【中日】和田、今季限りで引退 プロ19年美学貫く
中日・和田一浩外野手(43)が、今季限りで現役を引退することが11日、分かった。プロ19年目の今年は6月に通算2000安打を達成したが、昨年8月に死球で右手首骨折、同年11月に右膝手術と満身創痍(そうい)。本来のパフォーマンスを発揮できない状況から、ユニホームを脱ぐ決断を下した。
和田が自らの美学を貫き、惜しまれつつユニホームを脱ぐ。3日のDeNA戦で4番を務めるなど、現在も主力として存在感を発揮しているが、痛みを抱える両膝はすでに限界を超えており、試合終盤に代走や守備固めを送られることが多くなった。「走攻守すべてそろったプレーが持ち味」と自負してきたが、特に走塁と守備面で、思い描くプレーができなくなった。
オフだったこの日、和田はスポーツ報知の取材に「僕からコメントすることはありません」と言葉を濁したが、すでに近い関係者には現役引退の決意を伝えている。
昨年11月に右膝の内視鏡手術を受け、今季開幕前には左膝痛も併発した。球団が昨年12月にリカルド・ナニータ外野手(34)を獲得したのも、和田が本来の働きを取り戻すのに時間がかかるとの判断があった。
それでも5月26日のソフトバンク戦(ナゴヤD)から1軍に復帰すると、6月11日のロッテ戦(QVC)で通算2000安打を達成し、念願の名球会入りを果たした。8月16日の巨人戦(ナゴヤD)では、史上3人目となるセ、パ両リーグでの1000安打を達成。故障と闘いながらも、常に竜をけん引してきた。
30歳で初めて規定打席に到達し、遅咲きの花を見事に咲かせた“ベンちゃん”が、シーズン残り14試合を戦い抜き、静かにバットを置く。
◆和田 一浩(わだ・かずひろ)1972年6月19日、岐阜市生まれ。43歳。県岐阜商から東北福祉大、神戸製鋼を経て96年ドラフト4位で捕手として西武入団。2007年オフにFAで中日移籍。05年に首位打者と最多安打、10年にリーグMVP。ベストナイン6度。日本代表では04年アテネ五輪で銅メダル、06年WBCで世界一。04年に結婚した絵美子夫人との間に3男1女。182センチ、90キロ。右投右打。年俸2億円。