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モーニング娘。’15が再ブレイクできない理由と「間違いだらけのプロモーション戦略」

MEDIA NEWS ハロプロ

今年の8月19日、モーニング娘。’15が通算59枚目のシングル「Oh my wish!/スカッと My Heart/今すぐ飛び込む勇気」を発売する。

 3曲のうち、おそらくメディアで披露する機会が多いのは「Oh my wish!」だと思われるが、今回センターに抜擢された鈴木香音が「10キロダイエットネタ」でひと笑い取れるとはいえ、もはや飽きられはじめているこの ネタだけを頼りに新曲を売り込んでいくのは、やや心もとないものがある。だからといって、他に世間に提供できるネタを仕込めるメンバーもいないのが、今の モーニング娘。’15の弱みだ。

 

 

 

 

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#モーニング娘。'15の課題

モーニング娘。'15『Oh my wish!』(Morning Musume。'15[Oh my wish!]) (Promotion Edit) - YouTube

 

 

 

 

現在のモーニング娘。’15に、かつて「再ブレイクか!?」と持ち上げられ、5作連続オリコン1位を獲得していた頃の人気はない。

人気の低迷の理由を、世間は「道重さゆみの卒業」によるものだと考えているだろう。だが、ずっとモーニング娘。を見守ってきたファンには、それが決定的な理由ではない事が分かっている。というのも、道重さゆみがまだモーニング娘。に在籍していた頃から、すでに人気に陰りが見え始めていたのは、明らかなのだ。

 

パフォーマンスでは他のアイドルと一線を隠すほどの実力を持ちながら、何故モーニング娘。’15は再ブレイクできないのか。

その原因は、彼女たち自身にではなく、モーニング娘。’15のプロモーションが下手すぎる彼女たちの所属事務所、「アップフロント」の手腕にある。

 

ことごとくシングル曲のチョイスを間違うモーニング娘。

モーニング娘。の楽曲は、これまで全てプロデューサーであるつんく♂が担当してきた。

どこか昭和臭のする歌謡曲、アイドルらしからぬ泥臭さは時に「辛気臭い」とも言われるが、それでもファンはつんく♂の曲を心から愛して応援してきたのだ。

 

しかし、「One・Two・Three」のヒットを受けて、ここ1~2年、EDM路線の楽曲ばかりを立て続けに発表し始めたころから、ファンの間では「またEDMかよ」という言葉が合言葉になっていった。個性を殺したフォーメーションダンスへの移行、個人の判別がつかないほど加工された歌声の多様は、ファンを飽きさせていく原因にしかならなかった。

 

かつて「LOVEマシーン」を発売した頃からモーニング娘。を応援しているファンは、きっとこの一連の長れを予想出来ていたはずだ。

当時も、「LOVEマシーン」のヒットを受け、「恋のダンスサイト」、「ハッピーサマーウエディング」、「ザ☆ピース」と、似たテイストの曲を発売したためにファンに飽きられ、5期メンバーの増員が人気低迷に拍車をかけた。いわゆる、「モーニング娘。暗黒期」のはじまりである。

 

こうした流れの原因が、つんく♂の作る曲のクオリティの低さにあるというわけではない。ただ、シングル曲として発売する曲が、A面として扱うにはことごとくふさわしくない、というだけだ。

 

たとえば、53枚目のシングル「ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない」では、カップリングの「A B C D E-cha E-chaしたい」の方が遥かにクオリティが高いし、メンバー個人の見せ場もあるこちらをシングルA面にしてテレビに出演すれば、メンバーがソロでカメラに抜かれるシーンも増え、新たなファンを獲得出来たかもしれない。

 

 

さらに、54枚目のシングル「わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団」では、この2曲を両A面にせず、それぞれA面扱いにして、別々にリリースした方が良かった。

なぜなら、「愛の軍団」のフォーメーションダンスの完成度は極めて高く、テレビで披露すれば視聴者や他のアイドルのファンにも圧倒的なインパクトを与えられたに違いないからだ。

 

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モーニング娘。 『愛の軍団』(Morning Musume。["GUNDAN" of the love]) (MV) - YouTube

 

 

「愛の軍団」は軍服風の衣装も可愛く、中高生が中心メンバーになっている「新生モーニング娘。」の可愛らしさをアピールするにはまたとない機会だった。

どうしてアップフロントは、ここで「曲を出し惜しみする」という選択が出来なかったのか本当に疑問である。

 

