チャットサポートによるユーザーとの関係構築


チャットサポートを試す機会があったのでそのときのことを整理しておきます。
なお、今回は実験なのもあって1人で全て対応する必要があり、数が多すぎると捌き切れない可能性があったので対象者が1日数百人程度になるようチャット画面の表示対象者を調整しつつ実践しました。感想としては以下の3点です。

  • 即時対応が求められるので慣れるまでは心理的に負荷がかかるが、慣れるとメールよりも楽だし確実にファンが増える
  • ユーザーさんと直接話ができる貴重な機会、チャットに慣れてくると簡単なユーザーヒアリングも一緒にできる
  • 事業数値に直結させるのは難しそうだがカスタマーサポートと同様満足度向上には直結する

ちなみに試したのは2014年の11月で、この時は余裕がなかったので一度終了しましたが、現在は人員を割り当ててチャットサポートを再開しています。

今回利用したサービス

今回はzopimというサービスを利用しました。

  • 実験だったのでできるだけ手軽に始めてとりあえず試したい
  • 元々Zendeskを導入していてそこにくっついていた
  • 14日間の無料トライアルがあった

というので他サービスの調査はせずにすぐそのまま利用することにしました。ちなみに話はそれますがZendeskもむかし導入して、1年以上運用していますが初期設定をがんばれば後はそんなに苦労することもありません。ちょっと重いのと、一部UIがイケてないのでエンジニアがたまにバグ報告を見るときなどは不評ですが、自分以外のサポートスタッフは使えていますし今の状態を完全に補完できる代替サービスも見つかっていないのでとりあえずそのまま使い続けています。

積極的な声かけチャットでお互い慣れる

今回のチャットサポートはBtoBサービスのカスタマーサポートの一環で、無料トライアル期間中にユーザーさんがサービスをスムーズに導入できるよう支援することがサポートの目的でした。
導入支援の中でチャットサポートが果たせる役割を考えたときに、メールや電話と比較したときの圧倒的な話しかけやすさ・相談しやすさがポイントかなと思ったので、詰まったときや悩んだときにすぐ話しかけられる相手として認識してもらう必要がありました。

日本ではチャットサポートはあまり一般的ではなさそうだったので、今回はチャットサポートの気軽さを知ってもらうことも一緒に必要そうだと考え、まずは接点を作るべくサポート側から積極的に話しかけるようにしてみました。具体的には、サービスを利用中のユーザーさんの動きを見つつ空気を呼んでサポート側から話しかけ、そうすると右下にzopimのチャットウィンドウが表示されるのでとりあえずなにか一言返事してもらうことを目標に設定しました。

とりあえず実験ということでビクビクしながら試しに話しかけてみていたところ、まずは意外と返事がもらえることがわかりました。
ただ、自分がチャットサポートに慣れていない上に自分も相手も業務中ということを考えて丁寧な言葉遣いと会話を心がけていたところ、言葉選びに疲れるしレスポンス速度が落ちるしで、お互い事務的なやり取りに終始することが多く友好な関係が築けているとは言いがたい状態でした。これは単純に自分の会話力が足りなかったからかもしれませんが…。
一度お話したユーザーさんから再度声をかけられることも少なかったというかほぼ無かったことから、このままでは続かないし効果も出なさそうだと判断し、実験ついでに少し変わったことを試してみることにしました。

かしこまった会話からカジュアルな会話へ

ものは試しで英語圏のメールのやり取りのような、カジュアルな会話を試してみることにしました。
場違いということでユーザーさんの反感を買ったりするんじゃないかとも最初は考えましたが、まあやってみないとわからないしなーというのでとりあえず試してみることにしました。ただしいきなり崩しすぎるのもどうかと思ったので、一言目を「ご利用ありがとうございます。」から「おはようございます!」や「お疲れさまです:)」のような感じにしてみることから始めました。
会話の入りを軽くして、その後の会話も失礼にならない程度に崩しつつ話を続けたところ、固い文章だったころに比べてユーザーさんに反応してもらえる機会が圧倒的に増えました。それまではサポート側からの声かけに数人から反応はあったものの全体からすると非常に少なかったので、一歩前進しました。
またこのとき相手から送られてくる文章も「ご質問よろしいでしょうか。」のような文から「お疲れさまです!」のような同じ温度感の言葉で返してもらえるようになったため、その後の会話も進めやすく、以前の固いやりとりだったころに比べやり取りの中で要望や問題点を教えてもらうことができるようになりました。

