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2015年10月14日 10時05分 UPDATE

マイナンバー汚職発覚 「1兆円市場」群がるIT業者 大規模システム、大手有利で中小苦戦 (1/3)

マイナンバー制度をめぐる汚職事件が発覚。「1兆円規模」ともされる関連市場で激烈な受注合戦が繰り広げられる中、生まれた官業の癒着に捜査のメスが入った。

[産経新聞]
産経新聞

 来年1月の運用開始に向けて準備が進むマイナンバー制度をめぐる汚職事件が13日、明らかになった。制度をめぐっては、情報処理システムの大規模な改修や新設が見込まれており、発注総額は「1兆円規模」ともされる。激烈な受注合戦が繰り広げられる中、生まれた官業の癒着。そうした“巨大利権”に警視庁は捜査のメスを入れた。

マイナンバー“特需”

photo 警視庁に出頭する厚労省情報政策担当参事官室長補佐の中安一幸容疑者=13日午前、さいたま市

 「IT業界にとってのマイナンバーは、建設業界にとっての東京五輪と同じ。巨大な需要をめぐり業界は沸いている」

 政府関係者はそう指摘する。政府は制度の導入に絡み、平成29年度までに3千億円弱を情報処理システム関連に投入する見込みだ。民間側のシステム更新も含めると、市場規模は1兆円に達するとも言われる。

 厚生労働省、国税庁、総務省といった各省庁で、税金などの処理システムがマイナンバーに対応。事件の舞台となった厚労省では、年金▽ハローワーク▽労災▽医療保険−の4分野がマイナンバーに関与する予定だ。

 収賄容疑で逮捕された厚労省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)は、医療とITの双方に精通する専門家として、マイナンバーへの対応を主導していた。

 政府関係者は「業界にとって一種の特需といえるが、過去のシステムを運用してきた既存の大手業者が有利で、中小企業が中央省庁の大規模案件に参入するのは厳しい」と分析する。

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