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Netflixがいよいよ日本市場に参入! 定額制動画配信サービス市場を俯瞰する

(2015/9/4 06:00)

 オンラインでの動画視聴と言えば、1作品あたりに数百円を支払い、2日間程度の期間だけレンタルするのがこれまで一般的だった。街中のレンタルビデオ店を行き来するのに比べても十分便利だが、それすら覆すサービスが注目を浴びている。月500〜1000円程度の料金で、数千本の商業作品が見放題となる“定額制”の動画配信だ。SVOD(Subscription Video on Demand)とも略される。

 その端緒が、世界最大級の定額制動画配信事業者「Netflix」の日本参入である。9月1日ついに正式サービスを開始。一般マスコミによる「黒船来航」の評を見聞きした方も多いことだろう。果たして、Netflixは動画配信の常識を日本でも変えることができるのか? これを迎え撃つライバル事業者の動向とあわせて見ていこう。

「Netflix」日本版サイト

Netflix参入で俄然注目! 定額制動画配信サービス

 定額制動画配信の魅力──それはコストパフォーマンスの良さに尽きる。DVD・ブルーレイの販売が始まったばかりの新作こそないものの、公開から2年程度経った映画やドラマはズラリ。ボリュームも尋常ではない。また、各事業者ともオリジナル作品を充実させる傾向にある。無料お試し期間を活用して、ぜひ多くのサービスに触れてみてほしい。

 なお、本稿における価格表記は、特記ある場合を除いて税別としている。

Netflix

https://www.netflix.com/jp/
 全世界での会員数6000万人超。世界最大級の定額制動画配信サービスとされる。日本市場参入の発表は2015年初頭だったが、約半年を経ていよいよ正式サービスを開始した。料金プランは月額650円・950円・1450円の3種類で、視聴画質および同時視聴数がそれぞれ異なる。最上位プランでは一部作品を4K画質で視聴できる。

 視聴用デバイスはPC(Windowsストアアプリもあり)、iOS/Androidなどの各種スマートフォンやタブレット、ゲーム機のPlayStation 3/4など。2015年になってからはNetflix視聴機能を備えた液晶テレビ/ブルーレイ再生機のリリースがスタートしている。

 実際にログインすると、アカウント登録とは別に視聴ユーザーも設定する必要がある。恐らく家族での利用を想定したもので、作品のレコメンドにも使われるのだろう。また、作品一覧はポスターがならぶ体裁になっており、テキスト表記が極力廃されているのも印象的。

 正確な作品数は未公表だが、ハリウッド大作級の映画はもちろん、国内のドラマやアニメも相当数ある。海外作品では吹替版が用意される確率もかなり高い。一方で、ミュージックビデオやスポーツについては手つかずといった印象。作品の出演者などをもとにワンタップで他作品を検索する機能もないようだ。

Amazon プライム・ビデオ

http://www.amazon.co.jp/pv
 通販サイトのAmazonが、年額3900円(税込)の有料会員制度加入者向けに提供を予定している新サービス。海外ではすでに相当サービスが始まっていたが、日本でも9月下旬からスタートする。会員登録料以外の追加費用が発生しないにもかかわらず、動画を定額制で楽しめるため、コストパフォーマンスはかなり高いものとなりそう。マルチデバイス対応はもちろんのこと、現状で4Kコンテンツ配信を明言しているのも特徴。

Hulu

http://www.hulu.jp/
 米国系のサービスとして2011年9月に日本市場へ参入。現在は日本テレビが運営を行っている。月額料金は933円。作品ラインナップは映画・ドラマを中心に1万本以上。日本テレビ以外の国内主要テレビ局が制作する作品、例えばNHKの大河ドラマなども視聴できる。今年3月には会員数が100万人を突破した。

dTV

http://pc.video.dmkt-sp.jp/
 NTTドコモの定額制動画配信サービスとしてスタートしたが、現在は“キャリアフリー”型のサービスへと発展。NTTドコモの携帯電話を契約することなく、dビデオだけを利用することも可能。直近の発表では会員数は460万人とされ、国内では事実上の最大手事業者とみられる。また、運営がエイベックスと共同で行われている効果もあってか、音楽コンテンツに強みを持つ。料金は月額500円。

