ECサイトのIDの話

中小規模のECサイトについて言えば、個別のECサイトでID管理する(簡単に言えば「メールアドレスやパスワードを管理する」)のが当たり前だという時代は終わるかもしれません。

これから個人情報保護法制が強化されていけば、中小企業にはIDシステムの保有コストが重い負担になっていきます。もしそのコストを払わなければ、潜在的な事業リスクを抱え込むことになりますし。

中小ECサイトには自前でIDシステムを保有するかわりに大手ECサイトの決済プラットフォーム(Amazonログイン&ペイメント、楽天らくらく決済、ヤフー簡単決済など)に乗っかるという手があります。

(※ちなみにモールへの出店とは異なる仕組みなので誤解なきよう。ざっくり言えば「アドレス帳つきのペイパル」みたいなものです。ペイパル決済みたいな画面フローで決済と配送先の指定ができる。つまり決済や配送先の情報をキーボード入力する必要はなく、何度かクリックするだけで済みます)

この仕組みならユーザー(ショッパー)は「信頼性が不明な初見のサイト」に配送先とクレジットカード情報(さらにパスワードも?)を入力する必要がありません。多くの場合で取引コストが下がると考えられますから、コンバージョンレートを押し上げる効果も期待できるでしょう。

そのECサイトではクレジットカード情報やパスワードを保持する必要がなくなります。不要な事業リスクを抱えずに済むのは大きな安心材料です。さらに個人情報リスクを極小化したければ、配送完了から一定期間後に配送先情報を破棄するような仕組みも考えられます。

(※リスク評価とは多分に主観的な問題であり、客観的な正解はありません。ここで述べたのはリスク評価とシステム方式についての一つの考え方に過ぎません)

以上、決済プラットフォームへの移行が進むのではないかという観点から解説してみました。

逆に「決済プラットフォームは普及しない」というシナリオのほうに賭けている人の考えにも興味がありますね。そっちのシナリオのロジックと蓋然性はどうなっているのか。

3 Notes

  1. ishibashi posted this