現金っていいですよね！
日本円の印刷は国立印刷局で行っていますが、その窓口では一万円で新札が買えるそうです嘘です。
札束風呂って、ご存知ですか？
一言でいえば、札束で満たされた風呂のこと。
日本でよくエロ雑誌の裏表紙に掲載されている、「この◯◯で金も女も！」みたいな広告の定番写真。
最初に誰が始めたか定かではありませんが、男性がいやらしい笑みを浮かべながら美女をはべらせ、札束で満たされた風呂に入っているその光景は鮮烈であり、いろいろなウェブメディアが再現に挑戦しています。
しかし、その全てのお札を現金で行った人はいません。
ダミーのお札か、札束の上下のみを一万円札にしたものです。
それもそのはず…。
万札で湯船を満たすには3000枚の万札が必要らしい、つまり3000万円。
たとえ千円札で満たそうとも300万円もの現金が必要になる、その再現ですら高額のお金が必要なのだ。
だが、待てよ。
ベトナムの通貨・ドンは、桁数が多く観光客を戸惑わせることでも有名。
しかも、コインは流通しておらず、最小金額も紙幣…ひょっとしたら札束風呂が実現できるのではないか！
そうと決まったら、まずは3000枚の紙幣を用意しよう
先立つ物は金！この場合はちょっと意味が違うけど、真実には違いない。
という訳で、ホーチミン市内の金融街に来てみました。
といってもウォール街らしさは欠片もありません（私はウォール街に行ったこともありません）。
しかし、フランス統治時代からある国立銀行があったり、
そこかしこに銀行があるところからここは金融街なのだと改めて実感します。
特に停電を起こせないという事情もあるんでしょうか、電線を引き過ぎてタタリ神と化しています。
こちらの立派なVietinBankに換金へ。
ちなみにここを選んだ理由は、一店舗目で換金をお願いしたら「VietinBankへ行け」と言われたから。
余談ですが、VietinBankは三菱東京UFJ銀行と業務提携しており日本語窓口があります。
さて、ここで3000枚の紙幣が用意できなければそもそも企画は頓挫です。
たらい回しにされた末に失敗なんてベトナムだとよくある話、果たしてポンと出してくれるのか…。
で、ポンですよ。
担保に入れた訳でもない臓器がジクジクします。
ネルソン「ち、ちなみに…これをまた換金してくれって言ったらどうなの？」
窓口 「できればやめてほしい」
ですよねー。
ガチッと固められた3000枚の500ドン、合わせて150万ドン。
ちなみにこの金額の価値については、最後に書きます。
在住者の方は知っているだろうけど、知らない人はお楽しみにそのままで。
そして、ここからの作業が意外に大変だった。
何しろベトナムはシャワー文化なので、バスタブのある家庭が本当に少ない。
結果見つかったけど、3000枚の札束を用意してバスタブが見つからないので企画頓挫とか悔しすぎる。
さっそく札束風呂！…の前に札束であそぼう！
撮影に日本人の友人（登場しないので名前は出さない）と、ベトナム人のHungさんを呼びました。
Hungさんは、休日に換金を手伝ってもらう予定だったものを「よく考えたら休日閉まってんじゃねーか」と思って中止にしたんだけど、札束風呂に写真がツボにハマったHungさんから「間近で見てみたい」というリクエストをもらったので是非にと来てもらいました。変わってる。と、私が言うセリフじゃないか。
さて、苦労して用意した札束とバスタブだけど、一度解いてしまうと札束ではなくなってしまう。
そこで、束の状態であるうちに遊べるだけ遊んでおきたい！
札束があると何ができるか！
札束があると…
頬をはたくどころか殴ることができる！
札束があると…
ゴッドファーザーごっこができる！（イメージ）
札束があると…
ドカッ
ス…
Hungさん「こ～～んなもんまでもってやがった」
Hungさん「今じゃケツをふく紙にもなりゃしねってのによぉ！」
北斗の拳ごっこができる！（第一話7ページ参照）
今になって思い返せば、Hungさんが来てくれて本当によかったと思います。
でももう十分なので、札束風呂に入ります。
友人宅のバスタブに、札束の湯張りをします。
これが…。
シュールという言葉以外の何で形容できようか。
風呂とは、身にまとうものを全て脱いで生まれたままの姿になる場所。
そう考えると、社会に生きる上で必要となるお金とは対極に値するものなのかもしれません。
何にせよバラさなければ始まらない！
ネルソン「ハサミを入れまして…と、」
札束 「ドン！！」
ネルソン「うわ！？」
札束を固めていた紐を切るや否や、バスタブ全体が「ドン！！」と響きました。
そして、紐が解けた札束が倍近く膨らんでいます。
1000枚ともなると塊として留めていた張力がとんでもないようです。
ネルソン「バラすぞ～」
ネルソン「おっと、その前に折角だから並べてみよう！」
ネルソン「よいしょ…と」
やべぇ…
3000人のホーチミンの眼差しがやべぇ…歳取って丸くなったエージェント・スミスだ。
ネルソン「ほんじゃ、湯もみに入りま～す！」
ここからは画像が大量にあるのでgif動画でお楽しみください。
参考にした他の札束風呂は、そのどれもが程度の差こそあれ「いやらしい笑顔」を浮かべていた。
それは撮影用のつくり笑顔だと思っていた…はずなのに！札束にまみれてみるとどうだろうか！！
なってまうで！
いやらしい笑顔…なってまうでー！！
よし、これで湯もみは終えたと言っていいだろう。
そして指摘される前に言っておきます、3000枚って思ったより少ないんだね。
ドンが円に比べて小ぶりということもあるし、バスタブが欧米サイズだったということもある。
それでも、なんとか半身浴くらいなら出来そうだ！
レッツ、入浴タイム！
ネルソン「…」
ネルソン「流石にこれは怒られるな」
ザバーン！
ネルソン「うわしゃーい！」
ネルソン「あっ」
ネルソン「いかんこぼれた」
ネルソン「ちょっと湯量は少なめだけど、これぞ夢見たリアル札束風呂～！」
ネルソン「…と思ったけど、何かが足りない！そうだ！」
トットットッ…カチャカチャカチャ！
ネルソン「これやこれや～！成功者と言えば高級ワインに高級時計やで～！！」
ネルソン「高級ワインは一本100万円以上するロマネ・コンティ…でなく、ジュース！」
ネルソン「高級時計は一本200万円以上するオーデマピゲ…の、模造品やけどな～！！」
ネルソン「乾季のサイゴンに降る…札束のスコールじゃ～い！！」
ネルソン「最後に、この3000枚の500ドンを日本円に換算すると…」
ネルソン「こちら、」
ネルソン「8,388円になります」
ネルソン「風呂というより、8,388円で買われた感じです」
ネルソン「それでは今回はこのへんで。皆さんの2015年が金運に恵まれますように！」
＊＊＊
今回撮影に使用した150万ドンは、ベトナム日本ビジネスクラブを通じて、地方に住む児童の奨学金などに充てられます。
おまけ～ドン回収シーン～
あと一応言っておくと、ベトナムドンでも最高額紙幣（500,000ドン）3枚で事足ります。