2015年10月24日12時39分
長崎県平戸市の生月島で今月、かくれキリシタンの信者組織「垣内(かきうち)」が一つ、解散した。禁教をくぐり抜け、450年伝えられた信仰は、地域の人口減少と高齢化で風前のともしびだ。
10月4日午後、平戸市生月町博物館・島の館に、年配の男女16人が数台の車に分乗して集まった。軽トラックから背丈ほどの木製のタンスのようなものを下ろすと、館内の一室で長机の上に据えた。
タンスのようなものは「オコクラ」と呼ばれ、かくれキリシタンが「御前様(ごぜんさま)」と呼ぶご神体を納めている。観音開きの扉を開けると、それが見えた。聖母子と2聖人の「お掛け絵」だ。青い雲が彩色されたばかりのように鮮やかだ。
お神酒と果物を供え、16人は声をあわせてオラショを唱えた。その様子を撮影した学芸員の中園成生さん(52)は、オラショが終わると「おつかれさまでございました。博物館で大切にお守り致します」とあいさつした。
16人は上川(かみがわ)垣内に所属するかくれキリシタンの信者たち。この日、解散する垣内が守ってきた信仰用具を博物館に寄贈しに来た。
垣内の重要な役職である「御爺様(おじいさま)」を務めた経験があり、垣内の代表格の田渕武明さん(78)は取材に「寂しい。もっと拝み続けたかった」と悔しそうな表情を浮かべた。
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