U-NEXT

http://p.unext.jp/
 セットトップボックス向けの映像配信サービスとしてスタート後、2012年からPCおよびスマートフォン向け配信を本格化させた。定額制動画サービスの月額料金は1990円だが、毎月1000円分のポイントが付く。これを最新作のオンライン視聴などに充当できる。

TSUTAYA TV

http://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/vod/top.do
 ビデオレンタルでおなじみのTSUTAYAによるサービス。8月31日にリニューアルされ、月額933円の「動画見放題プラン」を新設。標準の見放題作品ラインナップに加え、最新作を毎月2本まで楽しめるようになった。価格帯とタイミングを考えれば、明らかにNetflix対抗と考えていいだろう。物理メディアの宅配レンタルがセットになったプランは月額2417円から。

ビデオパス

http://www.videopass.jp/
 au携帯電話契約者向けのオプションサービスで、料金は月額562円。新作を楽しむためのレンタルチケットも毎月1本分もらえる。8月に行われたKDDIとテレビ朝日の協業発表会見によれば、会員数は100万人超。

UULA

http://uula.jp/
 こちらはソフトバンクとエイベックスのタッグによる映像配信サービス。月額料金は467円。ソフトバンク携帯電話料金と一緒に支払うように登録すると、1カ月の無料お試しが適用される。

定額動画、実はイロイロあるんです

 定額制のSVODに対し、作品を1本ごとに販売する形態は都度課金、TVOD(Transactional Video On Demand)と便宜上、呼称される。だが、その境目はかなり曖昧で、TVOD事業者が部分的に定額コースを用意しているケースはかなり多い。総合性を廃したジャンル特化型SVODとあわせてご紹介しよう。

バンダイチャンネル アニメ・特撮見放題

http://www.b-ch.com/contents/feat_monthly/
 「機動戦士ガンダム」シリーズを筆頭に、アニメ・特撮を専門的に配信するサイトとしておなじみ。30分アニメを1エピソード単位で購入・視聴できるが、近年は月額1000円の見放題プランを用意。全ラインナップのうち、4割程度が定額で楽しめるという。

dアニメストア

https://anime.dmkt-sp.jp/
 dTVと名前は似ているが、独立した別サービス。角川書店とのタッグのもとで運営されている。月額料金は400円。ドコモ携帯電話契約者でなくても加入できる点は共通している。サービス構成的にはほぼ完全にSVODだが、あくまでもアニメ専門という位置付け。

アニメパス

https://animepass.auone.jp/
 au携帯電話利用者限定のオプションサービス。月額料金は400円。対応端末は基本的にiOS/Androidのみ。ウェブサイトでは、雑誌「Newtype」とのコラボ企画も展開中。

アニメ放題

http://animehodai.my.softbank.jp/
 ソフトバンクのアニメ定額サービス。携帯電話契約が必須で、料金は月額400円。スマートフォンで受信した映像をHDMIケーブル経由でテレビ出力する機能も備える。

テレビ東京ビジネスオンデマンド

http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/
 テレビ東京系で放送中の経済ニュースやドキュメンタリーを月額500円の定額で楽しめる。過去のバックナンバーが豊富なのも特徴。「ニュースモーニングサテライト」についてはライブ配信も行う。

新日本プロレスワールド

http://njpwworld.com/
 月額925円で新日本プロレスの動画が見放題。地方大会も含めた主要大会のライブ配信、1980年代の名試合、現役レスラーを招いてのバラエティ番組などがすべて定額で見られる。iOS/Android端末からの視聴も可能。