 

さらにがっかりしたのは、12期メンバーのお披露目曲でもあったはずの58枚目のシングル「青春小僧が泣いている/夕暮れは雨上がり/イマココカラ」が、3曲ともシングルとして売り出すには、キャッチーさ、インパクト、話題性など全ての要素において「色々足りなさすぎた」ことだ。

多くのテレビで披露した「青春小僧が泣いている」にいたっては、古参のファンでも「これは売れないだろう…」と発売前から危機感を感じるほどだった。事実、この危機感は現実のものとなり、売上は前作「TIKI BUN」を下回っている。

 

 

先だって発売されていたアルバム「14章~The message~」の中には、純粋な「楽曲の良さ」だけで戦えるほどの良曲「笑えない話」だってあったはずなのに、どうしてこの曲を温存せずに、つんく♂とアップフロントは「青春小僧が泣いている」をシングルにしたのか。

 

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モーニング娘。’15 DVD MAGAZINE Vol.71ダイジェスト - YouTube

※「笑えない話」は2:10頃~

 

 

シングル曲に必要なのは、「イントロの求心力」と「サビの明確化」だ。モーニング娘。に興味のない一般人にいくら曲を聞かせても、どこで盛り上がればいいのか分からないような曲ならばファン以外に受け入れられるはずがない。

 

 

最近のモーニング娘。のシングル曲はどれもA、Bメロとサビの境界がはっきりせず単調だ。今だからこそ、「ピョコピョコウルトラ」のような分かりやすくキャッチーな曲をシングルにして、曲の話題性を足がかりに12期を売り出すときではないのだろうか?

 

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モーニング娘。『ピョコピョコ ウルトラ』 (MV) - YouTube

 

 

10期メンバーのお披露目曲となった「ピョコピョコウルトラ」。

「ハロプロらしさ、モーニング娘。らしさ」を集約したような曲であり、今のモーニング娘。'15が失ったものが全て詰まっているように思う。

 

今後はシングル曲をもっと慎重に選んでいかなければ、モーニング娘。’15からのファン離れがますます加速してしまう一方だ。

 

 

代わり映えしないMVはすでにファンにも飽きられている

EDM路線にシフトしてからのモーニング娘。’15のMVに漂っているのは「マンネリ感」である。スタジオでのダンスシーン、時折挟まれるメンバーのリップシーン、そしてバックライトを浴びて踊るメンバーのソロカット。

これらの映像のにはコンセプトも感じられず、ただ「かっこいいフォーメーションダンスが出来るんですよ!私達!」という主張しか込められていないように思える。

 

56枚目のシングル「時空を超え 宇宙を超え」のMVでは、ダンスシーンをメインにするよりも、歌詞をなぞってストーリー仕立てにした方が、遥かに曲との一体感が生まれていたはすだ。舞台を経験したメンバーは、表現力も上がっているからきっと素晴らしいMVが出来ただろう。

 

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モーニング娘。'14 『時空を超え 宇宙を超え』(Morning Musume。'14[Beyond the time and space]) (Promotion Ver.) - YouTube

 

 

にも関わらず、あいも変わらずダンスとリップシーンの繰り返しで、代わり映えしない。ファンはもう似たようなMVにお腹いっぱい状態だ。YouTubeでは日本だけでなく海外のファンもMVを見る。海外展開を視野に入れているなら、この代わり映えしないMVが、モーニング娘。’15の再ブレイクの足かせとなっている事に、早くアップフロントは気づくべきだ。

 

最新59枚目のシングルのうちの一曲「今すぐ飛び込む勇気」においては、もはやコンセプトさえ意味不明で、何をもってあのようなMVを撮ったのかファンでも首をかしげている人が多いのではないだろうか。

 

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モーニング娘。'15『今すぐ飛び込む勇気』(Morning Musume。'15[the courage to jump in right now]) (Promotion Edit) - YouTube

 

「今すぐ飛び込む勇気」の歌詞には、「水鳥みたいに飛び立とう」というわかりやすいキーワードがあるのだから、せめて白か青ベースの衣装(この際、シンプルなワンピースでも良い)で、野外で撮影したほうが、どう考えたって曲の雰囲気には合っているだろう。素人の私が言うのも何だが、この曲の衣装は絶対に「赤」のイメージではない。

