さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われた2015年ロシアワールドカップ二次予選「日本対カンボジア」でお送り致します。
今回の試合なんですが、先日にプレビューやった時に言及しましたが、最初の見所が「カンボジアがスカウティングの予想通りの入り方をしてくれるかどうか?」でした。具体的には、相手が5311で試合してくれるかどうかにかかってました。結果はどうだったかというと、カンボジアは日本が想定していた通りの布陣できてくれました。つまり、5311でした。日本のフォメも、前日にメディアにすっぱ抜かれたのと全く同じ。4231でしたんで、
こうなってました。
これ、プレビューで書いたことですが、4231と5311がやりあった場合、
この白で○で囲ったスペースが問題になります。あそこはデフォで空いてます。このサイドがデフォで空いてる問題は、日本代表の選手も事前に知らされていたらしく、モリゲが
森重真人(FC東京)
「集中力が一番大切な試合」
ビルドアップのところが今回の試合はできると思うし、サイドのスペースが空くので、サイドからどういう形で中にうまく入り込んでいくのか。そういった形を今回の合宿で練習していましたし、最初から中、中ではなくて、引いてくる相手に対してサイドから始めて、うまく中を使いながらというのができると思う。基本的にはサイドや相手の裏というのを狙っていくと思います。
こんな事を前日に言ってるんですね。モリゲらしいというか、メディアにチームの基本戦術を喋ってくれてるわけで有り難い事この上ないですホントに。モリゲのコメント見る限り、サイドのスペース使った攻撃を練習してたらしいので、それメインになるだろうなあとは思っていた訳なんですけどね。
(ちょっと心配なのは、CBがこんなにチーム戦術をべらべら喋っていいのだろうか・・・って事位です。)
まあ、それはチームの問題なんで、本題に入りましょう、今回の試合のレビューを開始します。今回はホントにレビューやるのは楽な試合で助かります。
日本対カンボジア、前半のレビュー
さて、この試合の場合、カンボジアは日本のスカウティング通り、5311で入ってきてくれました。日本はいつも通りの4231。さて、この試合で最初に見られたカンボジアの守備方法ですが、
こーなってました。プレビューでも扱いましたけど、これはほぼ予想通りの動き方です。図にすると、
こうなるんですけど、ここで大事なのはカンボジアのトップ下が日本のボランチを必ず捕まえる事。インサイドハーフはSBのマークに出るし、中央のアンカーはトップ下をマークしとく必要があるので、トップ下が必ずボランチ捕まえないといけない。とまあ、このシーンはカンボジアに問題ねぇんです。
ただ、問題はここからで。
これね、前半3分あたりから、主にカンボジアの左WBがおかしな事はじめるんですけど(左WBの16番は前半で交代させられちゃうんですが)
ここでのカンボジアの守備陣の動きは特に間違って無くて、本田がDFを背負う状況でボール受けざるを得ない状況に追い込んでます。これ、DFにとっては非常に対処しやすい状態で、「ボールも人も視界にいれた状態」で、「相手はゴールを背にしてボールを受けてる」訳で、DFが圧倒的に有利な状態なんです。ところが、ここでカンボジアのインサイドハーフ(以下、IH)とWBは本田がターンして前にパス出せる状態にしちゃうんです。
これは絶対にやってはいけない守備で、途中まではカンボジア有利だった状況が、本田をターンさせちゃったことで、カンボジア超不利って状況に変わっちゃったんです。この後、酒井はサイドを抉ってクロス。得点はできませんでしたけど、抉ってクロスで終われたんで、日本にとってはグッドな攻撃でした。
この日の前半に目立ったのは、日本の右サイドで、本田がちょっと引いてくれば、簡単にボールうけて前むけるんで、もうひたすら右サイド攻めてれば良いみたいな状態でした。これ、プレビューでも言いましたが、
あの位置でWGがボール受けて前向けたら、あとはWGが好きにやれば良いだけなんです。具体的には、
1,SBのオーバーラップ使う
2、トップ下とのワンツー
3、カットインしてミドル、あるいはファーへのクロス
4、縦突破クロス
5、中央に斜めにパスいれてCFとトップ下がスルーをつかったコンビネーション
って選択肢のうち、WGが好きな事をやれば良い。
普通、あそこで簡単に前向かれてしまうと、上記のような攻撃を雨あられとやられる事になる為、簡単にWGに前向かせたりはしないんですけど、この試合の前半の場合、カンボジアの16番のWBのマークが異常に緩くて、これ、確認した限りだと、
もう、延々とこのリプレーなんですが、日本が先制するまで、同じパターンでやられてんですよね、カンボジア。この試合に関して言えば、サイドのスペースガラ空きな上に、本田がちょっと引いてくれば、簡単にボール受けて前むけるので、サイドの本田にボール出して、あとは本田が好きにやればいいって試合でした。で、26分に本田のミドルで日本が先制。
試合のプレビューで「5311ならスペースあるからやりやすい、541だと面倒」って話しましたけど、なんできついかってーと、図で説明しますけど
こうなるんですが、541だと本田が引いてきてボールうけるスペースがまず無いんです。サイドに一人選手いますからね。それに、サイドにボール出しても、
こんな感じで対応されるので、サイドで守備側が数的有利作れるんですわ。CFがボランチ捕まてくれる事が条件ですけど、これやられると本当に面倒くさくなる。正直な話、前半は「なんで541にでドン引きしないんだろ?」と不思議でした。