パ・リーグTV

http://tv.pacificleague.jp/
 プロ野球・パシフィックリーグ6球団の試合映像を配信する。月額1450円の料金で原則すべてのパ・リーグ球団主催試合がライブとオンデマンドともに見放題となる(交流戦期間は課金体系が変更)。運営元のパシフィックリーグマーケティング株式会社には6球団が共同出資している。

パ・リーグLIVE

http://www.softbank.jp/mobile/service/pacificleague-live/
 前述の「パ・リーグTV」と違い、こちらはソフトバンク携帯電話契約者向けのサービス。対象となるパケット定額プランに加入していると、パ・リーグ球団主催の全試合をオプション料金なしで視聴できる。

KBS On Demand

http://www.kbs-tv.jp/
 韓国のテレビ局「KBS」によるオンデマンド映像配信サイト。韓流ドラマはもちろん、音楽やバラエティ番組などが定額で楽しめる。全番組が見放題となるプレミアムプランは月額5000円(税込)。

楽天SHOWTIME 月額見放題

http://video.rakuten.co.jp/svod/
 楽天の動画配信サイト。作品およびエピソード単位での販売を主体としたTVOD系のサービスだが、月額制のプランを一部で用意。例えばVシネマの「極上!マンスリーパック」は、月額500円であらかじめセレクトされた20本が見放題となる。

DMM.com AKB48グループ

http://www.dmm.com/lod/
http://www.dmm.com/monthly/idol/
 AKB48、SKE48、NMB48、HKT48各グループの劇場公演をライブもしくはアーカイブで配信するサービス。月額料金は各3066円(税込)。単品購入も可能。また、DMMではグラビアアイドル動画が見放題となるサービスも別途展開中。こちらは月額3000円(税込)。

GEO動画

http://douga.geo-online.co.jp/monthly/lp.html
 レンタルビデオ店のGEOでも動画配信サービスを展開中。月額980円の料金で約6000本が見放題になるとしている。ただし、洋画のラインナップはかなり弱い。

NHKオンデマンド

https://www.nhk-ondemand.jp/
 NHKで放送された番組をオンライン配信する。原則有料だが、ドラマの一部エピソードや予告番組については無料で配信されるケースもある。見放題プランは2種類あり、月額料金は各900円。対象作品が見逃し中心か、過去アーカイブ中心かで異なる。

日テレオンデマンド

http://vod.ntv.co.jp/
 日本テレビの映像配信サービス。ドラマやアニメで1シリーズ単位の見逃し配信パックを用意。例えば「花咲舞が黙ってない」は1800円相当で全話が順次視聴できる。また、プロ野球・巨人戦の主催全試合配信コースは月額1500円。

TBSオンデマンド見放題100

http://tod.tbs.co.jp/list/mihoudai100/
 TBSでは全配信ラインナップの中から一部をピックアップし、月額1000円の「見放題100プラン」にて公開している。例えば、9月の時点ではドラマ「ずっとあなたが好きだった」全13話(1992年)が対象となっているが、通常価格は30日間視聴できて1500円。

テレ朝動画

http://www.tv-asahi.co.jp/douga/
 人気番組のネット限定スピンオフ版などを配信中。また、アニメの「ドラえもん」や、自動車番組「カーグラフィックTV」では定額制配信を行っている。

FOD

http://fod.fujitv.co.jp/
 旧称は「フジテレビオンデマンド」。8月1日付けで正式に「FOD」に改称された。月額制(300円〜)かつTVODという独自の料金体系を採用。毎月充当されるポイントで作品を購入するのが基本だが、それとは別に会員向け無料動画を用意している。24時間体制のニュースチャンネル「ホウドウキョク24」も対象。

アクトビラ 月額見放題

http://actvila.jp/top/contents/monthly/
 テレビ単体で利用できるオンデマンド映像配信サービスとしておなじみ。作品ごとのレンタルに加え、月額制での定額配信プランも用意。映画、宝塚、パチンコ・スロット、アイドル、カラオケなどの映像が楽しめる。