結果として全体の会話量が増え、会話の中で問題点や要望の確認ができ、そしてユーザーさんから話しかけてもらう機会も増えたことから、当初の目標だった詰まったときや悩んだときに話しかける相手として認識してもらうことができたのではないかと思います。
またこれは想定していなかったのですが、問題を把握できるだけでなく、それが問題である理由についても会話の中で深く掘り下げて質問することではっきりさせることができたのはうれしい誤算でした。

一応、最初に気にしていたようなユーザーさんの反感を買うようなことも把握している限りでは発生せずに終えられたのでよかったのですが、実際は難しい話や空気的に明らかに場違いなときもあったので、臨機応変に言葉遣いを徐々に軌道修正しつつ(場合によっては相手をほぐしつつ)最終的に違和感のない満足の行く形で着地するよう気をつけていたことが問題発生を防いだ要因かもしれません。
こう書くと高度なことをやっているように見えそうですが、実際はそんなに難しい感じでもなく、懇親会で初対面の人と話すような温度感で会話する感覚に近いです。ガチガチの会話はお互い期待していないので、基本的にはちょっとフランクな方に傾けるくらいがちょうどいいように感じました。

質問を使い分けつつ立ちまわる

チャットの具体的な会話のトピックとしては、ユーザーさんは何か困っていることがあって話をすることが多いのでサービスの不具合報告や要望、サービスの使い方についてなど幅広い質問をもらいました。多くはそこまで深刻では無いのですが、たまに問題があってヒヤヒヤしたり、またチャットに慣れていないユーザーさんは文章が固くなかなか打ち解けられないこともありました。
前者の、問題が発生していた場合には真摯に受け止め、かつ迅速に原因を調査して可能な限り即座に対応したり、それが難しい場合にはすぐ回答することが必要とされていましたが、後者の、チャットに慣れていない方についてはこちらからの質問に工夫をすることで徐々に打ち解けるように誘導しました。 具体的には、まずは長く会話することを心がけてちゃんと会話することを意識しました。そうすると徐々にほぐれていき、最後には距離が縮まった状態で終えることができていました。
そうやって1回でも会話した相手だと、ユーザーさんからもサポートからも話しかけやすくなっていい関係が築けていたように思います。

  • 話しかけた人数
  • 返事をしてくれたユーザーさんの人数
  • 相手から話しかけられた数
  • サポートスタッフの回答速度

チャットサポート単体ではこのあたりを目標にするといいのかもしれません。本当はその先のKPI設定まで繋げたいところですが、当時はそこまで至りませんでした。これをどう直接事業数値に繋げるかは非常に難しいですが、ユーザーさんの満足度向上やファンを増やす手段として考えたときには有効な手段じゃないかなと思います。

チャットサポートはやるべきか

色々と試してみましたが、TPOを意識しつつ即座に対応する必要があったりしてサポートの負担は大きいように最初は感じました。
ただ、2週間くらいやって慣れてくると、メールでのサポートに比べ1会話の負担は少ないことがわかりました。メールだとちゃんとした文章を作る必要があって大変だったり、間違ったことを言ってしまった場合のリスクが大きかったりしますが、チャットはカジュアルに会話してもし間違えた場合は即座に間違いを修正できるので、慣れると負担は少ないです。
これは個人的な感覚ですが、1週間弱でユーザーさんから話しかけられたときのチャット開始アラートに慣れ、2週間でチャット自体に慣れるかなーと思いました。同時に3人くらいまでは大変ですが対応できますし、当時は多くて1日20件程度だったので1人で対応できる範囲でした。これくらいの負担で継続的な関係が築けるのであれば、サービスによってはとりあえず試してみる価値はあるんじゃないでしょうか。BtoCサービスだとパンクしそうですが、BtoBサービスはユーザーさんと話す機会も少ないと思うのでオススメです。

あとは、ユーザーさんからすると早く楽に問題が解決でききるのが嬉しいはずなので、チャットのような素早いやり取りの中では実はそんなにかしこまった対応は求めていないのかもしれないですね。サポートはユーザーさんとの接点なのでビシッと回答しないといけない、という先入観を捨ててみるのもいいかもしれません。
また、ユーザーさんと直接話をするいい機会になりました。以上ご参考になれば幸いです。