元ヘッジファンドマネージャーが、買収した製薬会社が生産するAIDS治療にも用いられる薬を1錠13.5ドルから750ドルに50倍以上に値上げしたことで、激しい批判にさらされています。*1
「自由な経済取引」を重視するアメリカ人にとっても限度を超えたやり過ぎだったようで、大統領選候補のヒラリー・クリントンやドナルド・トランプも批判に加わっています。*2
これはやり過ぎだったにせよ、原則的に市場原理によって決まるアメリカの薬価は日本やヨーロッパよりも割高になっています。企業利益の最大化を至上価値とするとどうなるかを示す好例です。
ところで、日本の物価は中国人や東南アジア人が「爆買い」に来るほど安く、インフレ率も量的・質的金融緩和開始から2年半が経過しても目標の2%を実現できていません。
ならば、企業が総体として賃金抑制を実施しているように、国内価格引き上げを奨励するのはどうでしょうか。「GDP600兆円」にも寄与しそうです。
それがリフレ派が唱えるように「インフレ率上昇→好景気」となるのか、「実質賃金低下→困窮者増加」となるのかは知りませんが。