ひかりTV ビデオ

http://www.hikaritv.net/services/video/
 ひかりTVは、NTTの光ファイバー回線とのセットで使える映像配信サービス。「お値うちプラン」「ビデオざんまいプラン」では、約1万本の作品がオンデマンドかつ追加負担なしに見放題で楽しめる。

J:COMオンデマンド 見放題パック

http://www.jcom.co.jp/service/tv/ondemand/vod_pack.html
 ケーブルテレビのJ:COMが展開中のサービス。衛星放送の有料チャンネルとほぼ同じ感覚で見放題パックを用意。例えば「J SPORTS セレクト」は月額1000円。映画やアニメのプランもある。

ライブ、キャッチアップ、広告付き無料……動画配信の次なる進化は?

 動画配信を巡っては、今後さらにサービスが高度化・多様化するとみられる。ライブ配信はますます増え、見逃し対策(近年はキャッチアップと呼ばれることが多い)、動画内広告もさらに本格化するだろう。定額制配信の先にどんな未来が待っているのか? そのヒントになりそうなサイトをまとめた。

TVer(ティーバー)

https://tver.jp/
 テレビ番組の見逃し配信は各局とも注力しているが、その象徴的な事例がこちら。民放キー局5社共同で10月からスタートする予定の無料見逃し配信専門サイトだ。テレビ番組違法アップロードの撲滅を大きな目標として掲げているが、ユーザーにとってのメリットも大きそうだ。チャンネルごとに10番組程度がラインナップされ、放送終了後1週間程度の公開となる予定。

GYAO!

http://gyao.yahoo.co.jp/
 日本における広告付き無料動画配信サービスの先駆け。2005年4月にUSENのもとでスタートしたが、現在はヤフーの傘下となっており、テレビ放送各局による見逃し配信の場として積極的に活用されている。

Dlife. CATCH UP

http://dlife-catchup.disney.co.jp/
 無料BSチャンネル「Dlife」では、見逃し配信用の独自アプリをスマートフォン向けに配信している。すべての番組が配信対象ではないが、海外ドラマ「キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿」をはじめ、ラインナップは意外と豪華。

エムキャス

http://mcas.jp/
 関東ローカル局であるTOKYO MXの一部番組が全国からリアルタイム視聴できるアプリ。利用は無料。オンデマンドではなく、タイムテーブルに則って配信される。このため、アプリを立ち上げても何も配信されていない時間がある

フジテレビNEXTSMART

http://otn.fujitv.co.jp/nextsmart/
 CS放送チャンネル「フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」とほぼ同じ内容をオンライン環境だけで楽しめる有料サービス。価格は月額1200円。視聴対応端末はPCおよびスマートフォン。

WOWOWメンバーズオンデマンド

http://www.wowow.co.jp/mod/
 有料衛星放送のWOWOWによるサービス。利用にあたって追加料金はかからない。配信番組は見逃し、ライブ、過去番組の3ジャンルから構成される。9月には全米オープンテニスや総合格闘技「UFC」がライブ配信され、スマートフォンなどから視聴できる。

スカパー!オンデマンド

http://vod.skyperfectv.co.jp/
 映画・スポーツなど多数のチャンネルを擁するスカパー!のサービス。各放送局がマルチデバイス配信を行うためのプラットフォームのような位置付けになっており、例えば「スターチャンネル」では無料見逃し配信を実施。一方で「Jリーグオンデマンド」は試合のライブ配信に活用している。

J SPORTS オンデマンド

http://front.jsports-ondemand.com/
 サッカーや自転車ロードレース中継で知られる衛星放送チャンネル「J SPORTS」が独自に運営している。放送の視聴契約と無関係に、単独で加入できる。月額料金は全ジャンル見放題プランが2400円、ジャンル限定プランが各1800円。

(森田 秀一)

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