邦画オールタイムベストから色々な条件で抜き出してみました。
草葉の陰にいる監督ベストテン
集計条件:逝去した監督の映画の総得票を数える
日本が世界に誇るグランド・マスターたちが集結!
順位 | 名前 | 得票数 |
1位 | 黒澤明 | 254.0 |
2位 | 深作欣二 | 228.0 |
3位 | 岡本喜八 | 130.0 |
4位 | 本多猪四郎 | 115.0 |
5位 | 市川崑 | 81.0 |
6位 | 小津安二郎 | 75.0 |
7位 | 相米慎二 | 70.0 |
8位 | 溝口健二 | 65.0 |
9位 | 川島雄三 | 64.0 |
10位 | 成瀬巳喜男 | 56.0 |
黒澤明は当然の1位。マンガに手塚治虫、アニメに宮崎駿、ニッポンに天皇がいるように映画には黒澤明がいるのです。
実際に「グランド・マスター」として扱われている黒澤明、小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男は全員ランクイン。
そんなグランド・マスターたちよりも高い評価を受けている2位~5位の4人は「観客を楽しませてこそ映画!」という思想が強い監督たちだ。ちょっと凄いのは岡本喜八で、最高位が『日本のいちばん長い日』の27位なのに監督別集計では圧倒的な強さを見せた。
今村昌平と鈴木清順が圏外になったのは驚き。
アライブ監督ベストテン
集計条件:存命の監督の映画の総得票を数える
こいつらの新作に刮目せよ!
順位 | タグ名 | 得票数 |
1位 | 北野武 | 224.0 |
2位 | 園子温 | 138.0 |
3位 | 黒沢清 | 104.0 |
4位 | 宮崎駿 | 98.0 |
5位 | 長谷川和彦 | 98.0 |
6位 | 吉田大八 | 92.0 |
7位 | 鈴木清順 | 81.0 |
8位 | 金子修介 | 61.0 |
9位 | 山下敦弘 | 58.0 |
10位 | 是枝裕和 | 52.0 |
鈴木清順はこっちかよ!さすがにここ10年は映画を撮っていないけど、俳優としてはまだ活躍中で今年も映画に出演もしている。鈴木清順が出ていればそれが清順ワールド。『バキ』で言うところの郭海皇みたいな存在だ。
北野武は監督全体でも深作欣二と4点差で3位だ。映画界に与えた影響では深作欣二のほうが高いとはいえ、北野武は現役バリバリ。北野武が深作欣二を超える日も近い。
みんなの投票を俺が勝手に集計した企画なのであまり文句はつけたくないけれど、園子温が監督全体で4位なのはちょっと受け入れがたい。しかし園子温は今年だけで5本も新作が公開される。これからさらに伸びる監督なのだ。
金子修介の得票の7割がガメラシリーズだった。この監督の魅力は特撮以外だよ!と言いたいが俺も『ガメラ2』に投票した。
平成映画ベストテン
集計条件:1989年1月8日以降に公開された映画
老害よ、これが邦画だ。
順位 | タイトル | 得票数 |
1位 | 桐島、部活やめるってよ | 77.0 |
2位 | ソナチネ | 60.0 |
3位 | 愛のむきだし | 58.0 |
4位 | キッズ・リターン | 44.0 |
5位 | CURE | 41.0 |
6位 | その男、凶暴につき | 31.0 |
7位 | ガメラ2 レギオン襲来 | 30.0 |
8位 | クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 | 29.0 |
9位 | ゆれる | 28.0 |
10位 | バトル・ロワイアル | 27.0 |
10位 | ジョゼと虎と魚たち | 27.0 |
平成元年の『その男、凶暴につき』を始めとして北野武監督作品が三本も入っている。北野武は平成ニッポンを代表する映画監督となった。『ソナチネ』は興行的に大失敗作だったけど、ここまで浸透したか。
意外なのはアニメがたったの一本しか入ってない。平成の日本映画史はアニメが重要な役割を果たしたが、邦画オールタイムベストとなるとアニメが避けられる傾向があるのかも。
最近は女性監督が進出しているとはいえ、邦画オールタイムベストの上位には西川美和(『ゆれる』)しかいないのはちょっと寂しい。
90年代映画ベストテン
集計条件:90年代公開の映画
アラサー・アラフォーの思い出映画。
順位 | タイトル | 得票数 |
1位 | ソナチネ | 60.0 |
2位 | キッズ・リターン | 44.0 |
3位 | CURE | 41.0 |
4位 | ガメラ2 レギオン襲来 | 30.0 |
5位 | GONIN | 23.0 |
6位 | 3-4×10月 | 21.0 |
6位 | リング | 21.0 |
8位 | もののけ姫 | 16.0 |
8位 | スワロウテイル | 16.0 |
10位 | 機動警察パトレイバー 2 the Movie | 14.0 |
80年代ベストテンはキネ旬がやったし(ツィゴイネルワイゼンが1位)、ゼロ年代ベストテンは破壊屋でやった。じゃあ90年代は?ということで90年代だけを集めてみた。
俺が「これぞ90年代!」って感じるのは『CURE』と『スワロウテイル』だなぁ。
『もののけ姫』で宮崎駿が、『ソナチネ』で北野武が世界に大きく羽ばたいたのが印象に残っている。『CURE』『リング』といったジャパニーズ・ホラーの原点にして頂点たちが生まれたのもこの時代だ。まあ本当の原点は『地獄の警備員』と『女優霊』だけど。
奥山和由製作の映画が『ソナチネ』『3-4×10月』『GONIN』と三本もランクイン。松竹奥山体制も90年代の象徴だ。
嬉しいのは5位に『GONIN』があるところ。カネに困った5人の男が暴力団事務所を襲撃する!というのが前半、後半は暴力団が反撃に出るのでメッチャ怖い。バブル崩壊後の日本を描いた傑作だ。それに豪華スターたちが暴力映画で暴れまくっているのが魅力的。
ちなみにこの映画の19年後を描いた『GONIN サーガ』が今年公開される。
一文字映画ベストテン
集計条件:タイトルが一文字の映画
シンプル・イズ・ベスト!サブタイトルだらけの昨今に物申す!
順位 | タイトル | 得票数 |
1位 | 乱 | 7.0 |
2位 | 叫 | 6.0 |
3位 | 顔 | 4.0 |
4位 | 卍 | 2.0 |
4位 | A | 2.0 |
4位 | 首 | 2.0 |
1位は黒澤明の戦国映画『乱』。反乱、内乱、騒乱、混乱といった言葉が含まれていることを観客に想像させる名タイトルだ。
2位の『叫』のタイトルの意味はネタバレになるので省略。
3位の『顔』は指名手配写真の顔を意味するが、人を殺したことで自分の人生を歩み出すヒロインの生命力ある顔を楽しむ映画でもある。
シンプル極まりないタイトルの『A』はオウム真理教や荒木浩を意味する「A」である。
1票しか入らなかったが、他には『馬』『蔵』『剣』『純』『プ』『妹』『哥』『罠』『夢』『侍』があった。