は異常なんだ」とネガティブになっただけだった。
だからといって現実逃避したりして自分が抱える病から目をらしてはいけない。
事実は事実として受け止めなきゃいけないし、必要以上にネガティブ思考に陥るのはナンセンスだ。
僕が一番考えなきゃいけないのは、そんな異常な自分でも勝てる場所を探すことだ。
前向きになれとは言わないけど、少なくとも自分のハンデにウジウジ悩んでいても何にもならないわけで、じゃあ自分が勝てる場所はどこだろうか?自分が輝けるポジションはなんだろうか?と、思考をシフトするほうが賢明だ。
まあそんなこんながあって、僕は就職するのを止めたわけだ。
会社員は決して自分が輝ける場所じゃないとわかってしまったから。
今日子さんは探偵という自分の勝てるポジションを見つけたわけで、僕も変に悩まず自分の勝てるポジションを探し続けたい。
このまま異常な自分に悲観して朽ち果てたくはないからね。
かなりくら〜いエントリになってしまったけど、掟上今日子の備忘録面白いし5話も楽しみです。
本も買っちゃいました。
ではではお後がよろしいようで。
掟上今日子の備忘録(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)
- 作者: 浅見よう,西尾維新
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/16
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