TPP参加国の通商閣僚は5日、米アトランタで交渉合意を阻んできた3つの争点について大筋合意に至った。
まず、日本の自動車メーカーが特恵関税の適用を受けるために、TPP域内国で生産した部品をどの程度使用しなければならないかが争点だった。7月の閣僚会合時点まで、メキシコとカナダは「65%を域内調達すべきだ」と主張していたが、今回の会合では55%まで譲歩した。
医薬品に12年の特許保護期間を設けることを主張してきた米国と5年を主張してきたオーストラリアは8年とすることで合意した。乳製品の開放拡大では、ニュージーランドが米国、カナダと妥協点を見いだした。
今回の合意により、12カ国は協定文の文言調整を経て、2-3カ月以内に最終協定案を作成する。各国が来年初めに協定に署名後、各国議会の承認手続きを経て、正式に発効する。米国の場合、オバマ大統領が所属する民主党が国内労働者の雇用が奪われ、賃金低下を招くとして反対しており、批准手続きは難航しそうだ。共和党は上下院で多数を占めるが、来年の大統領選挙という不確定要素もあり、議会承認は予断を許さない情勢だ。
日本は連立与党が衆参両院で過半数を占めているため、国会での承認はスムーズに進む見通しだ。