市川美亜子、後藤遼太、仲村和代
2015年9月20日22時54分
抗議のなか、法律はできた。それでも、自分たちで考え、声をあげた人たちは動き続ける。国会前から日常へと舞台を移し、「2015年安保」の第2章が始まった。
長崎市の予備校生、森爽さん(19)は20日、模擬試験を受けて過ごした。帰宅後、安保関連法の採決をめぐる国会議員の投票行動の記事をフェイスブックでシェアし、「まじで忘れない。選挙行こうよ!」と書き込んだ。「最近、授業も上の空だったので、そろそろ切り替えないと」と笑う。
都内の学生らで作る「SEALDs(シールズ)」の活動をテレビで見て、「ちょっとでも政治的な発言をすれば『お前、何しよっとや』って言われる街では、ただうらやましかった」。でも、人に託してばかりではいけないと勇気を振り絞り、6月、長崎で仲間と団体を作った。人前に出て話すうち、「政治と生活はこんなに密接なんだと気づき、自分が一番変わった」という。
これからは勉強を優先しつつ、発信は続けるつもりだ。「日常の中で活動を続けるのが僕たちのテーマ。予備校生の立場から、できることを続けていきたい」
安保法案反対の動きは、政治に無関心といわれた多くの若者を巻き込み、大きなうねりとなった。70年安保闘争に参加した千葉県八千代市の無職杉山陽一さん(66)は「昔の学生運動と比べて、普通の人が関わっている。民主主義が成熟してきたと感じた」という。
就職後は職場の労組運動に参加。定年退職し、ゆっくりしようかと思っていた時、東京電力福島第一原発事故が起き、「社会のために何かしなければ」と、個人でデモに行くように。20日も地元で、安保関連法反対のビラを配った。
これまで政治と距離を置いてきた多くの学者も運動に関わった。20日には1万4千人を超える学者・研究者が加わる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が名称から「案」を抜いて再発足し、声明を発表した。「この運動の思想は、路上から国会にもたらされ、生活の日常に根を下ろしつつある。そこに私たちの闘いの成果と希望がある」
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