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板橋区の浸水エリアから見えてくる「隠された真実」

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今回の豪雨で板橋区でも床上・床下浸水がありました。その浸水エリアをGoogleマイマップに落としてみると、見えてくる隠された真実が...!

 

この度の台風17号・18号による豪雨でお亡くなりになった方々に、心よりのご冥福をお祈りいたします。

この豪雨で被害にあわれた皆様にお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げます。

茨城県や宮城県での大きな被害に心が痛みますが、いまは板橋区議会第3回定例会会期中でもあり、身動きが取れない自分がもどかしいです。

いまは、板橋区の防災のために注力していきます。

 

さて、9/10に行われた議案説明会に先立ち、9/8〜9/10の豪雨による板橋区内の被害状況が報告されました。

その被害状況については、私のFacebookページの記事をご覧いただければと思います。

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【板橋区内の台風の被害状況。土砂災害警戒情報は解除】台風17号・18号の接近に伴い、板橋区内はかなりの豪雨となりました。今日は議案説明会があったのですが、それに先んじて、区内の被害状況の報告がありました。特に坂下では、床上浸水もあった...

Posted by 中妻じょうた 板橋区議会議員 on 2015年9月9日

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床上・床下浸水および道路冠水が起こったのは、坂下1丁目の一部、および前野町4丁目・5丁目の一部です。

これらの被害があったエリアを、Googleマイマップに落としてみました。

 

スクリーンショット 2015-09-12 20.52.45

 

濃い青が床上浸水、青緑が床下浸水、薄い青が道路冠水のあったエリアです。

(※ 被害報告はブロック単位でしか受けておりませんので、どの家屋が浸水したかまでは私は把握しておりません。このエリアのすべての家屋が浸水したわけではありませんので、ご了承ください)

 

なぜ、これらのエリアで浸水・冠水が起こったのでしょうか。

坂下はもともと低地であり、浸水は起こりやすいのですが、板橋区洪水ハザードマップ(新河岸川・石神井・白子川版)を見ると、坂下や蓮根の髙島通り沿いも同程度に浸水しやすいことが想起されます。

なぜ今回の豪雨では、このエリアだけが浸水したのでしょうか。

 

ヒントは、このエリアの中を通る「不自然にグネった道」。

そして「一見無関係に見える、坂下の浸水エリア(上の画像の上方)と前野町の冠水エリア(上の画像の下方)」。

ここにあります。

 

地下からの叛乱、「暗渠」

 

川は「氾濫」ですが、敢えてこちらの単語を使ってみました。

 

お気づきの方もおられるかと思いますが、この浸水・冠水を起こしたものは「暗渠」です。

「暗渠」とは、昔は川だったところに上からフタをしたり、地下を掘って通したりしたものです。

注意しないとそこが川であることに気づきませんが、地下ではいまでも水が流れています。

 

今回の浸水・冠水エリアは、いまは暗渠となった「出井川」という川に沿っています。

 

ネットを検索してみましたところ、暗渠に興味を持ち綿密な調査を行い、その情報をGoogleマイマップにしていらっしゃる方がいました。

「東京Peeling!」様からGoogleマイマップのデータをダウンロードさせていただき、私が今回作った浸水・冠水エリアマップと合成させていただきました。誠にありがとうございましたm(_ _)m

参考にさせていただいた記事は、こちらです。

 

暗渠ハンター 出井川きまぐれ漂流①アボカド公園と「前野町の支流」: 東京Peeling!【とうきょうピーリング!】

 

東京Peeling!様の暗渠マップと、浸水・冠水エリアマップを合体させると...!

 

スクリーンショット 2015-09-12 20.53.49

 

 

一見無関係に見えた2つの浸水・冠水エリアは、「出井川」でつながりました...!

 

出井川は、板橋区の中台、前野町、大原町、泉町付近から始まる何本かの支流が集まって、志村や坂下を流れていき、東坂下で新河岸川に流れ込んでいます。

すべて暗渠になっており、道路の形状でかろうじて、かつて川であったことが窺い知れるのみです。

見次公園の池も実は、出井川の水を活かして人工の池として作られているとのことです。

 

区からの報告によりますと、この出井川で何らかのトラブルがあって流れが詰まり、溢れ出した水によって浸水・冠水が起こったとのことです。

存在すら忘れられた川の「怒りの叛乱」のようにも感じられますね...。

 

合成したGoogleマイマップはこちらになります。

 

 

暗渠はどこにあるのか、どうやったら調べられる?

 

かつて川だったところが暗渠になるということは、板橋区のみならず、都市部ならどこでもあります。

そして、今回のようなことがありますので、水害を考える際には見えている川だけではなく、「見えない川」暗渠も考慮に入れる必要があります。

 

では、どこが暗渠なのか、どうやったらわかるのでしょうか?

「不自然にグネった道」などがあればわかりやすいのですが、必ずしもわかりやすく暗渠になっているとは限りません。

 

暗渠になっているところがどこか調べるための方法はないか?と区役所の土木部管理課に聞いてみたところ、このような答えが返ってきました。

 

「暗渠になった河川の多くはフタをしただけではなく、下水管を入れて下水道化させています。東京都下水道局HPの『下水道台帳』を見ると、23区内の下水道管が走っている場所がわかりますので、これを見ると暗渠になった川の位置がある程度わかります」

 

SEMISインターネット配信システム

 

なるほど、ものすごい詳細な下水道情報がわかりますね...!

下水管がある深さや、下水管の材質まで記録されています。

 

ただし、「以前は川だった下水道」だけではなく「新たに建設された下水道」もこの下水道台帳には書かれていますので、これだけで「以前に川だったかどうか」がわかるわけではなさそうです。

ただそれでも、ネット上で調査できる情報ソースとしては利用価値があると思います。

皆様もご自宅の近くに暗渠があるかどうか、改めて確認してみてはいかがでしょうか?

 

中妻じょうた 板橋区議会議員

https://www.facebook.com/jouta.nakatsuma

(2015年9月14日「中妻じょうた公式ブログ」より転載)