特集、その他
QNAPのNASがさらに見やすく、使いやすく、そして楽しく
〜最新OS「QTS 4.2」の進化を紹介/ホームユーザー編〜
text by 清水 理史
(2015/10/14 11:25)
QNAPのTurbo NASシリーズに、最新OSとなるQTS4.2がリリースされた。フラットデザインのUIなどが目を惹くが、Chromecastへのメディア配信など、マルチメディア機能などが強化され、より使いやすく進化している。
今回はそうした機能強化の中から、ホームユーザー向け機能をピックアップ、詳細に迫ってみたい。
なお、QTS 4.2ではビジネスユース向け機能については別記事でじっくり解説する予定。こちらについてもご期待いただきたい。
QTSとはQNAPのNAS用のOS
Windows 10がリリースされ、iOSが9に進化し、OS Xも登場と、今年は比較的大きなバージョンアップが続いているが、そんな流れの中、QNAPのNASにも最新のQTS 4.2がリリースされた。
QTSは、QNAPのTurbo NASシリーズに採用されているOSだ。通常、NASやルーターなどを動作させるソフトウェアは、「ファームウェア」と呼ばれることの方が多く、基本となるOSだけでなく各種機能を組み込まれた状態で提供されるが、QANPのTurbo NASなど、海外製のNASは豊富なアプリをユーザーが追加して利用することも多いため、どちらかというとPCなどのOSに近い存在となっている。
実際、QNAPのQTSも、NASとしての用途にカーネルが最適化されているものの、LinuxがベースとなっているPCに近い構成となっている。この上に、ダウンロードで自由に追加できるアプリを利用することで、リモートアクセス、マルチメディアなどの各種機能が利用可能となっている。
このため、OSとなるQTSの進化は、NASとしての性能や機能に大きな変化をもたらす場合が多い。実際、過去のQTS3.xでは、サイドバーのメニューから各種機能を選択して設定するというオーソドクスなWebスタイルのGUIが採用されていたが、現状のQTS4.xではデスクトップとアイコンを模したモダンなスタイルへと変貌を遂げている。
今回のQTS 4.2は、従来のQTS 4.1(4.1.2)と比較すると、そこまで劇的に見た目は変更されていないが、それでもGUIがリニューアルされたうえ、各種マルチメディア機能の強化、スナップショットなどのストレージの管理機能の追加など、比較的大規模な改修がなされたバージョンとなっている。
NASの主たる目的は、もちろんファイル共有であるが、スマートフォンからの利用やテレビへの接続など、最近ではその用途が広がりつつある。これら、時代が求めるニーズをOSたるQTSの進化と、その上で動作するアプリのアップデートによって、スピーディに満たしてこうという発想だ。
旧来の「ファームウェアのバージョンアップ」という見方をしてしまうと、不具合の修正やセキュリティ対策的な意味合いしか見いだせないが、むしろWindowsやiOS、OS Xが進化するのと同じような次世代感すら感じることができるのが、今回登場したQTS 4.2と言えるだろう。
多岐に渡るアップデート
それでは、QTS 4.2の詳細に迫っていこう。
まず、最新のファームウェアを適用できる対象だが、基本的にすべてのモデルとなる。同社のNASのラインナップは、1ベイのリーズナブルなエントリーモデル(TS-212Pなど)から、24ベイの企業向けラックマウントモデル(SS-EC2479U-SAS-RP)まで、幅広いラインナップがあるが、どのモデルでも利用可能となっている。また、過去に販売された旧モデル(4ベイのTS-412など)でも利用可能だ。
後から追加するアプリの中には、特定のモデルでのみ動作する機能(仮想化など)もあるが、基本的なOSは全モデル共通となっているのもQNAPのNASの特徴だ。これにより、純粋にベイの数やパフォーマンスなどでモデルを選択できるうえ、購入後も最新の機能を継続して利用できるため、OSの違いを気にすることなく、いつでも製品購入を検討できる。
具体的なアップデート内容は、以下の通りだ。大きく、UI、マルチメディア、ストレージ、仮想化、セキュリティ、各種ユーティリティの6項目が改善されており、その内容は多岐に渡る。
前述した通り、今回のバージョンアップは「.1」から「.2」へのマイナーバージョンアップだが、UIも含め、比較的、いろいろな部分に手が加えられている印象だ。
| UI | 一新されたデザイン | フラットデザイン(読み込み高速化)、半透明のログインウィンドウ、新しいごみ箱 |
