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 愛知県一宮市で2011年、所属するモデル事務所から撮影の仕事で派遣された女子大生の朝日なつみさん(当時21)が殺害された事件にからみ、安全確保を怠ったとしてモデル事務所「ヴィズミックモデルエージェンシー」(東京)に対し、遺族が約1億円の損害賠償を求めた訴訟が21日、名古屋地裁で和解した。

 遺族側弁護人によると、謝罪や和解金の支払い、社内教育による再発防止策の徹底、安全確保の取り組みの周知などの点で事務所側と合意したという。和解金額は明かしていない。

 訴状などによると、同社は11年8月、整体院経営者を装った男=殺人罪などで懲役27年の判決確定=から「施術用のイメージ写真を撮りたい」と依頼を受け、男の自宅になつみさんを1人で派遣。男はわいせつ行為をしようとしてなつみさんに抵抗され、殺害した。

 遺族は、同社が整体院の実態、撮影内容を十分に調べず、社員を同行させなかった点などに安全配慮義務違反があったと主張。同社は「モデルは個人事業主で事務所は義務を負わない」と争ったが、地裁は昨年11月、両者に和解を勧告。今月、和解案が示された。

 和解条項によると、同社は今後、「モデルの安全確保のための弊社の取り組み」という案内をホームページに掲載。モデル利用を新規で希望する場合は信頼できる他団体などの紹介制にし、事前面談も実施をするという。