【萬物相】危険地域・特殊地域で勤務する外交官

【萬物相】危険地域・特殊地域で勤務する外交官

 韓国外交部(省に相当)のキム・ヒョンジン基調室長は、かつて2年あまりにわたりアフリカのガーナで勤務していた時代のことを忘れることができないそうだ。食べることや着ることが思い通りにならないのもつらかったが、それよりも体調を崩した時が最も大変だったという。1カ所しかない病院は足を踏み入れることさえ嫌になるほど不潔だった。もし手術でも受けるようなことになれば大変なことになっていただろう。感染症の恐れから輸血用の血液も信じられなかった。そのような中である日突然、子供が本当に体調を崩し、やむなくその病院に子供の命を預けざるを得なくなった。キムさんは「もし何かことが起これば、自分自身を絶対に許せなくなると思った」と当時を振り返る。幸い子供は回復し、任期を終えて現地を離れる時は、生きて戻れることに家族皆が心から安心したという。

 かつて外交部東北アジア局長を務めた東西大学の趙世暎(チョ・セヨン)教授は、イエメン大使館に勤務していた1994年、現地で内戦に遭遇した。首都のサヌア市街地では戦闘機による爆撃が続き、ロケット弾が目の前を飛び交った。現地在住の韓国人や大使館員の家族ら20人以上をすぐにフランスの軍用機に乗せて避難させたが、その後残った大使館員たちは大使館の地下で難民のように共同生活をせざるを得なかった。ある日、周辺の建物がロケット弾の砲撃を受けて崩壊した。趙氏は「あの時は死が本当に目の前に近づいていることを実感した」と当時を振り返る。子供が食中毒にかかった時は、医師が常駐している日本大使館の世話になったこともある。

 海外に179ある韓国大使館や領事館のうち、危険地域あるいや特殊地域に指定されているのは61カ所だ。これらはどこも戦争による治安の悪化、マラリアや黄熱病、デング熱など伝染病のまん延、極度に低い生活水準といった問題を抱えている。具体的にはアフリカ中西部、中央アジア、中東、中南米などにこのような国や地域が多い。外交部はこれらの地域に赴任する担当者のために、地域ごとの「案内書」を準備している。いわば生存のための説明書だ。例えばアフリカのルワンダの場合「自らの体質に合った防虫スプレーやかゆみ止め、さらにマラリア検診キットなどを大量に持っていくこと」などと記載されている。

 韓国では外交官として採用されると、約10年の間に1回か2回は必ず危険地域あるいは特殊地域に赴任することになっている。もちろん大きな事故はそうめったには起こらないが、1972年以降、現地での殉職者数は30人近くに上り、中には家族が、マラリアに感染した影響でその後一生障害を抱えてしまったケースもある。これらの国や地域の中にはイラクのように常に武装した警備員と行動を共にしなければならない危険な国や地域もある。このような国に数年間赴任すると、誰もが例外なく人生観が変わってしまうそうだ。

 先日、ルワンダ大使館に勤務する参事官の41歳の妻が突然死亡した。ある日、突然食あたりのような症状が出たかと思うと急に意識がもうろうとしたという。病院の医師も原因は分からない。すぐに飛行機で大きな病院のあるケニアに行ったが、そこで命を落とした。原因はバクテリアに感染したことによる臓器の損傷で、これも一種の風土病だ。外交官といえば外国でいつも優雅なパーティーばかりしているようなイメージを持つ人が多いかもしれない。しかしこれら61の国や地域では、340人以上の外交官が常に危険と隣り合わせの状態で今も必死に働いているのだ。

辛貞録(シン・ジョンロク)論説委員
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