北川慧一、編集委員・沢路毅彦
2015年9月12日03時04分
過去2度も廃案になり、政府が「三度目の正直」で国会に出していた改正労働者派遣法が11日、衆院本会議で可決、成立した。企業は人を代えれば派遣社員を使い続けられるようになった。働き手からみると、3年ごとに職を失う危機に陥りかねない。1985年の制定以来となる大転換だ。
これまで企業が派遣社員を受け入れられる期間は、専門的とされる「26業務」に制限は無く、それ以外は原則1年、最長3年だった。改正法はこの制約を事実上撤廃し、最長3年ごとに人を代えれば同じ仕事を派遣社員に任せ続けられるようになる。
派遣社員の働き方は大きく変わる。最も影響するのは、これまで派遣期間が無制限だった26業務の人たちだ。
都内に住む50代の派遣社員の女性は約15年間、「事務用機器操作」として、同じ会社でパソコンを使って経理書類の作成などに携わってきた。お茶出しや電話受けといった様々な業務もこなしてきた。
これまでは3年を超えて派遣社員として働くことができた。だが、今後は派遣会社で無期雇用されている場合を除いて、同じ部署での勤務は3年まで。女性は今年に入って派遣先から「3年後にはやめてもらう」と通告を受けた。法改正を理由にされたという。
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