韓国政府の2030年を目標年限とする温室効果ガス削減案について、産業界や環境団体は失望の色を隠せずにいる。全国経済人連合会(全経連)は、政府が削減目標の基準になる30年の排出予測値(BAU)を8億5060万トンと推定したことについて、「あまりに低過ぎる」と指摘した。
全経連のキム・ジュテ産業政策チーム長は「現在の経済成長率の動向と産業構造を維持すると仮定した場合、BAUは最低でも9万トン以上と試算すべきだ。韓国の産業現場のエネルギー効率は既に世界最高水準にあるため、第1案(15%)の削減も容易ではない」と指摘した。
財界は政府案通りならば、製造業分野が大きな打撃を受けると懸念している。温室効果ガス削減義務化で最も影響を受けると予想される石油化学業界はやや安堵(あんど)している。今回の案が李明博(イ・ミョンバク)政権当時に示された2020年のBAU比30%削減に比べ、目標が緩和されたためだ。
環境運動連合など環境団体は「失望を超え、絶望的な水準であり、韓国に対する国際社会の非難が相次ぐのではないか」と批判した。政府案が国際社会が合意した「後退禁止の原則」に違反するとの指摘だ。環境団体は昨年、ペルー・リマで開かれた第20回国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)で「過去に提示した削減目標から後退した目標を定めてはならない」との多国間合意が成立したと主張している。
韓国政府の4つのシナリオのうち、温室効果ガスの削減量が最も多い第4案を採用した場合、30年の温室ガス排出予測値は5億8500万トンとなる。これは政府が2009年に発表した20年時点での削減目標(5億4300万トン)よりも4200万トン多い。
環境団体はそれを根拠に「政府の削減目標が後退した」と指摘している。これについて、政府関係者は「韓国は温室効果ガス削減義務がない開発途上国で、開発途上国にも後退禁止の原則が適用されるかどうかは断定できない」と語った。