これからの転職。

「これからの企業。」100選

部室長クラスの女性管理職が40%を超えるクックパッド。
「責任と権限の委譲」が、第一線で活躍し続ける女性を育む。

インタビューの様子

投稿日:2015/06/10

お客様のプロフィール

クックパッド株式会社 人事部 部長 丸山 祐子氏

クックパッド株式会社

人事部 部長
丸山 祐子

「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす」という理念のもと、1997年に誕生したのがご存じ、クックパッドだ。今や200万品以上のレシピ、月間のべ5000万人以上のユーザーを抱える、一大レシピサービスを展開する。さらに現在は、特売情報や料理教室など、新規事業・新サービスを積極的に立ち上げ、より多くの生活シーンを支えるインフラへと進化すべく、成長を続けている。料理や生活を事業の中心としていることもあり、女性比率が高い会社であることは容易に想像できるが、実際、管理職として活躍している女性はどれだけいるのか。そして、クックパッドの強さはいったいどこにあるのか。クックパッドの女性管理職のひとりでもある、人事部長の丸山祐子さんに話を聞いた。

部長室長クラスの管理職は、16人中7人が女性に。
そのうちふたりは育児中で管理職の仕事をしています。

三原

本日は宜しくお願いします。早速ですが、今御社の女性比率はだいたいどのくらいですか。

丸山

パート・派遣社員を含めた従業員数で250名を超えており、そのうち正社員は約200名います。全従業員・正社員共に女性比率はおよそ50%くらいですね。

三原

IT企業としては多いと思いますが、やはりご商売柄多いということでしょうか。

丸山

そうですね。初期はもっと女性が多かったときもあったのですが、今はエンジニアの数が80名を超えており、エンジニアはほとんどが男性のため、比率としては下がってきています。もっと女性のエンジニアを増やしたいという思いはあるのですが、そもそも世の中にそれほどいないというところもあるので簡単ではないですね。

三原

ぜひ聞きたかったのが女性管理職比率なのですが、今どのくらいですか?

丸山

部長室長クラスは体制が変わって、現時点では16人中7人になりました。40%を超えたというところでしょうか。

三原

それは多いですね。部長室長クラスに近い方ほど、残業前提で仕事をしてきた方も多いと思うんです。その方たちが結婚や出産を経ると、時間的制約も発生するので仕事のやり方を変える必要が出てくると思うんですが、その辺はいかがですか?

丸山

そうですね。女性部室長7人中2人が育児中なんですが、会社としては、正直手さぐりで進んでいる感じではあります。帰る時間を決めた日は、きちんと定時で帰られている印象です。ただ夜にメールされていたりとかはあるようですね。

三原

ご自宅で、たぶんお子さんが寝た瞬間にメールを見てみる感じでしょうかね。

丸山

そうですね。会社全体では女性の比率が高いこともあって、結婚があり、育児があって、というところを経て働いている事例は複数ありますし、女性が働きやすいように気遣う周りの理解はあるほうかなと思います。

三原

直属の上司が給与の決定権を持っているとホームページに書かれていますよね。わざわざ強調して書いたのはどんな理由があるのですか?

丸山

大企業ですといわゆる評価基準テーブルのようなものがあって決まるのが一般的かと思うのですが、当社の場合は違います。最近は多様な会社からクックパッドに転職する人が増えているので、現状を正しく伝えるため、「そうじゃないんだよ」ということをあらかじめ伝えたほうが良いという考えで書いています。選考段階や入社した後になって「え? 上司が決めるの?」ということにならないようにという配慮です。

三原

なるほど。上司が給与決定者であるというのは良いですよね。ライフステージの関係で働き方が変わったとしても、イコール減給ではなくて上長と働き方や給与を話し合って決められそうですし。ライフステージ変化があると出勤時間にも自由度をもたせていかないといけないとか、色々工夫が必要になってくるかと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

丸山

今、正社員はコアタイムフレックスなんですね。定時が9時30分~18時30分なんですけど、9時30分~15時がコアタイム。ただ個人の事情、例えば妊娠中で満員電車を避けたい等がある場合には、そこを考慮して遅れて出社してもOKという運用をやっています。

三原

なるほど。今後、こういう制度をつくっていこう、というものはありますか。

丸山

そうですね。私が入社したのは3年半前なんですが、そのときはまだ100人規模の会社だったんですね。今は社員数200人、従業員数は250人を超える規模となって、年々制度の見直しが必要になってきていている状況です。ですので今年から300人、500人と大きい組織になっていっても通じるような制度設計をしていきたいなと思っています。
そんな中で特に意識をしているのは、以前に比べても多様な人材が参加するようになっているということですね。

具体的にはエンジニアや営業を始めとした職種もありますし、社員のライフステージもそれぞれ異なっていたりします。
その多様なメンバーに対して、それぞれがプロフェッショナルとして、しっかり活躍できるための制度が必要になります。育児中の女性についても、方針としては働くことを支援する柔軟な制度を提供できるようにしていこうと考えています。

社内発の新規事業は子会社化。
敢えて重みある意思決定を実践させる「責任と権限の委譲」。

三原

いろんな会社さんに話を聞いていると、在宅勤務などで働き方は自由になったけれど、その分責任もセットだという話が多くあります。御社採用サイトにある人事制度ページのトップにも、「1. 責任と権限の委譲」とあるじゃないですか。同じような意志を感じるのですが、これは昔からですか?

