【ソウル聯合ニュース】韓国政府が故金大中(キム・デジュン)元大統領夫人、李姫鎬(イ・ヒホ)氏が北朝鮮入りした5日、北朝鮮に対し当局間対話を提案する書簡を送ったものの、北朝鮮側が受け取りを拒否していたことが分かった。統一部の鄭俊熙(チョン・ジュンヒ)報道官が10日の定例会見で明らかにした。
鄭報道官は「政府は8月5日に統一部長官名義の書簡で、北側の統一戦線部長に南北高官級対話を実施し、南北間の相互関心事について包括的に協議するよう提案を試みた」と述べた。
その上で、北朝鮮が上部から指示を受けていないことを理由に10日朝まで韓国側の書簡自体を受領していないと説明。「当局による公式的な対話提案書簡の伝達意思を明らかにし、十分な検討時間を与えたにもかかわらず、北側がこれを受け取りさえしないのは南北関係に対する初歩的な礼儀を欠いている」と遺憾の意を示した。
韓国政府は5日午前に板門店の連絡官を通じ、対話を提案する書簡を送ると北朝鮮に連絡したが、北朝鮮側は受け取りを拒否したという。
韓国政府が李氏の北朝鮮訪問当日に対話提案の書簡を送ろうとしたのは、李氏の北朝鮮訪問を個人的なものと限定し、それとは別に政府レベルの南北対話を再開しようとする目的があったものとみられる。
一方、北朝鮮側は韓国政府による対話の提案が、李氏の訪朝を無意味なものにしようとする目的があると考え、書簡の受け取りを拒否した可能性がある。
李氏と共に北朝鮮を訪問した金大中平和センターの関係者は「訪問翌日の6日に政府の対話提案の事実を知った」とした上で、韓国政府の対話提案は李氏一行を当惑させるものであり、かえって状況を悪くしたと指摘した。
李氏を通じて光復(日本による植民地支配からの解放)70周年を控えた政府の対話提案の計画を伝えた上で、正式に会談を提案していれば、成功した可能性もあったとの指摘について、鄭報道官は「李氏の訪問は個人的な民間レベルの訪問であり、それを通じてこのような公的文書(南北対話提案書簡)を伝達するのは不適切という立場」と述べた上で、李氏による訪朝と対話提案は無関係であると主張した。