AMラジオの番組をFMでも聴ける「FM補完放送(ワイドFM)」が広がってきた。既に茨城や秋田などの地方AM9局が放送を始め、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送の在京3局も12月、東京、神奈川、千葉、埼玉をエリアに本放送をそれぞれスタートさせる予定。音質の向上でAMラジオの魅力が見直される一方、浸透には課題もあるようだ。(三品貴志)
CBCラジオ(愛知)、東海ラジオ(同)、NBCラジオ(長崎)のAM3局は今月1日、FM補完放送をスタートさせた。さらに、東京、大阪など都市部のAM局を含む全国の半数近い局も、来年春までの放送開始に向けて準備を進めている。
「第2の開局と位置付けている。ラジオの新しい時代にふさわしいプログラムを発信したい」
12月の放送開始を予定しているニッポン放送(FM93.0メガヘルツ)の村山創太郎社長は、そう期待を寄せる。同局は周波数にちなみ、9月30日を「ニッポン放送HAPPY FM93の日」として日本記念日協会に申請。認定式などの模様を同日、本社スタジオから公開生放送した。
また、文化放送(91.6メガヘルツ)は新たな企業ロゴを一般から募集。9月には、イベントや番組出演を通じてFMをPRするキャラクター「キューイチロー」を発表した。しゃべる九官鳥をイメージしたキャラクターで、同月15日の記者会見に出席したキューイチローは「聴取率が大好きだキュー」などとユーモラスに意気込みを語った。
FM補完放送は災害対策や都市部での受信環境の向上が目的だが、モノラル放送の多いAM局にとって、ステレオ放送のFMを活用することで、音質が向上するという利点もある。このため、FM局の得意分野とみられてきた音楽番組作りに積極的に乗り出すAM局も増えてきた。
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