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 リッパート駐韓米大使が今年3月、ソウル市内で刃物で切りつけられ大けがを負った事件で、ソウル中央地裁は11日、殺人未遂などの罪に問われた韓国人の金基宗(キムギジョン)被告(55)に懲役12年の実刑判決を言い渡した。求刑は懲役15年だった。

 金被告は、北朝鮮を称賛するなど国家の安全を脅かす活動を規制する国家保安法違反の罪でも追起訴されていたが、判決は同法違反については無罪とした。

 判決によると金被告は、北朝鮮が米韓合同軍事演習を理由に南北対話の中止を宣言したことから、米大使を殺害して演習の不当性を訴えることを決意し、大使を切りつけた。

 検察側は金被告の主張などから、北朝鮮に追従したなどと判断し、国家保安法違反の罪でも追起訴していた。ソウル中央地裁は金被告の行動や主張は国家の存立や安全、自由民主主義を脅かしたとは認められないとして退けた。

 金被告は2010年、当時の重家俊範・駐韓日本大使に石を投げつけた事件で有罪判決を受けている。(ソウル=東岡徹)