転職サイト、転職エージェントってなんだ?
転職エージェントなる会社。人材紹介会社とか職業紹介事業とかいろんな呼び方がありますが、職業安定法に基づく公的な職業紹介機関(いわゆるハローワーク)に対する民間職業紹介事業として求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることを目的とした企業、事業を指します。
要するに「人と企業間の雇用を斡旋するからお金ちょうだいね」というお仕事をしている会社、社内部門ということです。以降、呼び方をまとめて「人材紹介会社」「求人企業」「転職希望者」の3つに絞ってお話を続けます。ちなみに人材紹介会社がインターネットで求人情報の一部を限定して転職希望者に登録を呼びかけているサイトを転職サイトといいますね。
人材紹介会社のお仕事
人材紹介の会社が行うのは大きく2つ。「求人企業を探すこと」と「転職希望者を登録させること」です。
求人企業を探すこと
人材紹介会社の営業担当は転職希望者の就職先になる求人企業を探して営業をかけます。情報はたとえばハローワークの求人票(就職希望者のフリをして潜り込んでたりします)や他の会社の求人情報から企業を特定したり、求人チラシやパンフレットなどに掲載されている求人情報に直接アタックをかけたりすることが多いです。
ここでアタックするときの殺し文句は一つ。「その人材、御社のチカラで見つけられますか?」ということ。
仕事というものには難易度があって、誰にでもできるものから特別なスキル、経験、資格が必要なものまで様々。たとえば「誰にでも出来る仕事で土日は完全休み、給料は結構多いよ」という仕事は、転職サイトや求人誌、求人チラシすら使わなくても(これらはすべて費用が発生しますから)希望者を集めることが出来るでしょう。
でも「通関士で実務経験10年以上、英語はTOEICで750点以上はないと苦しい、Excel?使えないと仕事にならないっす」という仕事を会社の前に張り紙で「求人募集」とかやってもまず絶対集まらないんです。新聞折込チラシでも無理でしょう。求人サイトでも難しいかもしれません。ハローワークに求人を出す、というのも方法の一つです。
ハローワークは公的な機関なので無料で求人情報を公開してくれます。そのかわり企業情報は具体的な部分までハローワークにオープンにしなくれはいけませんし、企業によってはハローワークに断られることもあります(就業条件を書けないようなブラック企業とか法律に触れるようなお仕事、以前に労働者とトラブルを起こしているような企業など)。
新聞折込チラシとか求人サイトなどの問題点は「費用が発生し続ける」ということ。一度掲載して就職希望者が見つかればいいのですが、見つからなければ「いつ見つけられるかわからない博打を延々と続ける」ことになってしまいます。求人広告は写真+文章の一つの枠を何万円、という契約の仕方であって、「求人が見つかるまで出し続けていくら」ではないんです。
費用を払うのは当然求人企業。欲しい人が見つかるまで延々と広告を出し続けられる企業なんてそうそうありません。さて、そろそろ人材紹介会社の登場です。
人材紹介の契約の仕方は「あっせんした転職希望者が求人企業に就職した場合にのみ、コンサルタントフィーを支払う」という方法が多いです。年収の○○%を、という方法と「この手のスキルの人なら一律○○円」という方法がほとんどです。半年以内に退職してしまったら手数料のうちいくらか返金する、などを契約に盛り込むのもありますね。
正直、その費用は安くありません。僕が現役の頃は正社員の年収の約30%から40%。たとえば年収400万円の人を採用しようとすれば120万円から160万円。たった1人を採用するためにこれだけのお金を払わなくてはいけない、それだけの価値のある求人を欲しがっているのが求人企業です。そしてその会社を探すのが人材紹介会社の営業担当です。
ここすごく大事。あとでまとめますがよく覚えておいてくださいね。
転職希望者を集めること
人材紹介会社は先ほども書いたとおり営利を目的としています。転職希望者を就職させることで利益が発生するのですから、いわば転職希望者は商品です。「転職サイトは○○」とか「年収うん百万円の仕事が多数」とか「未公開求人がうんたら」とかいう言葉で転職希望者を集めています。
さて、登録を希望した人はどうなるか。
まず、「仮登録」とか「オンライン登録」などという方法で転職希望者の大まかな情報を集めます。人材紹介会社は仕入れ商品の概要を知ることから始めます。悪い言い方をすれば「売れる商品か売れない商品か」をさっさと見極めるということです。数百万円の利益を生み出しそうな転職希望者は大事にしますが、価値の少なそうな転職希望者は・・・わかりますよね。
人材紹介会社の社内で行われること
商品的な価値のある転職希望者が見つかると、実際に人材紹介会社に来てもらい本登録を行うことになります。職務経歴や持っている資格などを事細かく登録していくことで商品の価値をデータ化するわけです。人材紹介会社によっては職務経歴書の書き方や面接対策などの転職に関する知識をレクチャーしてくれるところもあります。いわば「商品を磨く」作業ですね。そうして転職希望者を集めてデータ化し、営業担当が持って帰ってきた求人企業の情報とマッチングを行っていきます。転職希望者に面談し、様々な情報を集めたりレクチャーする人をコーディネーターとか言いますね。
一つ忘れていました。転職希望者は人材紹介会社を無料で使うことができます。もちろん面談を行う交通費などは本人負担だったりはしますが、転職が決まったから転職希望者がお金を払う、などということはありません。
マッチングから採用まで
求人企業からの「こんな人材が欲しい」と転職希望者の「こんな仕事がしたい」がマッチングしそうな場合、転職希望者に「こんな仕事がありますがいかがですか?」と紹介が行われます。転職希望者がその仕事をやりたいと返事した時、人材紹介会社は求人企業に「こんな転職希望者がいる」と紹介するわけです。
その後面接日の設定や試験などが転職希望者と求人企業の間で行われますが、面接日に人材紹介会社の営業担当が同行してくれたり、求人企業についての細かい情報を教えてくれたりと、まさにそこはエージェント感一杯。人材紹介会社に依頼しておいてよかったなぁと感じる部分です。
そして面接や試験などの入社試験を終えての合否判定については人材紹介会社から連絡がきます。「決まりました」「ダメでした」どちらにしても。
入社が決まった場合は入社日から細かい打ち合わせにも参加してくれたりと色々世話をしてくれますし、ダメだったら次の仕事を紹介してくれたり、ダメだった原因を教えてくれたりもしますね。
上記が大まかな人材紹介のスタイルです。そして辛口にまとめます。
辛口まとめ
- 人材紹介会社は営利目的。お金を生まないものには興味が無い
- 商品にならなさそうな転職希望者はまともにとりあわない
- 求人企業から支払われる手数料は100万円をはるかに越えることも。それに見合った人、企業を見極めている
- 人材紹介からもらう求人情報は「簡単には集まらない仕事」が多い
- ハローワークで集められる仕事は人材紹介会社に依頼する理由がない
人材紹介会社を利用するときは依存しないこと。相手は営利目的、「それは無理やろ」という仕事でも平気で紹介してくる時があります。お互いビジネスですから「ある意味割りきったつきあい方」をしたほうが良いと思いますね。