学校や職場での人間関係において、悩んでいる人は多いと思う。たとえば、社会人の場合、仕事が合う合わないよりも、上司と合う合わないの方が、大きな問題ととらえる人が多いかもしれない。
合わない上司の下だと、仕事が好きでも苦痛を感じるのだ。
学校や職場での人間関係を悪くしないためには、やはり、日々の自分の言動が重要になる。人間関係を悪くしないようにするための言動とは、どういうものだろうか?会社で働く社会人を想定して書いてみたい。
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▼ 既存のルールや「やり方」を尊重する
社会人としてのルールや社則を守る…ということは、ここでは述べない。
組織には仕事の「やり方」というものがある。しかし、以下の記事で述べたように、非合理的なやり方なのに、合理的だと信じて行っている場合がある。
※「やり方」は、大きい会社では部署ごとに違ったりする。
さらに、昔から続いているやり方だから…という理由で、特に何も考えずにやっていることもある。この種の「やり方」の取り扱いに気をつける…ということだ。
転属や中途入社などで、新しく組織のやり方に直面したとき、「これは合理的ではないな…」と感じることがある。それは、(その人が)外部目線を持っており、やり方を客観的に評価できるためだ。
しかし、そのやり方の不備を安易に指摘してはいけない。
自己顕示欲の強い人や相手の欠点を指摘することに喜びを感じるタイプの人は、この間違いを犯しやすい。「間違い」と書いたが、やり方の不備を指摘することは、必ずしも間違いではない。組織の利益につながる可能性があるからだ。
ここでいう「間違い」とは、人間関係を良好に保つという観点から見た場合の間違いである。
もしかすると、今の組織の中にそのやり方を考案した人がいるかもしれない。考案者がいなくても、その組織の中では、そのやり方がいいだろう…というメンバーの了解があって行われていることだ。
やり方の不備を指摘するということは、彼らの能力を否定することになりかねないのだ。※必ずしも能力を否定することにはならないが、そう受け取られてしまう可能性があるということ。
もちろん、不備を指摘してくれてありがとう…と考える人や組織はある。そして、そう考えることが正しいと思うが、人の感情が理屈とはまた別のところにあることも事実だ。
新参者にこれまでのやり方を否定された…と思うといい気がしないのは理解できるだろう。
▼ 相手に対して敬意をはらう
これは、相手に対し敬意をはらわない態度を考えればよくわかる。自分からあいさつをしなかったり、無視をしたり、他人をぞんざいに扱ったり…という対応だ。これをやられて気持ちがいい…という人はいない。
たとえば、あなたがPCの前で作業をしているとき、誰かがあなたのことを呼んだ。
そのとき、あなたはどんな対応をするだろうか?顔だけ相手に向けて返事をするのか、からだも少し向けるのか…後者の方が感じがいいのは確かだ。相手はあなたの(相手に対する)敬意を感じるから、よい印象を受けるのだ。
・メモをとる
メモをとることが、なぜ相手に対して敬意をはらうことになるのか?それは、あなたの言葉を大事だと考えています…という相手に対するわかりやすいメッセージ(ボディランゲージ)になるからだ。
メモには聞いたことを忘れないように記録する、という目的があるが、相手に敬意を伝えるという意味もある。教えてもらっているのだから、相手には感謝の言葉以外でも敬意を伝えたい。下心のあるパフォーマンスだと解釈する人もいるかもしれないが、これは人間関係を悪くしないようにするための立派な戦術だ。
▼ 相手の自律性を尊重する
相手の自律性を尊重すること。これはとても大事だ。
①他からの支配や助力を受けず,自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。 「学問の-性」
②〘哲〙 〔ドイツ Autonomie〕 カント倫理学の中心概念。自己の欲望や他者の命令に依存せず,自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと
出典:三省堂 大辞林
たとえば、(仕事上の要件で)相手に話しかけるときは、まず相手が今話せる状況かどうかを聞くことが大事だ。「いま、お時間ありますか」という具合だ。
・仕事を頼むとき
仕事を誰かに頼むときは、さらに注意が必要だ。命令形での依頼は、相手の自律性を侵害することになるのでNGだ。そうではなく、「○○していただけますか?(いただけませんか?)」と疑問形にすることで、(事実上命令であっても)相手に判断をゆだねるという形にする。
命令形で依頼されるのは嫌なのに、自分が依頼するときは「やってください」と命令形で依頼する人がいるが、自分が見えていないとしかいいようがない。人間関係においては、「自分がされて嫌なことは相手にしない」というのが基本だ。
▼ 否定的な言葉や表現を避ける
気をつけている人も多いと思うが、 否定的な言葉や表現は避けたい。
言葉遣いはきちんとしているのに、なぜか評判のいい人と悪い人がいる。そんな時には、否定的な言い方をしていないかチェックしてみよう。評判の悪い人は、否定的な言い方が多いはずだ
出典:http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0903/16/news036.html
否定的な言葉や表現というのは、人の頭にインパクトを与え根強く残るのだ。自分のこれまでの経験を振り返ってみて、「ほめられたこと」と「否定(批判)されたこと」のどちらを強く覚えているだろうか?
たいていの人は後者の方である。
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▼ まとめ
職場の人間関係を悪くしないようにするためには…について書いた。
まずは、既存のルールや「やり方」を尊重する、ということだ。
社会人としてのルールや社則を守ることは当然だが、既存の仕事のやり方にも注意をはらうべきだ。「これは合理的ではないな…」と感じるやり方を見つけても、そのやり方の不備を安易に指摘してはいけない。そのやり方に従って仕事をしている人の中に、不快感を抱く人がいるからだ。
本文中に書いた理由以外にも、従来の慣れた方法がいいとして、これまでのやり方が変わるかもしれない指摘(及び指摘した人)に対し、不快感を示す人がいるだろう。人は一貫性が侵害されるのが嫌なのだ。
やり方の不備を指摘するのであれば、よくタイミングを見計らうべきだ(組織の利益になるのであれば、どこかのタイミングで指摘した方がいいが…)。
次に、相手に対して敬意をはらうということだ。
自分からあいさつをしなかったり、無視をしたり、他人をぞんざいに扱ったり…という対応をしてはいけない。これをやられて気持ちがいい…という人はいない。人間関係に不器用な人はやりがちなので、注意してほしい。
相手の自律性を尊重する、ということも大事だ。仕事の依頼は、「やってください」という命令形ではなく、「○○していただけますか?(いただけませんか?)」の疑問形で行う。相手に判断をゆだねるという形の依頼で、相手の自律性を尊重するのだ。
最後に、否定的な言葉や表現を避ける、ということだ。否定的な言葉や表現というのは、人の頭にインパクトを与え根強く残るのだ。否定的な言葉がもはやクセになっている人もいるが、否定的な言葉を口にしたら「罰金100円!」ぐらいのつもりで日々を過ごしてみたらどうかと思う。