ベルリン=玉川透
2015年10月7日20時26分
アフガニスタン北部クンドゥズの病院が駐留米軍に空爆された事件で、病院を運営していた国際医療NGO「国境なき医師団」のジョアンヌ・リュー会長が7日、スイス・ジュネーブで記者会見し、国際人道法に基づく国際事実調査委員会を組織して事実解明を進めるよう求めた。米軍は誤爆を認めたが、会長は「米軍の内部調査は信用できない」としている。
会長は、病院空爆で子供3人を含む22人の命が奪われたうえ、現地で何万人もの人々が医療へのアクセスを失ったと指摘。「もうたくさんだ。戦争にもルールがある」と非難した。
さらに、空爆は「(戦争時の医療施設保護などを定めた)ジュネーブ条約への攻撃だ。看過できない」と指摘。米軍やアフガニスタン政府の説明は「一貫性がない」として、ジュネーブ条約に基づく国際事実調査委員会の発足を求めた。
同委員会は、国際人道法侵害の調査を目的として1991年に結成された。本拠地はスイス・ベルン。加盟国(現在76カ国)からの要望を受けて調査が検討されるが、リュー会長によると、これまで目立った実績はないとされる。
リュー会長は「(空爆事件が)単なる過失で片付けられることがあってはならない。今こそ委員会が活用されるべきだ」と訴えた。
カーター米国防長官は5日、アフガン北部クンドゥズで国際医療NGO「国境なき医師団」が運営する病院に対し、米軍が誤爆したことを認めた。カーター氏は声明で「罪のない人が犠牲になったことを心から遺憾に思う」とし、調査結果を早期に示し、必要があれば関係者の責任を問う考えを明らかにしている。(ベルリン=玉川透)
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朝日新聞国際報道部
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