筑波大学の征矢英昭教授・ラクワールランディープ教授の研究グループは、ラットを使った実験で、軽い運動が効果的に海馬の神経新生を促進することを実証した。この結果は、軽い運動が認知機能の増進に貢献するという仮説を補強するという。
近年、運動が記憶や学習を司る海馬に作用し、新たな神経細胞の産生を促すとともに、記憶力を向上させることが明らかになってきた。
今回の研究では、ラットを安静、低強度(15m/min)、高強度(40m/min)の3群に分けて、5回/週の頻度で、6週間の走行トレーニングを行わせ、海馬の神経新生(海馬歯状回で起る新たな神経細胞の産生)と全遺伝子の発現に与える影響を調べた。
その結果、低強度運動でのみ新生細胞の成熟が促進されること、低強度運動では高強度運動の約1.5倍の数の遺伝子に変化が見られ、それらの大半(93%)が低強度でのみ変化することを明らかにした。
さらに、両運動条件で変化した遺伝子の中から、重要な役割を担う因子の絞り込みを行ったところ、これまでに想定されてきた因子ではなく、タンパク質の合成促進(増強:IGF2、IRS1)、コレステロールの輸送(増強:APOE)、軽度の炎症反応の促進(増強:IL1β、抑制:TNF)に関わる因子が低強度運動による海馬機能と神経新生の促進に寄与する可能性があることが分かった。
研究グループは今後、こうした海馬機能と神経新生の促進に寄与する可能性のある遺伝子が実際に低強度運動による神経新生や記憶保持の促進に寄与しているか否か、遺伝子改変動物や特異的拮抗薬などを用いて検討し、より詳細な機構解明を行っていくことが課題だとしている。
なお、この内容は「PLoS One」に掲載された。論文タイトルは、「Long-term mild, rather than intense, exercise enhances adult hippocampal neurogenesis and greatly changes the transcriptomic profile of the hippocampus」(高強度ではなく、低強度で行う長期の運動トレーニングが海馬の神経新生を促進し、より多くの遺伝子を変化させる)。
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