| マルチメディア | メディア配信 | Bluetooth、USB、HDMI、DLNA、Apple TV、Chromecast対応 |
| PhotoStation | インターフェイス刷新、ギャラリーモードと管理モードを分離、フェイスタグ | |
| Music Station | Bluetooth機器などへの配信に対応 | |
| HD Station強化 | マルチタスク対応、タスクバーによるアプリ切り替え、Skype、Libre Officeなどの新アプリ | |
| ストレージ | スナップショット | ストレージプールでスナップショットを1024作成可能,。スケジュール、クローン、レプリカも可能 |
| キャッシュ | SSDキャッシュ対応。読み取り、RAID1/10の書き込みキャッシュに対応 | |
| バックアップ | バージョニングに対応 | |
| 仮想化 | Virtulization Station | NAS上の仮想マシンでWindowsなどを動作させることができる |
| Container Station | コンテナ型仮想化(LXC、Docker)でCentOSやMongoDBなどをコンテナとして稼働させることができる | |
| Vmware vSphere Web Client対応 | vSphere Web Clientから一元管理可能 | |
| セキュリティ | 2段階認証 | Google Authenticatorなどの認証アプリによる2段階認証 |
| 暗号化 | ボリュームベースに加え、フォルダー単位でのAES256ビット暗号化に対応 | |
| VPNサーバ | L2TP/IPsec対応 | |
| 各種ユーティリティ | FileStation | クラウド統合で、Office Onlineでファイルを開いたり、OneDriveやGoogle Driveを直接参照可能 |
| myQNAPCloud | 複数NASを統合管理。SSLを購入してHTTPSアクセスも可能 | |
| Qsirch | NAS上のファイル検索 | |
| Qsync | 各ユーザーの同期を中高管理し、紛失時のリモートワイプも可能。ローカルファイルから共有リンクを送れる。チームフォルダーで共同作業 | |
| GmailBackup | Gmailのデータをバックアップ | |
パーソナルユースでの注目はマルチメディア機能
上記、アップデート内容の中で、個人ユーザーの注目となるのは、やはりマルチメディア関連の機能だろう。家庭などでは、NASの主な用途が写真や動画、音楽などのメディアの保存先となるため、これらをどこまで快適に、便利に扱えるようになったのかが気になるところだ。
今回のQTS 4.2のマルチメディア機能の進化は、データの保存から、保存したデータの活用への用途の拡大だ。
具体的には、メディアの配信機能が強化されている。従来OSでもDLANサーバー機能を使って、DLNA対応のテレビなどからNAS上のメディアを再生することができたが、今回のQTS 4.2ではBluetooth、USB、HDMI、DLNA、Apple TV、Chromecastと、さまざまなデバイスを活用してメディアを再生することが可能となっている。
たとえば、BluetoothスピーカーやUSBスピーカーなどを介してNASから直接音楽を再生したり、File StationやPhoto Stationなどのなどのアプリからメディアを選択して出力先を選ぶことで、Apple TVやChromecastで写真やビデオを再生することなどができる。
また、HDMI出力を搭載したモデル(TS-251やTS-453miniなど)では、HD Stationを利用することで、HDMI経由でNASの画面をテレビなどに出力してメディアプレーヤーとして利用できるが、このベースとなるアプリがKodi(XBMC v14)へとバージョンアップし、より使いやすくなった。Apple TVやChromecastと同様に、File StationやPhoto Stationからファイルを指定してHDMI接続で、ストリーム配信することも可能だ。
このように、さまざまなタイプの再生環境に対応したことで、メディアを一カ所から複数のデバイスに対して配信することができるようになった。
つまり、テレビの隣にNASを設置し、HDMIで再生することもできれば、USBスピーカーから直接音楽を再生することもできる。Bluetoothで離れた場所のスピーカーで楽しむこともできる(対応機種のみ*1)し、Apple TVやChromecastを接続した別の部屋のテレビに動画を配信することもできる。DLNAでテレビやスマートフォンからネットワー経由でメディアを再生することも可能というわけだ。
