宮崎健二
2015年9月27日08時51分
昨年末に42年間の歴史に幕を閉じた福岡市中央区六本松4丁目の老舗古書店、葦(あし)書房の店舗跡に、別の古本屋がオープンした。松枝蔵人(くらんど)さん(38)、麻美さん(32)夫婦が営む徘徊(はいかい)堂だ。昔ながらの古本屋が一軒もなくなった六本松の街に再びともった古本屋の灯。2人は地域に愛される店をめざしている。
「やっとスタート地点に立てた」。今月13日に開店したばかりの店内を見渡して、蔵人さんはホッとした表情だ。本が並んでいない棚もある。麻美さんは「値付けの作業が追いつかない。棚を早く充実させたい」。
松枝さん夫婦はともに北九州市出身。10年ほど前にそれぞれ東京都内の古本屋で働いて商売のノウハウを学んだ。「2人で店をもちたい」という夢をかなえて2008年に福岡市中央区大名に徘徊堂をオープンした。だが、約20平方メートルしかなく、思うような店づくりができなかったこともあって13年に閉店。その後は同市城南区別府1丁目に借りていた倉庫を店舗に転用する準備をしてきた。
そんな2人に今年2月、葦書房をたたんだ宮徹男さん(71)から「本棚がいるのならあげるよ」と声がかかった。店の後片付けをしていた宮さんと雑談するうちに「ここで店を開いては」という話に発展。「こんなチャンスはない」と、約130平方メートルの店舗跡を借りることを決めた。
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