それに、変な箱に腰掛けているくらいなら、まだ「女と男のララバイゲーム」のように、水面に立っているだけのほうが分かりやすいというものだ。

 

以前、2015年初旬にフジテレビの「The ビッグチャンス」という番組内でモーニング娘。のMV監督オーディションという企画があり、三人の監督が「わがまま 気のまま 愛のジョーク」を課題曲に、彼女達のMVを撮影した。くしくもグランプリは逃したが、その中の1人が撮影したこのMVの方が、よほど「今すぐ飛び込む勇気」の雰囲気にあっている気がする。

 

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モーニング娘。'14 MV監督オーディション・BLUE - YouTube

 

 

どうだろう、今から交渉してMVを撮影してもらうというのは……(無理か)。

 

 

 

メディア戦略の方向性の迷走、その番組は誰に向けたもの?

モーニング娘。’15は、現在YouTubeに専門のチャンネルをもっている。

www.youtube.com

新曲のMVやTVCMのスポット映像などをアップしているが、このチャンネルは、まあこのままでもいいだろう。

 

アップフロント系列では他にも、「ハロステ」、「The Girls Live」、「MUSIC+」、「Green Room」などの番組があるが、どれも似たりよったりな番組で、視聴者に何を伝えたいのかがよく分からない。当然、視聴率も思わしくない。

 

ハロ!ステ 」は、モーニング娘。’15だけでなく、℃-ute、アンジュルムなど、他のハロプログループの活動などを紹介する番組。

GREEN ROOM」や「MUSIC+」は、コンサートの舞台裏やレコーディング風景など、レアな映像を見ることができる。

しかし、「The Girls Live」は、様々なハロプログループのメンバーが衣装をセレクトし、その衣装を着て別のグループがスタジオライブをするだけの番組だ。

メンバーのプライベート感を楽しむには物足りないし、スタジオライブも代わり映えしないし(ハロステのコンサート映像を見たほうが遥かに良い)、この番組ははたして必要かと問われれば、ファンでもNOと答えるだろう。

 

モーニング娘。’15を再ブレイクさせるための戦略

批判をし、文句を垂れ流すだけなら誰でも出来る。

そこで、私は今後モーニング娘。’15が再ブレイクするためには、どうしたら良いのか、割りと本気で考えてみた。

 

メンバーを2グループに分け、パフォーマンスの向上と露出度UP

実際に観客席から見ると、今の13人体制はステージ上がごたついて、とても見にくい。凝ったことをしている(はずの)ダンスも、人数の多さのせいで台無しだ。

そのため、13人をかつてのさくら組、おとめ組のような2つのグループに分けてパフォーマンスさせた方が、今のモーニング娘。'15には合っているような気がする。

 

今後もシングルはトリプルA面シングルにすれば、グループ別で2曲、13人で歌うメイン1曲と、バランスも良い。個人の露出も増えるようになるし、メンバーももっとのびのびとパフォーマンスが出来るだろう。

帰国子女の野中には英語詞を歌わせ、佐藤にはピアノを弾かせる。アクロバットが得意な生田は飛び道具として使い、ダンススキルの高い鞘師や石田には、もっと難しいダンスをさせたっていい。

 

今のモーニング娘。’15のコンサートは、「与えられたことをこなすだけ」の面白みのないものになってしまっている。もっとアドリブを入れたり、客を煽ったり、昔のモーニング娘。が持っていた「自由さ」が感じられないのだ。

少数人のグループに分けたとき、モーニング娘。’15はもう一皮向けたパフォーマンスが出来ると信じている。アイドルグループの皮をかぶったアーティスト集団の彼女達なら、ジャニーズも真っ青のダンスを見せてくれることだろう。

 

低予算でもメンバーの魅力が伝わるMVを作る

アップフロントがMVに予算をかけたくないのはよく分かっている。だが、作ろうとさえ思えば低予算でも良いものは出来るのだ。それも、ファンが本当に心から「見たい」と思っているMVを。

 

 

アイデア①

野外での撮影。メンバーに8mmカメラを渡し、メンバーや風景、好きなものなどプライベート風の映像を撮影させ、切り貼りしてMVに仕上げる。

例:Perfume「マカロニ」

 

 

