※平成27年8月11日、参議院『平和安全特別委員会』より
(前略)
本日は新たな資料をお示しを致します。これは統合幕僚監部の私どもが入手した内部文書であります。これは『ガイドライン及び平和安全法制関連法案について』ということで5月の末に作成されたようです。
4月27日に日米両政府は日米防衛協力のための指針、以下新ガイドラインとしますが、18年ぶりの再改定を合意しました。新ガイドラインは集団的自衛権行使、米国などに対する武力攻撃への共同対処を明記するとともに、アジア太平洋地域及びこれを越えたグローバルな協力を打ち出して、地球規模で自衛隊が米軍に協力をし従来の戦闘地域まで行って軍事支援をすることを謳っている。これは日米安保条約の実質的な改定であって、地球規模の軍事同盟への根本的転換だと思います。
こういう大転換を国会での法案審議が行われてもいないのに、アメリカに誓約して来た。これは日本の独立と主権を蔑ろにする異常な対米従属の姿勢だという風に言わざるを得ません。
資料の2枚目を見ていただきたい。『ガイドライン等平和安全法制関連法案の関係にかかる概念イメージ』として、ガイドラインの記載内容に現行法制下で実施可能なもの。現行法制に加えてSDC文書と言われる別紙文書が必要なもの。そして安保法制成立後に実施可能となるものがあることが明示されております。図表の下にこれプレゼンテーションのたぶん原稿が書かれているんだと思うんですが、この説明文書の中にこうあります。
ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されること無く記載されている。
これね、ほんとに率直に書かれているんですね。
大臣、法案が成立しなければ実施できない内容を国会で議論もしないうちに日米合意し発表したことになる。そういうことですね?
中谷防衛大臣
この資料につきまして突然のご指摘でございまして、ご提示をいただいている資料がいかなるものかは承知を致しておりません。
また提示の資料につきましては、少なくとも防衛省と致しましてこれまで公表した資料にあるとは承知をしておりません。
どういった経緯によって入手されたものであるか明らかでない限りは、真贋や位置づけについて即答することは困難でございます。
中谷防衛大臣
事前の通告無く提出された資料でございまして、確認するのに時間がかかりましたけれども、同じ表題の資料は存在致します。
ただ、示された資料と同一なものなのか、いろいろ文言も書かれておりまして、細部まで確認、特定するには多少時間がかかるということでございますが、同じ表題の資料は存在するということでございます。
こういうガイドラインと法案の関係を示す重大な文書ですよ、これ。根幹問題ですよ。それを大臣が知らないってこと自体、私大問題だと思うんですよ。
結局この内部文書、私大問題だと思ってるのは、内容で言うとその次のページですが、この統幕内部文書。『ガイドライン及び平和安全法制関連法案を受けた今後の方向性』と、なってるわけですよ。まだ国会の審議の真っ最中ですよ?それを受けた今後の方向性を統幕が議論してるってわけですよ。
中谷防衛大臣
どういう経緯によって入手されたものか明らかで無い限りこの内容について即答するのは困難でございますが、防衛省と致しましてはやはり法案の審議がまず第一でございまして、今部内で実施していることは法案の内容を充分に研究、分析しつつ、現場の隊員にもよりよく理解をしてもらうということが重要でございまして、国会の審議中に法案の内容を先取りをするようなことは控えなければならないものだと考えております。
中谷防衛大臣
この安保法案につきましては国会の審議が第一でございますし、また、法案が成立した後、これは検討を始めるべきものでございます。
ガイドラインにつきましては今年4月に日米間で合意をしたものでございますので、この内容について検討をするということは当然のことだと思っております。
中谷防衛大臣
法案の中身まで踏み込んでいるかどうか、恐らく一般的に法案に書かれたことの理解だと思いますが、しかしガイドラインにつきましては今年の4月に日米間で合意をし公表されたものでございますので、これについて中身を検討するということは防衛省の中としては当然のことだと思っております。
中谷防衛大臣
ガイドラインについては合意されたことでございますので検討はしてもいいと思いますが、法案につきましては現在参議院で審議中でございますので、中身の運用とかの検討におきましては当然法案が通った後の作業になるわけでございます。
しかしながら、この法案の中身はどのような内容であるのか。これは当然担当官庁の職員としては充分認識をするのは当然のことでありまして、この法案の中身、内容等については、当然、組織としては検討するのは当然のことだと思っております。
大臣は先ほど、法案成立後に検討するんだったらいいけれども、中身を前もって検討することはおかしいという風に認められたんですが、この中身にね、ちょっと見てくださいよ。
例えばその次のページ。これは新ガイドラインで新たに設けられることになった同盟調整メカニズム、ACMが常設になることが明記されているんですね。ACM内には運用面の調整を実施する軍軍間の調整所が設置される。
軍軍間ってなんですか?自衛隊と米軍ですから、自衛隊はいつから軍になったんですか?こんな軍軍間の調整所なんてことはガイドラインだってこんな文章無いんですよ?法案にだって無いんですよ。
だから大臣、先ほど仰ったけれども、これはまさに法案は成立する前提でその後のことを検討している文書じゃないですか?
