また転職した。ノリで転職した。大学卒業後にすぐにマンション販売会社に勤め1日500件のテレアポをこなし、大学で学んだデザインスキルを活かそうとパチンコ屋のデザイン広告会社に入社し、なぜかアダルトビデオの会社に転職してついに1年半で退職した。今まで居た3社は客観的に見ても、けっこう良い会社だと思っていた。従業員の補助や社会貢献とかも形だけじゃなくてちゃんとしている感じだった。ただ同時に、その場所と空気に触れた皮膚感覚として「駄目かもしれない」という感覚もあった。その重圧は、会社からきっぱり手を切ってしまった今も消えてはくれない。
ところである会社に勤めて、将来的に良くなるはずだから、今はつまらないけど耐えようみたいなの、良くなる保証なかったら耐える意味ないのでさっさと諦めて脱出したほうがいいとは誰にでも言っている。その将来的によくなるだろう的な「未来的観測」に裏切られたとき人は引きこもったり病気になったり電車に飛び込んだりするんだろうと思っている。そもそも二十歳を過ぎて「会社が良くなるかどうか」みたいなのがどの程度自分がコントロール可能なのかを知る必要はある。悩むな。他人に相談するな。そもそも転職を引き止める一番の原因が「頑張っちゃった自分への裏切り」みたいな謎の罪悪感であると感じた。そして悔しさであった。
新卒3年間のうちはサイコロは何度でも振れる
間もなくして「描いていたイメージと、まったく違っていた」「自分はこの仕事に向いていないんじゃないか」などと思うこともある。学生時代の情報収集にはやはり限界があるし、実際に入社してみないとわからない部分も多いので就職活動を終えて最初に入った会社は殆ど運試しに近いと思った。だがサイコロの振り直しは若いうちならば何度でも効くと思っている。「嫌なことから逃げる気持ちで転職しても、次の会社で同じように逃げるのでそういう人は最終的にはキャリアを壊す」というアドバイスを何度も貰ったことがあるが、全くそんなことは感じないし、こういう意見はどうかと思う。無論その彼は転職経験は無い。
一番危惧するべきは、逃げないと心や体を壊して取り返しがつかなくなる恐れだ。転職の理由が「逃げ」であることで悪いことなんてひとつもない。ステータスの振り直しは何度でもできるし、しかも無料だ。履歴書に職歴が増えるというオマケ付き。そういうことに後ろめたさを感じるならアンタは真面目すぎる。そのくらい大学の授業をまともに受けられたら良かったのにな。いつも企業にとっては採用者の能力なんてある一定水準を超えてさえいれば割とどうでもいい。それ以上に重視されるのが「その会社でその人はうまくやっていけるのか」という要素だ。
会社は演劇の舞台であり劇場である
嫌いな上司、苦手な上司、性格が悪い上司。居るかもしれない。あなたの上司も、生まれながらにしてあなたの上司だったわけではない。当たり前のことだが組織で働いていると見過ごされがちなことだ。会社というコンテキストに長くいると、それがまるで生まれながらの役割だったかのように人は思い始めてしまう。まるでスタンフォード監獄実験だ。
たまたま今あなたが契約している会社で、役職があなたよりも上の立場にあるというだけであり、人間的にあなたより上であるとか、偉いということは絶対にないし、一歩会社を出ればただの人であり、あなたに命令を下したり、あなたのプライベートに意見したり批判したりする権利はない。会社員は会社の構成員であると同時に、対等な契約相手として、会社とは必ず一定の距離を置くように気をつけたほうがよい。言うなれば演劇の舞台である。長である人物に向かって「仕事をしている」くらいのアピールを過剰にする程度だ。少なくとも上司もそうやって乗り切ってきた。偉い人の前で怒鳴りつけたり、わざとどうでもいいことをクソ丁寧に教えこんだりする行動も合点が行く。みんな演技しているから大丈夫だ。声は大きく。
あなたのやりたかったことは何なのか
会社で働く誰もが自己実現とか、表現社会とか、そんなことを思っているわけじゃないだろう。しかるべきプライドと、自分が何かしら意味のあることをしているという意識があればやっていけると思う。もちろんある程度の諦めが伴うのだが、その均衡こそが就職をするということではないのだろうか。それで会社員になったとき「自分は何ができるのか?」ということを考えた時に確信を持てることなんてほとんどないと思う。
第一「俺は社会に貢献してるぞ!!!やりがいがあるぞ!!!」って叫びながら仕事してる奴が居るなら病気だと思う。何度も言うけど、転職は一番最期の選択肢ではないことは念を押しておきたい。最低3年は勤めないと社会では認められないとかいう慣例もクソだし、途中で逃げ出すのは恥とかそういうのはどうでもいい。それこそがベストを尽くした上での選択肢である事を忘れないで欲しい、どうか腐らないで欲しい。あなたのやりたかったことは何なのか思い出して欲しい。
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