ヨーロッパ各国から様々なクリエイターやテクノロジストが集まる街、ドイツ・ベルリン。この街を訪れると、自ずとソーシャルビジネスのグローバルトレンドを垣間見ることができます。本連載では、ベルリンに在住する著者が現地で見た、ソーシャルビジネスの最前線を紹介します。
ドイツ国内利用者は100万人超!
カーシェアリングが急拡大中
人が移動する手段や、社会のさまざまな交通システムと情報コミュニケーションの流動性を最適化していくのが、モビリティ(可動性)マネージメントです。ここベルリンは、東西を隔てた壁の崩壊から四半世紀を経て、世界で最も多様性を受け入れる都市の成熟期を迎えています。とりわけ、クルマと人、公共交通システムと人との関わりに革新的なソーシャル・アプリを介したサービスが次々に登場し、都市のモビリティに大きな変化が到来しています。
自動車大国ドイツの各都市では、クルマを所有せず、一台のクルマを複数の人が利用するカーシェアリングの市場が急拡大しています。ドイツ・カーシェアリング協会の調査報告(2015年1月)によれば、ドイツ国内の利用者は104万人、利用されるクルマは1万5400台を数えます。これは前年比10.4%の伸びです。現在、ドイツ国内には約150のカーシェアリング・プロバイダーがあり、これは前年比37.4%もの増大となっています。今後5年で、ドイツのカーシェアリング利用者数は200万人を超えると予測されています。英仏の利用者も急増していますが、ともにまだ20万人程度なので、ドイツがいかに突出した利用者数なのかがわかります。
ベルリンでは、自家用車が人々のステータス・シンボルであった時代は終わり、クルマを共有(シェア)し、都市交通の最適化や環境負荷を軽減しようとする市民意識が人々の誇りとさえなっています。ドイツはオーガニックやBio(ビオ)食品、エコ・ビジネスなど、ライフ・イノベーション産業の中心地でもあり、循環型持続社会への取り組みは、国の基幹産業である自動車産業にも劇的な変化を促しています。この変化の主要なドライバーこそ、クルマと人を直接つなげるソーシャル・アプリの威力なのです。今や個人のモビリティ・マネージメントの大半は、情報のモビリティであり、クルマはスマートフォンのアクセサリーとさえなっているのです。
「共有する経済」を支える
ベルリンのソーシャルインフラ
クルマを所有する時代が終わるかもしれない――。そんな予感は欧州全体で、特に若者たちの間で急速に広がっています。所有から「共有する経済」への変化は、今、世界中のトレンドといえますが、その多様な活性を支えているのは、スマートフォンと多彩なアプリの浸透です。それは、人々が社交し、多様なコミュニティが自在に形成される情報モビリティのインフラです。今や人々の新たな感覚器官とさえなったスマホの地球規模のネットワーク化は、情報のモビリティと実体経済を統合するさまざまなビジネスをもたらしています。