丸山

採用サイトをリニューアルしたタイミングで載せたんですけど、このメッセージがより明確になってきたのは穐田が社長に就任した3年前くらいからですね。責任と権限の委譲を徹底しようというのを、繰り返し発信・繰り返し行動で示していて、どんどん任せて行くのです。新規事業も「こういうこと、やってみたい」と本気で提案するメンバーに対して、「やってみたら」とチームをつくる感じですね。
ただし、創業者の佐野の時代も社内の人事システムに全員が責任範囲を書く欄を用意したりしていて、どの部分に責任を持っている人だということが全社的に見えるようにしていたので、もともとそういう考えを持った会社でもありました。

三原

ここ最近、すごく新規事業が増えた感じがありますよね。この新規事業にも責任と権限委譲の考え方は浸透しているわけですね。

丸山

はい、そうです。今では、それなりに形になってきた事業もあります。私が入社した3年半前ですと、いろんなことがこれから始まるのかなというフェーズだったんですけど。今は新規事業の中で大きなものはメンバーの数も増えて収益化も可能になってきています。
ここ最近の動きでは、グループ会社体制というのをもっと強化して進めていこうとしています。社内で生まれた新規事業を切り出して、どんどんグループ会社にしているのです。その意図としては、やっぱり会社の社長としてすべて意思決定をするというのは一事業部の部室長として意志決定するということよりも断然重い。敢えてこうした重みのある意志決定を実践させようと思っています。

三原

確かに。それは全く意味が変わってきますね。

丸山

ただし、社内発のグループ会社の社員は、全員出向で転籍ではないのです。「失敗してもいいから、チャレンジしてきてね」・「片道切符ではないんだよ」ということを強調する意味も込めてこの仕組みになっています。今年の4月1日にもこのオフィスのなかに、グループ会社がいくつかできました。席は特に変わらずで。(笑)

三原

片道切符ではないというところが大事ですね。臆さずにチャレンジできる風土を創り出せる。

丸山

まさに責任と権限の委譲を体現した仕組みですが、実際に色々な機会をもらえる会社です。「クックパッドで働いてキャリアが上がったよね」という言葉を色々な方に言って欲しいですね。クックパッドでしっかりキャリアを高めて外へ出ていくことも応援していますし、キャリアチェンジも最大限応援する。社内でポジションをどんどんつくっていくというのも、併せてやっていくべきと考えています。

三原

責任を求める真剣な機会があるかどうかというのは大きいですよね。それによって、どれだけライフステージが変化してもキャリアを継続できるだけの実力がつくのは確かですから。

明確な理念に徹底したユーザーファースト。
料理という価値が変わりつつある中で、次の成長を見据える。

三原

人事部長の観点から、クックパッドの強さはどんなところにあると思われますか?

丸山

クックパッドは元々の経営理念が明確です。「毎日の料理を楽しみに」という理念に対して深く共感した人だけで構成されているところでしょうか。「ちょっと興味ないわ」とか、「感覚合わないわ」という人はまず参加しない。ですからこの会社に参加するほとんどの人が「生活に役立つサービスをつくりたい」・「ユーザーに実際に使ってもらえるものをつくりたい」とかそういうことを動機に入ってくるんですよ。

三原

なるほど。理念が明確になっているからこそ、動機が明確にある人しか入ってこないと。たしかに読んでみると料理にバシッと絞り込まれた素敵な理念ですよね。
「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす」。

丸山

最近は買物や健康、教育・娯楽とか、料理から派生した生活シーンでの新規事業・新サービスを増やしていて料理だけしかやらないというわけではなくなってきています
全部に対して何が共通しているのかというと、「どのサービスもユーザーを向いたものをつくろう」というのは徹底しているのです。「ユーザーファースト」という言葉をいろいろな場面で繰り返し使っていて、表彰なんかにもユーザーファースト賞があったりもします。この言葉は非常に大切にされていますね。

三原

なるほど。明確な理念もさることながら、ユーザーファーストを徹底していることも大きな強みですね。マネタイズという面ではいかがですか。

丸山

今、クックパッドは売上分類として会員事業と広告事業の大きく2つがあります。会員事業が有料サービスの収入なんですが、広告の売上よりも多いんです。無料で使っていただいている方も多いですけど、やはり有料のところをさらに便利にして、ユーザーのみなさんが「お金を払ってもいい」と思っていただけるようにすることが大切かと思っています。

三原

有料会員登録するようなユーザーに対して、新サービスを考えるのは楽しそうですよね。私なんかは、ここ最近料理を始めたんですけどクックパッドのおかげで料理ができるようになったって思うくらいです。今後のサービスにも、いろんな可能性がまだまだありそうです。

丸山

ええ。でも一方で課題も山積みで。料理を全くしたことがない方にとっては、まずレシピを見るというところが意外にハードルが高いのです。「いや、できないよ」っていう方もいらっしゃいますし、逆に料理をある程度できる方も「もうクックパッド見なくても、料理できるから」ということにもなります。

世の中本当に便利になって、お惣菜やお弁当もどんどん質が上がってきて、その中で料理って何のためにするのかってところも考えていかないといけない。もちろん、自分で料理することの価値は確実にあると思いますが。

三原

確かに料理の価値が変わっていく可能性はありますね。ただ、その料理という新しい意味での存在価値を生み出していくのも、御社のビジョンというかビジネスなのかもしれないですね。本日はありがとうございました。

編集後記

私もいちユーザーとして使わせていただいているクックパッド様に訪問してきました。理念の明確さもさることながら、ユーザーファーストの徹底ぶりは相当なもの。まさに「徹底」とはこのことで、当社の開発部門も見ている私としては大いに学ばせて頂く機会にもなりました。さらに「責任と権限委譲」というのは世の中ではよく聞く言葉ですが、敢えて子会社化して重みのある意思決定を実践させるなど、こちらも「徹底」している。ポイントを絞って「徹底」し続けていくというその力こそが、クックパッドの強さなのではないかと感じました。

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