通報受けた警察が勘違い、到着遅れ被害者が死亡

出動中の事件と通報内容を同一視、出動が十数分遅れる

 中年の女が息子の交際相手の女性を刃物で刺すという事件が発生した。ところが、事件の予兆について通報を受けた警察が勘違いしたため、現場への到着が遅れて、その間に被害者は死亡した。

 ソウル竜山警察署は「今月12日、竜山区漢南洞の住宅の前で、息子(34)の交際相手の女性(34)を刃物で刺し死亡させた女(64)を逮捕した」と13日発表した。警察によると、息子と死亡した女性の関係を好ましく思っていなかった女はこの日、自宅前で女性と口論になり、女性が自分にハンドバッグを投げたのに腹を立て、刃物で腹部を刺したという。

 この事件が発生する30分ほど前の同日午後9時12分ごろ、女の息子は「母が彼女と電話でけんかし、刃物を持って家の前で彼女を待ち構えている」と警察に通報した。ところが、女の自宅から68メートルほど離れた住宅街で、別の家庭内暴力事件の処理に当たっていた漢南派出所(交番に相当)の警察官たちは、女の息子からの通報をこの事件と勘違いした。警察は9時27分になって「なぜ警察が来ないのか」という息子からの2回目の通報が受理されて初めてパトカーに戻り、ナビゲーションに映し出された細かい通報内容を見て、全く違う事件だったことに気付いた。この間十数分も無駄にし、あわてて事件現場に向かったが、被害者の女性はすでに刃物で刺された状態だった。女性は病院に搬送されたが、約20分後に死亡した。

 女の息子からの通報を、ソウル地方警察庁から最初に伝えられた竜山署の状況管理室も、通報内容に「刃物を持っている」という内容があったにもかかわらず、近くに出動していた派出所の警察官に電話をかけ「状況はどうなっているか」と尋ねただけで、強行班を出動させることはなかった。通常は「物を投げた」という程度の家庭内暴力事件の通報が受理されただけでも強行班を出動させることを考えると、警察署の状況管理室が事態を安易に判断し、殺人事件を食い止められなかったのではないかと指摘する声も出ている。

ユン・ドンビン記者
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