今回の寄稿は、京町俚音（きょうまち りおん）さんからです！
四児の母である、いつもは明るいりおんさん。そんな彼女の笑顔の裏に隠された真実とは？ では、ご覧下さい。
当時29歳。全てを失なった・・・
結婚すれば子供ができ、温かな家庭を作る。そこに父母、子供がいて、世間から見れば『当たり前』の生活は時として『当たり前』という言葉は当てはまらないということ。
子供ができてから、貧困生活を余儀なくされる。環境に適した生活を身につけていたので節約には問題はなかったよ。
ただ旦那は破産宣告をしたものお金の価値観が抜けず私のカードに手をつけ、次第に家庭に入るお金は殆どなく生活は荒れていくばかり。
小麦粉があれば少しはなんとかなる！
スイスでは緊急時に備え小麦粉を備蓄しなくてはならない。
ここは日本だけど、我が家では小麦粉は意外に豊富。
インスタント食品や化学調味料などはないが、保存が効く調味料が最低限度置いてある。
少しは希望が見えたぞ！
当時は二人の子供がおり、子供だけはなんとか腹が満たせる。
ここまで陥るまで何とか働いてできるだろうと思いそうだけど当時は今より簡単ではなかったんだ。
二歳と乳飲み子。祖母に預けれる環境にあれば問題はないかもしれないけど。
頼る場所がなかったのね。
生活保護も簡単には受けれなかったし、保育所は３ヶ月は最低待たされるの。
毎日うどん、ピザ、スパゲッティ。お好み焼き。栄養面は乏しいけど小麦粉さえあればなんでも作れるからさ、何とか凌いだわ。
でもね、何れは尽きるもの。
どんどん貧相な小麦粉レパートリー。
とうとう家賃や光熱費も滞って、まず電気が止められたわ。
お金を借りれる当ても無いし、もう戻らないと決めていた水商売。早くから気付けばなんてことはないよ。食べていくならなんでもしなきゃと当時住んでいた宝塚の仁川から大阪の十三まで足を運んだのよ。
選んだのは昼キャバ。
関西のキャバはね、風俗じゃなんだ。色んな人と関わる仕事をして男性も多い中できてるけど、結構精神的なものがあって喋ってる分には問題ないけれど失礼な話、時折拒絶反応が襲い嘔吐する。夫婦生活に原因があるんだけどね。なんでもといっても限界があるのよ。人それぞれ。
託児所ありでしかも日払い。28歳という年齢はお客さん持ってないと簡単には稼げないことも知ってる。
しかし、食べていくには申し分ない。
まぁ、水商売でよく聞くとっておきの絵に書いたような暮らしの始まりね。
でも、あなたが想像するようか煌びやかな世界ではないよ。
毎日経済新聞やらあらゆる雑誌を片手に２歳になる子の手を引いて乳飲み子を抱っこし満員電車で通う日々。
別居に近い生活でお金は旦那に持ってかれるし、カード返済もしなきゃいけなかったのよ。
１年後、少しは落ち着いたかに見えたのは束の間。
知らない間にドラッグに手を出していた旦那は中毒を起こして車で私と子供達をひき殺そうとし追いかけられボコボコにされて警察に保護されたけど、夫婦喧嘩で処理されて、まだＤＶの 法律もないしシェルターすら入るのも難しいのね。
兎に角逃げることしか頭になくてホテルを転々としていたかな。
ここまで来たら生活を維持していくのは困難よ。やっと離婚を決意したの。
苦労話？いえいえ。
苦労とは苦しみを労わなくてはいけないけど、こんなことはただの序章であって自分が選んだ道の過程に過ぎないの。
選択肢はあるかもしれないけれど、そこにその道があるから進むみたいな。
働かざる得なくなるときはどんな職種であれ同じこと。
その後10年連れ添った旦那とめでたく離婚し、新居も何処か入れてと探すも、旦那の破産が災いして入居費が分割できないということでどうしたものかと考えていた時おんぶ通勤が祟ったのか椎間板ヘルニアに襲われて、ほぼ寝たきり、参っちゃうね。
一応実家はあるけど、親も体調が悪くて孫無理状態。
友人だって友人の生活があるし。役所に這いながら相談しに行ったんだ。
家が無くては生活保護は無理。
仕事もできない状態では育てていける見込みがなく子供は施設に送還されるという事態。
私の今までしてきたことはなんだったんだ！
人生で初めて泣いた。
因みに現在ＤＶなど暴力がある場合法律で保護されております。一時シェルターで手厚いおもてなし？とお金が無くとも国から新居や生活必需品の一定金額の支給と生活保護もすぐ受けれるので新しい生活はばっちり。
