現役女子高生起業家が実践する、JK向けマーケティング


起業とは、大人だけのものではない。未成年だって、起業しようと思えばできる。

「10代を、若者を、日本を、そして世界を引っ張っていく存在になりたい」と、2013年に株式会社AMFを立ち上げたのは、現役女子高生起業家である椎木里佳さんだ。ちなみに、椎木さんの父親は、株式会社DLE代表・椎木隆太さん。

現在、椎木さんは女子高生をターゲットとした商品開発のプロデュースやマーケティングサポート事業を中心に行なっている。なぜ部活動より起業を選んだのか、女子高生向けビジネスの特徴などを聞いてみた。

(取材・文:福岡夏樹

毎日夢について話していたら、起業家になっていた


起業したいと思ったのは、中学1年生のときです。当時はいろいろやりたいことがありすぎて「こんなにもたくさんやりたいことがあったら、命がいくつあっても足りないよ!」状態でした。そんなとき、父から「起業というものがある」と教えてもらったんです。一つの会社として、いろんなことができる。それは、私にとってとても魅力的なものでした。

とはいえ、起業のために行動を開始したのは中学3年生のときでした。具体的なきっかけやビジネスプランなどはなく、ただ「今やろう!」と心に火がついたんです。会社の資本金45万円は、私が貯めていたお小遣いと、残りの不足分は父から借金しました。

先輩起業家でもある父の影響はほかにもあります。父は、私が3~4歳のころに脱サラして今の会社を立ち上げました。私が小学校へ入るくらいまではずっと家で仕事をしていたのですが、そんな父を見て「仕事=楽しそう」という印象がありました。小さいころから、働くことに対していいイメージを持っていたのです。

もう一つは、毎朝の会話です。私が小学生のころ、父は毎朝、車で私を学校まで送ってくれていました。そのとき、ほぼ毎日「今日の夢は何?」という話をしていたんです。「今日はお花屋さんになりたい」「今日はタレントになりたい」など、私は毎日、自分が何をしたいのかを父に話した覚えがあります。父は、私が話す夢を決して否定しませんでした。おかげで、自分が「この先、何をしたいのか」を考える習慣がついたように思います。それは、起業した今も生きています。

事業をしながら学校って大変じゃない?とよく聞かれますが、私からすると全然苦に感じたことはありません。「学校が終わったら△△で打ち合わせて、そのあとは…」と予定が詰まっているほうが気持ちが楽です。「部活動みたい」とも言われますが、私にとっては、部活動のほうがキツイ…。部活動というと、一つのことをガーッとやり続けるじゃないですか。それに比べて仕事は、いろんな会社へ行けるし、いろんな人と関わることができます。同じ一日がなく、退屈しません。 そういう意味でも、今のこの仕事は私に合っている気がしています。

女子高生のトレンドは、高速で切り替わる


現在は、女子高生をターゲットとした商品開発のプロデュースやマーケティングサポートを中心とした事業展開をしています。

ほかの世代に比べて、女子高生のトレンドは高速で切り替わります。同じ話題も、一週間持てばいいほうです。最近では特に、SNSの影響もあって、秒単位で次のトレンドへ乗り換えられてしまう印象もあります。

そんな女子高生たちのトレンドを掴むには、独自のマーケティング手法が必要です。そこで、私が2014年に立ち上げたのが、約80人の現役女子中高生で結成した「JCJK調査隊」です。

テレビや大人たちの間で「今、女子高生の間では◯◯が流行っている」と言われていたりしますが、実は、私たちの間ではそれほど支持されていないものもあったりします。メディアが作り上げた虚像が含まれていることが多いんですね。「◯◯が流行っている!」と言われて実際に現役女子高生に聞いてみると「いや…別に?」となったり。だからこそ、本当の声として、現役女子高生である彼女たちに直接聞くことが大切です。

「JCJK調査隊」では、全国にいる約80人のメンバーが「女子中高生としての目線」で商品開発やマーケティングサポートを行います。

たとえば、最近の成功事例として、リクルートジョブスさんから依頼された「パン田一郎」のLINEスタンプのコンサルティングがあります。調査隊のメンバー3人くらいを呼び、「これ、どう思う?」と座談会形式でLINEスタンプ案をランキング付けしたり、アンケートをとったりしました。

LINEスタンプを使用するとき、ほとんどの人は直感で何を使うかを決めています。なので、調査隊メンバーとの座談会でもOKやNGをその場で即決するようにしました。おかげで、パン田一郎のLINEスタンプは1,000万ダウンロードという大ヒットでした。

女子高生文化=マイルドヤンキー文化、になる?


女子高生向けの新規事業などでよく見られるのが、「女子高生はこういうのが好きだよね」という決めつけだけで事業をスタートさせたり、商品開発を進めてしまったりするパターンです。「ハートとか星をつけていればカワイイと思ってくれるはず」なんて大間違いです。「私たちの時代では細眉だったけど、今でもその文化は残っているよね」というのも大間違いです。そんな甘い認識でいると「うざいんだけど?」で終了してしまいます。

女子高生のトレンドを探るには、彼女たちがよく集まる場へ行ったり、彼女たちに支持されている雑誌を読んだりすることも有効です。しかし、前述のとおり、女子高生のトレンドの移り変わりは高速です。

もしもこれから、女子高生向けビジネスを始めるとしたら、キュレーションサイトにせよアプリにせよ、現役女子高生に編集長を務めるなどしてもらったほうがいいと思います。常に彼女たちのトレンドを掴んでおくためにも現役女子高生にジョインしてもらい、アイコンとしてはもちろん、情報を収集&拡散もお願いするというわけです。

余談ですが、最近では、これまでの「東京の女子高生が中心となって流行を発信」だったものが、「地方に住んでいるマイルドヤンキーの流行が都心の女子高生に伝播している」という動きに変わりつつあるように感じます。マイルドヤンキー間での流行の勢いに女子高生たちが押されているような、そんなイメージです。女子高生文化=マイルドヤンキー文化になる日も、そう遠くないかもしれません。



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