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賛否両論? 遺伝子を扱うアート集団BCLが初音ミクの細胞を展示
インタビュー・テキスト:杉原環樹 撮影:佐々木鋼平(2015/10/09)
人工的に作り出した心臓の細胞に、架空のキャラクター「初音ミク」のDNAを組み込んで、生命と非生命の境界線を問い直す。サイエンスに関する深い知見を武器に活動をするアーティスト集団「BCL」による、そんな挑戦的な展示『Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊』が、金沢21世紀美術館で2016年3月21日まで開催されている。
ゲオアグ・トレメル、福原志保、吉岡裕記、フィリップ・ボーイングの四人からなるBCLは、2004年の結成。死者の遺伝子を樹のDNAに保存して「生きた墓標」を作る『Biopresence』、遺伝子組み換えからなる青いカーネーションのクローン培養を行って自然界に還す『Common Flowers / Flower Commons』など、技術の発展によって生命に対するあらゆる操作が可能になった時代の「生と死」「自然と人工」の意味を問いかけてきた。
近年では現実空間でのライブを行うなど、もはや実在のアイドルと同様の活動を繰り広げる初音ミク。そんなミクのDNAを持った脈打つ生の細胞に、人は個人の「魂」を見出すのだろうか? そこから見える、現代の「私」のあり方とは? 大規模なインスタレーションを共に作り上げたプログラマーの徳井直生、クリエイター集団・セミトランスペアレント・デザインのメンバーも含め、会場で話を訊いた。
(メイン画像:BCL+Semitransparent Design 『Ghost in the Cell』2015 ©Crypton Future Media, INC.)
BCL(びーしーえる)
芸術を通して、科学やデザインなどの領域を超えた研究、実践を行うアーティスト集団。2004年にゲオアグ・トレメルと福原志保によってロンドンにて立ち上げられた。2007年に活動拠点を東京に移し、国内外の美術館での展示やコラボレーションを行う。2014年に吉岡裕記とフィリップ・ボーイングが参加。近年は特に、バイオテクノロジーの発展が与える社会へのインパクトや、水環境問題について焦点を当てている。また、それらにクリティカルに介し、閉ざされたテクノロジーを人々に開いていくことをミッションとしている。代表作に家族の遺伝子を樹のDNAに入れて「生きた墓標」を作るプロジェクト『Biopresence』(2004年)など。
bcl
初音ミクの心筋細胞を実際に作ってしまうことで、存在しないミクの生命を感じられるか問いかけているんです。(福原)
―金沢21世紀美術館での展示『Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊』は、架空のキャラクターである「初音ミク」にDNAと心臓の細胞を与えるものだと謳われています。これは一体どういうことでしょうか?
福原:どんな細胞にも変化できる「iPS細胞」を使って、心筋細胞を作り、そこに初音ミクの外見上の特徴を記したDNA配列データを組み込んで展示しています。たとえば「緑の目」や「明るい肌の色」といった特徴を持っている人のDNAを組み合わせて、身体の設計図としての遺伝子を創作したんです。
BCL『Ghost in the Cell』2015 撮影:金沢21世紀美術館
ゲオアグ:そのミクのDNA配列は、不特定多数の人々がオンライン上のプロジェクト「hmDNA」に参加することで、さらに二次創作されました。日本人の遺伝子情報をベースにしたDNAにミクの外見に関する情報を加えるだけでなく、各人の持っているミクのイメージも書き込んでもらったわけです。
―展示室の中央にはインキュベーター(孵卵器)が置かれていて、その中で実際に細胞が脈を打っていて驚きました。あたかも、目の前にミクの身体の一部があるようです。
福原:心臓と魂はよく結び付けられますが、その理由の1つは、心筋細胞が何にもつながらず独立していても動くことだと思います。それを目の前にすると、すごく生命感を感じてしまう。また、母親の胎内で人の身体が作られるとき、最初に生まれるのが心臓だということもあり、心筋細胞を選びました。今回の展示テーマは「境界」なんです。生命と非生命、肉体と非肉体、人間と幽霊、実空間とデジタルワールド、アートとエンターテイメントなど、言葉の上で区別されている物事は、じつはそんなにスパッと分けられず、両者の間を行き来するように存在している。そんな視点を提示したいと考えました。
BCL『Ghost in the Cell: hmDNA』2015年
―生命と非生命の間には、グラデーションがあるということでしょうか?
福原:人間らしい振る舞いをする機械は生命じゃないのか? あるいは反対に、一種のプログラミングによってできている人間の身体は機械じゃないのか? という議論はずっとありますよね。遺伝子のデータだけでなく、実際の細胞まで作ることで、存在しないミクの生命を感じられるか、問うているんです。今後、心臓以外のすべての身体の細胞も作られたら、それは初音ミクなのか人間なのか、よりわからなくなるでしょう。
ゲオアグ:身体がないと魂もないと言えるのなら、身体の一部を作ればそこに魂は宿るのではないか。その魂を、生と死の間を行き来する「幽霊」という語で表しているんです。
―なぜモチーフに、初音ミクを選んだのですか?
福原:「そもそも遺伝子とは何か?」という話に遡るのですが、遺伝子そのものが生命ではないんです。遺伝子だけがあっても人は再生できない。何がその人をその人たらしめるのかは決着がついていない問題なのですが、一方で、なぜか人々は初音ミクを生きた個人のように扱っている現象があります。0と1からなるデジタルデータで実体がないのに、みんなの想像力で補って、ライブまでやっていますよね。キャラクタービジネスが発達した日本でも、特異な存在だと思います。
ゲオアグ:初音ミクに対するファンの関与は、他の生身のアイドルに対するものよりもじつは強いのではないでしょうか。ファンのイメージを受け入れるという意味で、彼女は社会の完璧な鏡であり、アイドルとしての生命感はよりピュアなものと言えるかもしれません。
福原:しかも、一人ひとりが違うミクの姿を感じているのも面白いですよね。普段の人間の感覚においても、同じ対象を見たり聞いたりしながら、実際にはみんな違うものを感じているわけですが、人々がミクに感じる「俺のミク」みたいな感覚には、それがすごくわかりやすく出ているな、と。不明瞭で捉えがたい、結局は想像力で補完するしかない「生命感」や「魂」を問う展示の題材として、彼女はすごく適していたんです。
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