(2015年6月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
地図に載っていない分かれ道に行き着いた旅人のように、ギリシャ政府はまもなく、ユーロ圏にとどまり、さらなる緊縮財政を国民に強いるか、あるいは旧通貨ドラクマへの復帰を余儀なくされるかもしれない債務のデフォルトに踏み切るかという厳しい選択を迫られることになる。
しかし、一部のエコノミストは、第3の道が可能かどうか思案している。
ギリシャ政府が支払い義務を果たすために増税や支出削減を実施することなく、通貨同盟にとどまることを可能にする並行通貨を創設するという道だ。
■そんなの空想だろう?
このような議論は今までは、あくまで仮説だった。だが、ギリシャとその債権者が今月末までに救済プログラムの延長について合意に達しなければ、現実味を帯びてくる。
合意に達しない場合、ギリシャは国内の財源だけを使って国際通貨基金(IMF)に対する15億ユーロの支払いを行わねばならず、デフォルトを回避するために独創的な代替案を探そうとするかもしれない。
■並行通貨はどう役に立つのか?
考えられる1つの方策は、ギリシャ政府が年金受給者や公務員に対する国内の支払いを「IOU(借用書)」で行う一方、IMFや欧州中央銀行(ECB)などの債権者に対する債務返済には税制を通じて徴収したユーロを使う、というものだ。