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【首都圏】

殉職自衛官 護国神社「合祀」検討も 8社は「戦死者」扱い

 訓練中の事故や災害派遣などで殉職した自衛官を祀(まつ)っている神社がある。

 靖国神社と密接な関係にある地方の護国神社で、本紙の調べでは、殉職自衛官の祭神数は全国十九の神社で少なくとも計六百七十八柱(はしら)にのぼる。本殿の相殿(あいどの)のほか、境内に末社を設けて祀る神社もあるが、半数以上の神社は、安保関連法に基づき海外に派遣された自衛官の中で将来、殉職者が出た場合も、遺族要望があれば、「合祀(ごうし)対象として検討する」と答えた。

 護国神社の前身は、明治維新前後の国事殉難者を祀るため全国各地に建立された招魂社。祭神の多くは、幕末維新の内乱や太平洋戦争に至る対外戦争の戦没者を祀る靖国神社の祭神とほぼ一致するが、独立した宗教法人として戦後、靖国神社には合祀されていない祭神を独自に祀る護国神社も少なくない。

 戦後、新たに発足した自衛隊のOB組織・隊友会の依頼で殉職自衛官を祀るケースもその一例だ。

 戦後、民間の宗教法人となった護国神社が誰を祭神にするかは「祀る自由」の範囲内である。

 しかし、気になるのは、これまで殉職自衛官を祀ってこなかった三十三の神社の中にも新たに合祀検討の神社が八社あり、その理由に「国家のために殉じた方は事実上の『戦死者』」と同等視としている点だ。「訓練中の事故などで殉職した自衛官とは質的に違う」(茨城県護国神社)と考える神社もある。

 靖国神社は創建以来、訓練や演習中の事故などの殉職者を祀っていない。合祀対象が「戦死者」や「戦傷病死者」を原則としてきたからで、高倉健さん主演の映画にもなった明治末期、八甲田山の雪中行軍中に遭難して凍死した兵士たちも祀られていない。

 「『戦死者』なら合祀に値する」という考え方は戦前の靖国神社の発想に近い。しかし、同神社の合祀の対象範囲は「大東亜戦争」(太平洋戦争)の戦没者までで、合祀基準を変えない限り殉職自衛官を新たに祀ることはできない。基準を変えればいい、との声もあるが、ハードルは高い。

 安保関連法に対する違憲批判が根強いためで、神社界の対応も様子見しているところが多い。同法成立を機に合祀を検討する護国神社が出始めてもそれが「追い風」になる保証はない。 (編集委員・吉原康和)

 

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