辛東主(シン・ドンジュ)元日本ロッテホールディングス副会長(61)=日本名・重光宏之=が28日、ロッテグループの経営権掌握を狙ったクーデターに失敗した。その舞台裏は劇的で緊迫したものだった。
本紙の取材とロッテグループの発表などを総合すると、辛格浩(シン・ギョクホ)総括会長=同・重光武雄=の長男、辛東主(シン・ドンジュ)元副会長は27日、父親を車椅子に乗せ、総括会長の滞在先兼事務室であるソウル・小公洞のロッテホテル34階を抜け出し、金浦空港に直行した。総括会長には長女の辛英子(シン・ヨンジャ)ロッテ福祉財団理事長、甥の辛東仁(シン・ドンイン)ロッテジャイアンツオーナー代行らが同行した。一行はチャーター機に辛総括会長を乗せ、日本に飛んだ。
辛格浩総括会長一行は同日午後、東京に到着すると、すぐに新宿にあるロッテホールディングスのオフィスに直行した。辛格浩総括会長はオフィスに到着するや否や、取締役らに対し、「自分を除く6人の取締役全員を解任する」と宣言した。解任の対象にはロッテホールディングスの共同代表を務める次男、辛東彬(シン・ドンビン)氏(韓国ロッテグループ会長)=同・重光昭夫=や佃孝之社長も含まれていた。
■クーデターの舞台裏
辛東主元副会長サイドは同日、他人が辛格浩総括会長に接触することを徹底的にブロックした。辛格浩総括会長はオフィスを出た後もそこから5分の距離にある自宅には行けないまま、ホテルに滞在した。日本人の妻が知らせを受けて会いに来たが面会できなかった。韓日のロッテグループ全体を支配する日本のロッテホールディングスを父親を盾に掌握しようとした辛東主元副会長の試みは一日もたたずに水泡に帰すことになる。
家族がいる日本に滞在していた辛東彬会長は28日午前9時、正式な取締役会を招集し、適法な決議を経ていない解任命令を違法だとした。取締役会では辛格浩総括会長を日本のロッテホールディングス代表から退任させ、名誉会長に就任させることを決めた。辛東彬会長は取締役会には直接出席しなかったという。
取締役会の直後、新宿にあるロッテホールディングスのビル12階は完全に封鎖された。5カ所ある出入り口にはグレーのシャッターが下り、ドアの前では3-4人の警備員が部外者の立ち入りを制限した。
辛東彬会長は事態が一段落した後、日本のロッテホールディングス関係者に「健康状態が思わしくない父を2日間で2回も飛行機に乗せ、韓国と日本を往来させるなど、家族ならばとてもできることではない」と激怒したとされる。