アイデア②

ワンカットの長回しで、ダンスシーンを撮影。失敗しても、その様子もMVに含める。個々のリップシーンはなく、たまにカメラに向かってドアップさせるなど、ひたすらメンバーがわちゃわちゃしているだけ。

例:モベキマス「ブスにならない哲学」

 

 

アイデア③

レコーディング映像を13分割したものをMVに使用する。一番低予算で、一番ファンが見たいと思っているMV。

 例:モーニング娘。「ピョコピョコウルトラrecording ver.」

 

アイデア④

メンバーが1人ずつ監督になり、MVを撮影。完成した作品はYouTube上で人気投票。シングルにもそれぞれ1MVずつ収録して13パターン展開すれば握手券を封入しなくても売上は期待出来る。

→最下位のメンバーは罰ゲームとして全国行脚(例:生田握手会イベントへの旅)

 

 

アイデア⑤

曲の音源と映像の素材を数パターン提供し、ファンに自由にMVを制作してもらう(いわゆるMADみたいなもの)。The Girls Liveの中でメンバーがMVを審査。グランプリはanother ver.としてYouTubeで配信。

→モーニング娘。には興味がなくても映像制作に興味がある一般人に興味を抱いてもらえるきっかけになる。また、自身のブログやTwitterに作品を掲載してもらえることも考慮すると、宣伝効果も◎!

 

 

 

「The Girls Live」は、もっとバラエティ色の強い企画を作れ!

毎回、バカの1つ覚えみたいにライブ衣装のコーディネート企画なかりやっている「The Girls Live」。視聴率が取れないのだから、もっと思い切った内容に改編しても良いと思う。

 

ただでさえ、ハロープロジェクトのグループは、揃いも揃ってトーク力がない。そのせいで、バラエティに出演しても面白い事が言えず、次の仕事に繋がらない。だから、「The Girls Live」でバラエティ企画を行い、メンバーのバラエティ耐性とトーク力を鍛えることが出来れば、もっとプロモーションに活かせるはずだ。

27時間テレビの惨敗で、このご時世にバラエティを作る事の難しさは嫌というほど理解しているが、面白い企画は何年たっていようがその面白さは変わらない。

現に、ハロープロジェクト内には罰ゲームでも何でもないのに、自分から進んで蚕の缶詰を食べるような猛者もいる。(気になる方は「宮本佳林+蚕の缶詰」で検索!)

 

こういう子を自然の中に解き放てばどうなるか想像つかないし、芸人よりもいいリアクションをするのでは?という気がする。可愛い顔して度胸や根性がある子が多いのも、ハロープロジェクト所属アイドルの凄さでもあるのだ。

しかし、それをアピール出来る場所がないために、世間に知ってもらえないという現状…。The Girls Live関係者は一度、以下のDVDを見て新しい企画を考えて欲しい。

 

 

 

以前、何かの番組でメンバーが縫い針に糸を通す秒数を競うだけの企画があったが、こんなささやかな企画こそ、ファンが求めているものだということに早く気づいて欲しい。

とにかく、基本的に仲間内でわいわいやっていれば、それだけでファンは満足なのだ。DVDマガジンの焼肉回が好評だった事を思い出せアップフロント!今のコーディネート企画よりは必ず数字が取れるはず、頼むぜアップフロント!

 

まとめ

最後に言っておくが、私はモーニング娘。’15が大好きだし、だからこそこのまま暗黒期に突入せず、もっと高みに登っていってほしいと願っている。

そのためには、彼女達の努力だけではどうしようもない問題に対してフォローをしながら、アップフロントはモーニング娘。’15がより上を目指せるようにプロモーションを展開していってやるべきだ。まず手始めに、メンバーの体力を消耗させるだけの握手会を廃止にするところから始めてみてはどうだろう。

 

握手会商法という売り方で天下を取ったAKBは、今や多くのファンと同時に大勢のアンチも抱えている。そして彼女達の歌う曲は、握手券の獲得のみが目的になり、もはや見向きもされなくなってきている。CDを「ゴミ」に変え、目先の利益に走って音楽業界にとどめを刺した結果だ。「ハロプロエッグ」を「ハロプロ研修生」に改名し、AKBと同じようにCDに握手券を封入したりと秋元康の後追いばかりをしているアップフロントとハロープロジェクトは、今のAKBの姿からも学ぶべきことがあるだろう。