もちろん、同時に利用することも可能で、HDMI出力でビデオを再生しながら、Chromecastで別のビデオをストリーム再生するといった使い方もできる。ソースとなる写真や動画や音楽など、NASにデータを保存しておけば、あとはどこから、どのデバイスで再生しようと、自由自在というわけだ。
ちなみに、HDMI経由でテレビに接続した際に利用するHD Stationアプリも機能強化されており、新たにマルチタスクに対応し、アプリをウィンドウ表示にしたり、タスクバーからアプリを切り替えながら使えるようになった(オプションで有効化する必要あり。アプリによっては全画面表示のみ)。従来は、1つのアプリを起動すると画面が占有され、別のアプリを利用するには、起動中のアプリを終了させる必要があったが、これで複数のアプリを活用できるようになったことになる。
※Bluetooth機器への配信はTS-x12P/x31/x31+/x51/x53 Pro、TVS-x71/x63、TS-ECx80シリーズが対応。対応機器の詳細はWebサイトで近日公開予定とのこと。
写真の整理も賢く
写真を扱うためのPhoto Stationも機能が強化された。インターフェイスが刷新されたうえ、新たにギャラリーモードと管理モードの2つのビューが切り分けられた。ギャラリーモードは、画面全体をフルに使って写真が並ぶ閲覧に特化したモードで普段はこちらを利用する。
一方、管理モードは写真を整理することに特化したモードだ。左側のメニューからフォルダーやアルバムを選択し、写真を整理することができる。
また、設定で「顔認識」を有効にすると保存した写真から自動的に人の顔を認識し、写っている人物の名前を設定することができる。単純に日付やシーンでアルバムを作成して整理できるだけでなく、人物に設定したフェイスタグでも写真を整理したり、検索したりできるようになるのも大きなメリットだ。
なお、Photo Stationなどのアプリもそうだが、全体的にUIのデザインが変更されており、最近流行のフラットデザインとなった。スッキリと見やすいのもメリットだが、シンプルになったおかげで、画面の読み込みが高速化され、軽快感が増したのもメリットと言えそうだ。
OneDriveもシームレスに扱える
このほかにも新機能はたくさんあるが、個人的に気に入っているのはOneDriveのサポートだ。
NAS上のファイルを参照するためのFile Stationアプリのリモート接続機能が強化され、FileStationに直接OneDriveのフォルダーをマウントできるようになった(Connect to Cloud Driveアプリの追加が必要)。
これにより、NAS上のデータをOneDriveに保存したり、OneDrive上のデータをNASに保管しておくことができるようになった。ユーザーごとに個別にマウントできるようになっているので、家族それぞれが自分のOneDriveのデータを扱うことも可能だ。
OneDriveだけでなく、Google Drive、Dropbox、Amazon CloudDrive、Yndex Disk、Boxにも対応しているので、NASからクラウド上のデータを統合的に管理することが可能になる。さまざまなクラウドサービスの登場でデータが分散しがちな現状を考えると、これはとてもありがたい機能だ。
もしも、NAS上の特定のフォルダーとクラウドサービスのデータを同期させたいときはCloud Drive Sync Stationというアプリを利用すれば可能だが、残念ながら、現状、OneDriveはサポートされていない(Google DriveとDropboxのみ)。今後の対応が期待されるところだ。
より使いやすくなったQNAPのNAS
以上、QNAPの最新OS QTS4.2を実際に試してみたが、全体的にかゆいところに手が届くようになったという印象だ。個人的には、OneDriveの同期ができれば完璧だったが、今後に期待としておこう。
このほか、スナップショットなど注目の機能はまだまだあるが、今回はスペースが足りないため、次回、あらためて解説することにしたい。マイナンバー対応で、中小の現場でも安全なデータの保存先が求められる中、手軽なフォルダー単位での暗号化などにも対応しているので期待して欲しい。
URL
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