この日の前半ですけど、問題があったとすれば、
1,武藤が左サイドでもっとやれただろって所
2,香川が二回も決定機外した所。29分と41分の奴
3、岡崎に楔いれるの少なすぎ
って感じでした。この日、左サイドの武藤については、もうちょっとやってくれないと困る試合でした。ちょっと引いてくればフリーで前むけるというWGにとっては夢のような試合だったわけで、この試合の前半の武藤には不満があります。香川については言わずもがな。あの決定機を二回も外すのはありえない。岡崎への楔については、キャプでちょっと説明しときますが、
こーいうシーンだったんですが、この試合、カンボジアのアンカーはわりと香川にぴったりついてました。アンカーがトップ下にぴったりとついてるなら、トップ下の動きでアンカー動かして、CFに楔いれてきゃ良い訳です。ところが、この日、岡崎になかなか楔入らなくて、イラッと来るシーン多かったです。岡崎はボール要求してるんだけど、ボールでてこねぇんですね。山口と長谷部のダブルボランチなんでしょうがないのかもしれませんけども。
とまあ、前半の感想はそんな所です。前半44分にカンボジアは16番を懲罰交代。守備が軽すぎましたし、当然です。これ、そもそも論なんですが、16番の選手、FW登録なんですよ。代わりに入った18番はDF登録。なんでFW登録の選手を本田とマッチアップさせてたの?と、普通に聞いてみたい。
日本対カンボジア、後半のレビュー
さて、こっからは後半です。前半と後半で、何が違ったかというと、カンボジアの左サイドにD登録の選手Fが入ったって所です。新しく入った18番の選手は、本田をわりとタイトにマークしてたので、本田が前半みたいに簡単に前むけるって事は無くなりました。
でもって、後半4分に吉田のミドルで日本は二点目。あれはビックリしました。
この後、後半8分あたりで、香川と武藤が位置を入れ替えてます。本田のいる右サイドはマークがタイトになってたんで、左サイドで起点作りたかったんでしょう。後半8分以降は、前半の右サイドのリプレー状態で、
こんな感じで、香川が簡単に前向けるんで、あそこから攻めてりゃいいだけでした。中央の場合、アンカーとCBにタイトにマークされて中々前向かせてもらないですけど、あそこだと、ホント簡単に前向けるんです。この後、15分に香川がごっつぁんゴール決めて3点目。この日は香川が二回トーレスしてたんで、3回目やったらピクシーばりに「次やったらコロヌ」状態だったんですが、3回目が来なくてよかったです。いやホントに。
この日の試合なんですけど、試合中、延々と「宇佐美と原口いれろーー」ってtwitterで喚いていたんですけど、なんで原口と宇佐美かっていうと、この日の試合は、サイドでWGが前向き放題だったからです。この日のカンボジアなんですが、中央は凄くタイトにマークするしスペースも無い反面、サイドのスペースは放置、WBのマークがゆるゆるって試合だったので、WGにとってのパラダイスみたいな状況がサイドに出来てました。試合中、宇佐美と原口の映像が出たとき、「試合でたくてしょうがないだろうなあ」と思って眺めてましたが、あんだけサイドにスペースあるなら、のっけから原口と宇佐美でも良かった位なんです、いやマジで。二人とも、この試合ではチャンスをそれぞれ貰えた訳ですけど、この試合なら最初からも良かったかなと。
この日のハリルホジッチなんですけど、交代策も妥当でしたし、戦術面でも上手くいってました。香川と武藤の位置を取り替えたのもいい判断でしたし、僕の中でハリルホジッチの株が上がった試合でしとさ。
3点じゃ物足りないって論調もありますが、香川が二回トーレスしてなきゃ、5点とって終わってた訳ですよ。なんで、3点しか取れなかったのは選手の最後の部分としか。
そろそろまとめに入りますが・・・
この試合の後半はあまり書くことがありませんので、そろそろまとめにはいります。
この日の試合なんですけど、率直に言って、勝てて良かったです。いや、本当に。ここで負けたりしたら、ハリルホジッチの進退問題に発展しかねない試合だった為です。流石にここで監督交代は不味い。二次予選の真っ最中ですから。
この試合に関してはプレビューやってしまった分、書くことが少ない試合です。長谷部が「ダイレクトプレーが少なかった」って反省してましたけど、岡崎にもうちょい楔入れる事を意識して欲しいってんは有ります。岡崎が要求してるのに出てこないシーンを結構みかけたんで。もっとも、サイドに開けばWGが簡単に前むける試合だったので、サイドサイドになっちゃうのはしょうがないのですけれども。
ダイレクトプレーする必要があるのは、WGがタイトにマークされて、サイドでなかなか前向けない時ですけど、この日の場合、サイドで簡単にWGが前向けてた訳で、WGが前むいて好きにやればよいだけの試合だった事もあり、あんまし、ボランチを攻める気はないんですけどね。結局、この試合のまとめは、「WGがサイドで簡単に前向けるなら、WGが好きにやれ、以上」で終わってしまうので、書くことがホントにないんです。サイドはマークがタイトでWGがなかなか前向けない、中央もしっかり固められてる、みたいな試合の場合、工夫が必要になってくるんですけど、この試合の場合は、そうじゃなかったので。
次はアフガニスタン戦なんですけど、またハリルホジッチがドジッ子やって、風のいたずらで、日本のスタメンとアフガニスタンのフォメが流出したら、プレビューやります。流石にないでしょうけど。
今日はこのあたりで。それでは。