一番端的なのは最後の日程表ですよ。これ見てくださいよ。5月のところに現時点とちゃんと書いてある。8月に法案成立と書いてあるわけですよ。1月にキーンエッジ、これたぶんキーンエッジ16でしょう。それを受けて2月から法施行と書いてある。
他にもたとえばPKOのところ見ますと、これクジ隊が出発をして年明けの2月からは新法制に基づく運用をすると。ということは南スーダンPKOを年明けから今度の法制に基づく運用をするって書いてあるわけですよ。そんなことどこで議論しましたか?
大臣、こんな検討をしているということが許されるんですか?どうなんですか?
中谷防衛大臣
今日突然のご指摘でございますので、ご提示いただいている資料がいかなるものかコメントは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますが、97年のガイドラインの下での計画検討作業については包括的メカニズムを通じて、主として自衛隊と米軍の間の組織である共同計画検討委員会BPCにおいて行う一方、日米安全保障協議委員会2+2が下部組織である防衛協力小委員会SDCが補佐を受けつつ、方向性の提示、作業の進捗の確認などについて責任を有してきたと。
新たなガイドラインの下でも共同作業の策定について、共同作業策定メカニズムを通じて行うことになりますが、ガイドラインに明記されているとおり日米の2+2が引き続き同様の責任を有することには変わりなく、このご指摘には当たらないと、あくまでもガイドラインの合意に基づいた検討でございます。
それからスーダンのPKO、UNMISSについては宿営地の共同防衛に関わる武器使用の権限は法律の施工後に伴い行使可能となる権限、よってスーダンPKOにおいては当該の権限は法律の施行に伴い行使することができるということでございまして、協力訓練等も含めて必要な事項の取り扱いは法案成立後に検討すべきことでございます。
それからこの資料、確たることはまだ申し上げられませんが、この中で平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものについては、法制が成立して以降、施行されて以降実施をするということでございまして、あくまでもこれはガイドラインに対する検討でもありますし、また、防衛省としては法案の内容を充分に研究、分析しつつ隊員によく理解してもらうという上での検討だと認識しております。
これ全く今の説明になってないんですよ。たとえばPKOだって延長を決めた閣議決定、先週の金曜日じゃないですか?先週の金曜日に閣議決定したんですよ。だから8月の末に終わる予定だったわけじゃないですか。それがもうクジ隊ということで書かれてるわけですよ。それが現行、新法制の下で運用するって書いてあるわけですよ。
それからガイドラインの具体化だって、これをSDCの文書を発出してもうガイドラインの要するに今の答弁で言うと防衛協力小委員会の文書作成ももう始まってるということですね?
そして法案成立前に基本計画修正するということもこの後、下の方には書かれてるわけでしょ?これすべて法案の成立を前提とした克明な自衛隊の部隊の編成の計画まで含めて出されてるじゃないですか?こんなことはない。戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。こんなものが出たままで議論なんかできないじゃないですか、この法案の。もうこの法案撤回するしかないですよ。これもうちょっと止めていただきたい。はっきりさせていかないとこれ以上議論できない。