そしてカード返済もなくなったが全てを失なった瞬間だった。
孫の面倒なんて無理！ という実家ではあったが、取り敢えず二週間ほど身を寄せさせてもらった。
実家は宇治市にあって、ぼちぼち歩けるくらいになると近所に二子塚古墳公園の池の淵でよく煙草を吸いながら思考能力を高めていたかな。うん。
実家に居候して仕事しながら新居を探す・・・一般的手法の選択肢もあろうが、何せ孫の面倒をみるのは無理！ という実家なので、其れ程好条件で住まわせてもらう事は考えられないので選択肢にはなかった。
条件があってね、仕事・新居・保育所の三点セットが揃えば子供達を返して貰えるという。
立ち止まり二子塚古墳公園の池の淵で煙草吸いながら、ずっと嘆いている暇はなかろうよ。自分に言い聞かせた。
たまたま本屋さんでアルバイト雑誌を買い何気なく見ているとそこにはリゾートバイト特集が載っていた。
遡ること私は山好きが嵩じて学生時代山でアルバイトをしてね。そのときの同僚の女性がＩターンし家へ遊びに行ったあと影響されたのか長野県へ移住をを夢を見ていた。卒業後は移る予定をしていたんだが運命か旦那と知り合ってしまい流れたもの、何度か別れた旦那と移住計画をしていたものだが煮詰まらず断念していたことが、ふと頭に過るのである。
全てを失なったら決めるのは全て自分自身。怖いものはないのだよ。本来崖っ淵。でもそれは何かを始めるチャンスだと悟ったんだな。
農業に興味があって10年くらい色んな書物を読み漁ってたことがあった。
やるのは今だと思った。
子供達を育てるにも絶好に場所。
『そうだ！農業をしよう』
二子塚古墳公園の池の歩鳥でニタニタしてたのはいうまでもない。
そして新たな出発点を掴むことができたんだ。
三食昼寝付き、住居無料。農業期間バイト。仕事をしながら情報収集でき新天地を確保に向け行動を起こせる絶好の仕事であるのよ。
借金を強いられ、お金を持って行かれる、絵に描いたような、とびきりの水商売生活。
挙句殺されかけ、逃げ惑う。
まるでフィクション映画のように怒涛の如く一年が過ぎ去ります。なのに何故か私の性格は明るい。でも現実ですよ。子供達がいなくなって悲しい親はいません。人間ですから苦しいや辛いはあるものです。
辛ければ逃げてもいい……？
ＤＶや暴力などの環境から逃げることは必然的であっても精神的に辛いことは逃げるを繰り返すだけでは人間記憶の全てを消去することはできないんです。
嫌なことも生きているとあるわけです。
怖い夢を見るのは脳の中で情報処理をし気持ちを軽減する役割り。
『逃げるな』と、そこに踏みとどまれということではなく、自分の気持ちを軽減する方法を見つけ行動することで徐々に柔らぐ効果があるということ。
時には愚痴吐いたり、好きなことをしてみる。休みを取る。時には辛さに流して悶えてよいのです。短期間で気持ちを解決しようとするから、無かったことにして忘れようとすると脳のは記憶の情報処理ルーム。追いつかなくてバグが発生するのです。唯の上書きをしてるだけなんですよ。
嘆いてばかりいても現実は変わりません。
嘆いて悲しんで続けても、その場所に踏み止まってしまっるだけ。
大切な人はだれですか？
本当に求めるものはなんですか？
一人悲しんで嘆いても、子供達と離れ離れになった現実は変わらない。想いを内に秘めいているだけでは何も動かないし伝わらないんです。
だから私は行動にでた。
まだお話は終わりません。人生というものは、いつも序章に過ぎないんです。本来の目的ができれば農業アルバイトは手順にしかならないってこと。
過去の積み重ねは今の自分。ＳＴＯＲＹを作り上げていってるんです。この先も命の灯火が消えるまで。
You jast have to carry on！
京町俚音（きょうまち りおん）
鬱、拒食症を経て残る噛み締め呑気症候群をネタに明日を生きる四児のオカン。
小学生シンガー（望）のライブ活動の金魚の糞をしながら、我が道を信じて色んなことにチャレンジしています。
いかがでしたか？ 壮絶な人生ですね。でも、こんなに壮絶な人生を送っている方でも子供を４人も母親一人で育てながら懸命に明るく生きている。私たちもちょっと辛いことがあるくらいでくよくよしていられない！ そんな風に考えさせられる記事だと思います。