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Danas je lep dan.

2015-10-04 グルメ漫画だらけな気が(錯覚)

[]祖父の尻の穴に萌えたのは初めてだ

 だいぶ感想書かないといけない漫画が溜まってたので一気に放出。

 色んなところで言われてるがクッソ面白い。金塊をめぐって繰り広げられる帝国陸軍や死刑囚たち,そしてヒグマとのバトルなんだけど,「設定からして大勝利」という評はホントその通りでよくこんなに魅力的な設定を考えついたもんだなと。「開拓地」*1での冒険譚,血に塗れた金塊,散らばった地図を集める物語。これだけでも十分に面白いのに地図が人に彫られていて皮を剥いで集めるのが前提というガジェットのお陰で面白さが三倍増ブーストかかってる。途中で地図じゃなくアシㇼパの相棒であるエゾオオカミを狙う連中まで現れて更に北海道独立を狙ういくつもの勢力が暗躍しとどんどん物語が加速していくスピード感。そしてアイヌ文化やヒグマ等についてきっちり下調べがなされてて研究者の指導も仰いだってんだからすごい。アイヌについては色々本読んでたけど知らないことが色々出てきて非常にためになる。主人公である杉元がアイヌやその文化に対してフェアな態度を取っているので安心して読めるところはあり,「慣れる必要がどこにある」(第6話)のシーンは,本当にアイヌがその語を使って差別されてきたからこそアイヌがもう片方の主役となるこの作品では大事であり必要なものだったかなと。

 シリアスとギャグのメリハリがちゃんときいてるのもすばらで,美少女狩人キャラだと思っていたアシㇼパさんがここまでの変顔キャラだとは思ってもみなかった。第22話で水を離さないアシㇼパさんの顔が『進撃の巨人』の巨人にクリソツで草生える。あと,血沸き肉踊るサヴァイヴァル漫画だと思って読んでたら実は料理漫画だったのも非常に良い。第10話扉で,「少女はチタタプに木屑が入ることを決して許さない……!!」と大真面目にマキリを構えるアシㇼパさんには爆笑した。アイヌ版美食倶楽部感ある。第23話で出てきた猟師のオッサンのノリは本気で料理漫画だったw そういえば,上橋菜穂子の〈守り人〉シリーズでは出てくる料理を再現したレシピ本を出してたけど,この作品でもそういうの出ないかなーと一瞬だけ考え,リスとか鹿とかヒグマとかの肉が手に入りにくそうなので無理だということに気づいた。そしてうんこネタで散々引っ張ったからこそ第20話での桜鍋がより美味そうに見えるわけで。ヒンナヒンナ。

 6巻は相変わらずの素晴らしいおねショタで,7巻は百合でした。7巻は百合でした。異論は認めない。アニスの造形が完全に童貞を殺しに来てて,「これが経産婦だと」と驚愕せざるを得ない上に,あの奥さんと姉妹妻するわけで,なんというか悶えすぎて苦しいいつも通りの森薫でございました,ハイ。裸だと描くところがなさすぎて不安ってのは

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感しかしない。

 『竜の学校は山の上』からの読者としては「ほら九井諒子面白いだろ今知ったのか」ドヤ顔したい気分ですが(と言ったら同人時代のファンから軽蔑されそう),いやほんとここまであちこちで大好評の嵐なのは一介のファンとして本当に嬉しい次第であり。彼女の短編集では『竜の学校は山の上』が至高と信じる者としては,本作の主人公やセンシの態度から以下の台詞を想起せざるを得ない。

「世の中にはな―― ふたつのものしかないっ

役に立つものと これから役に立つかもしれないもの だっ

なくしてしまったものを あれは役に立たなかったってことは言えるけど それは所詮狐の葡萄

だから簡単に捨てちゃいけないんだ

でも役に立たないと諦めたら それでは捨ててしまうのと何も変わらないだろ

私は自分のやることに自信を持ってるつもりだよ」*2

竜の学校は山の上 九井諒子作品集

竜の学校は山の上 九井諒子作品集

 本作を読まれる際には,是非とも「竜の学校は山の上」と読み比べてみて欲しい。生存のための「ダンジョン飯」であるだけでなく,そこに通底する哲学もきっと,感じ取れるはずだから。

くーねるまるた 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

くーねるまるた 6 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

 以前1・2巻の感想を書いたけど,それ以降ちっとも感想を書いてなかったので。といってもまあ,食べ物が美味しそうだしマルタさんかわいいし乳や腰まわりの肉付きエロいし出てくるキャラはみんな優しいしと,良い意味で安心して読める漫画。マルタさん,修士号獲った上でブラブラした暮らししとるんやな……とか考えてはいけない(戒め)

アルテ 1 (ゼノンコミックス)

アルテ 1 (ゼノンコミックス)

アルテ 2 (ゼノンコミックス)

アルテ 2 (ゼノンコミックス)

アルテ 3 (ゼノンコミックス)

アルテ 3 (ゼノンコミックス)

 DG-Lawさんオススメの一品で,読んでみるとなるほど面白い。主人公のガラスの天井どころではないあからさまな差別をねじ伏せていくその姿は痛快きわまりなく,唐突極まりない恋愛要素が入ってきた時は「こんな良作にも……」と絶望しかけたが,しかしそれもヴェロニカの訓導のおかげで見事にストーリーの中で消化されていて,上手いなあと思った。

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

 読書クラスタの心を的確に抉ってくるので悶えながらでないと読めない。バーナード嬢の言動に「うわああああああああ痛々しいけどあるあるだあああああああああwwwwww」と共感することもあれば(具体的にどの辺に共感するのかは伏せさせてもらうw),神林嬢のツッコミに「ほんまそれ」と真顔で頷きたくなることもあり,全体的に見るとこの上なくおま俺漫画でした。3巻も楽しみ。

*1:もちろんこの見方が植民地主義を強化するものであることは踏まえないといけないわけだけれど。

*2:九井諒子「竜の学校は山の上」『竜の学校は山の上』イースト・プレス2011年,249-250頁。

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