生前にどんな相続対策があるのかを知りたいという方は多いのではないでしょうか?今回は、『生前の相続対策』のポイントをご説明致します。
0.生前の相続対策はポイントとは、
1.節税対策
2.納税資金を準備
3.モメないための対策
4.保有不動産の利用状況の確認
5.まとめ
0.生前の相続対策はポイントとは、
-
節税対策
-
納税資金の準備
-
モメないための対策
-
保有不動産の利用状況の確認
この4つが生前の相続対策が代表例となります。
1.節税対策
(1)アパート・マンション建築
みなさんに最初にご質問します。
あなたは、現金5,000万円を保有しております。
①現金5,000万円を保有したまま、亡くなってしまい現金5,000万円が相続された場合
②現金5,000万円で建物(貸家)を取得してから亡くなってしまった場合
|
上記の2つのケースでは、相続税にどれだけの違いが出るでしょうか?
簡単に説明すると、①よりも②の方が相続税の評価額が30%ダウンします。
現金そのものを保有している場合には相続税評価額を下げることは出来ません。
しかし、現金でアパートを購入し、建物を建設すると、建物の相続税評価額は、現金で持っているときよりも約3割価値が下がります。
建物(貸家)の相続税計算上基礎となる金額 = 建物の評価額 ×(1-30%) |
(例)現金5,000万円で購入した建物の相続税評価額はいくらになるか?
※5,000万円の貸家は100%賃貸物件を前提に説明します。
①現金をそのまま保有していたら相続税評価額は5,000万円
②現金5,000万円で貸家を購入した場合には、
相続税評価額は、5,000万円×(1-30%)=3,500万円
|

これだけでなんと評価額が約3割減に!!
(2)養子縁組をする
養子縁組をすることで基礎控除額が増えます。相続人が1人増えると、基礎控除額が600万円増加します。また、生命保険の非課税枠が増えます。相続人が1人増えると、非課税の枠が一人分の500万円が増加致します。
さらに、相続税の税率が下がります。相続人が増えると、相続人1人あたりの受け取り金額が少なくなります。よって、税率の区分が変わって税金が安くなることがあります。
※養子縁組による注意点
相続税を計算する上での養子の人数には、 一定の制限が加えられております。
⇒法定相続人の数に含めることができる養子の数は一人まで
⇒この場合の法定相続人の数に含められる養子の数は全部で二人まで

(3)土地の活用による相続税評価額の引き下げ
所有している土地が未利用や遊休地の場合には、更地と認定されます。更地として認定された場合には、土地の評価減を受けることができません。それに対して、アパートや、マンション建て、人に貸すことで、『貸家建付地評価』として評価減を受けることが可能となります。仕組みとしては、上記(1)①と同じです。
更地を保有している場合には、しっかりと対策を打つことが大切でしょう。

(4)借入金をする
アパートやマンションを建築する際に、借入金をすると、相続税の計算上、『債務控除』で借入金の全額を相続税の計算上控除することができます。
よって、アパートやマンションを建築する際には、借入をした方が効果的でしょう。
(5)毎年110万円の生前贈与
贈与税は一人が1月1日から12月31日までの間に取得した財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの金額に対してかかります。
取得財産合計 - 110万円 この金額に対して課税されます。
よって、1年間に取得した財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要となります。
110万円の基礎控除は贈与を受ける人ごとに認められます。
たとえば、4人の子供に毎年110万円ずつ10年間贈与し続けると合計4,400万円の財産を無税で贈与することができます。
2.納税資金を準備
相続税を支払うのは相続人である子供たちです。
子供たちが相続税を支払うためには、お金が必要となります。現金を相続した場合には、お金を貰えるために相続税も支払うことができますが、土地や建物を相続した場合には、売却して納税資金を確保するか、納税資金を前もって準備しておく必要があります。
前もって納税資金を準備しておく方法をご紹介します。
(1)早めに子供たちへの生前贈与をしておく。
上記1(4)で説明した内容は納税資金の準備にも最適です。
1年間に取得した財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要となります。このお金を毎年子どもたちへ贈与することで、子供たちは納税資金を準備することが可能です。
(2)納税資金を貯めるために生命保険に加入する
生命保険は、納税資金の準備にとても役に立ちます。
相続のときに、自分が死亡し、妻が保険金を受け取ると、税法上は相続財産とみなされます。受け取った保険金も入れて、相続税は計算されます。
ただし、妻が受け取る保険金のうち、
「法定相続人の数×500万円は非課税」 に、自動的になります。
たとえば、父(あなた)に家族で妻と子供が3人がいる場合
妻と子供3人が法定相続人であるため、500万円×4人の2,000万円までの保険金は、相続財産とみなさなくてもよいこととなっております。
2,000万円を超えた保険金には、相続税が課税されます。
仮に銀行にお金を預けているだけであれば2,000万円には相続税が課税されます。この相続税を課税されないためにも2,000万円の生命保険には入ることで節税をすることもでき、かつ、このお金を納税資金に充てることも可能です。
生命保険には、「終身保険」や「養老保険」など、支払った保険料のうちほぼ100%戻ってくる商品もあります。 保険料は掛け捨てしかないと思っている方も多くいるのですが、その考えは間違っております。もちろんほぼ100%戻ってくる商品であっても死亡したり、病気になったときには、保険金も支払われます。
つまり、支払った保険料がそのまま戻ってきて、かつ節税や納税準備資金となるので、貯蓄型の生命保険は非常に効果的な方法となります。
保険の商品の選び方ですが、必ず終身保険を選ぶようにしましょう。相続で保険を利用する場合の注意点は、相続発生時に必ず保険金が受け取れる保険に加入することです。この条件を満たすことが出来るのは終身保険のみとなっております。
3.モメないための対策
モメないための対策としては、遺言書を作成することが非常に大切です。遺言書の作成をしないと、子供たちが、遺産をめぐり争うケースが非常に多いからです。争いを防止するためにも遺言書を作成す ることが大切になります。遺言書を作成する際に、しっかりと遺産分割協議を行う必要があるでしょう。
遺言書については、こちらの記事を参照ください。
遺産分割協議については、こちらの記事を参照ください。
4.保有不動産の利用状況の確認
相続財産に不動産が含まれる場合には、どのような資産を保有しているのかをしっかり把握しておく必要があります。 不動産の使用用途を居住用住宅・駐車場・貸宅地・貸家(マンション・アパート)などにしっかり分けておくことがまず大事になります。分類する際に、個々の不動産がいくらで売却可能か?相続税評価額はいくらになるか?を確認しましょう。
この確認作業は、専門家でなければ出来ないので、相続専門の税理士か、不動産鑑定士と一緒に見て回りましょう。
また、保有不動産からどれくらの収益が想定出来るかの収益性も計算しておくことが大事になります。
分類が終わり、いくつかを処分しなければならない状況が発生したら、収益性が低いものから売却をすべきでしょう。 収益性が低いものから売却をオススメする理由としては、収益性の高い不動産を残しておいた方が、その後の生活を考えると有用となるケースが多いからです。
また、収益性の低い物件の中には、相続税評価額が高い割に、利用価値が低い物件が多いからです。
5.まとめ
相続税は、生前にしっかり対策を打っておくことで、高額の節税を行うことが可能となります。亡くなってからでは遅いので、早めに対策をうっておくことをオススメ致します。
コメント