『ミルトン・エリクソンの心理療法セミナー』を読んだ。
この本は、エリクソン自身の言葉が書かれた、唯一のものらしい。他の本は、エリクソンの弟子が彼の言動から、彼の考えを推測して書いたものらしい。エリクソンは、自分の心理療法に対する体系的な理論を残さなかった。彼はあくまで「治療者」の立場を堅持して、自分の著作を残さなかった。そのため、彼の技術や考え方というのは、わかりにくいものになっているらしい。
この本の内容は、7日間行われたエリクソンのセミナーの記録である。エリクソンは、参加者に催眠誘導を行い、トランスに入れながら、自分の心理療法について述べる。ここで行われている催眠誘導は、「わかる」人たちからすれば、大変すばらしい技術がたくさん詰め込まれているらしい。
彼のアプローチは、無意識に働きかけるものなので、普通の人間には読んでもわからない。なので、僕にはエリクソンの技術のすばらしさはよくわからない。また、エリクソンは身体動作でも誘導するので、活字ではどう彼が動いているのかはわかりにくい。
ただ、彼は催眠誘導の過程で、さまざまな「逸話」を話す。「逸話」を駆使しながら、自分の考え方を参加者に深く埋め込もうとする。この「逸話」は、大部分は彼が治療してきた患者の話である。
彼の「アンコモン」な「セラピー」は、聞く者を驚かせる。たとえば、女性恐怖の若者に、美女と無理矢理デートさせたり、おねしょが治らない子どもに本の書き取りをさせたりする。一見その患者の症状と関係なさそうなことをさせたり、無理矢理に葛藤する状況に追い込んだりして、彼らを治療していく。その逸話は奇跡の物語に見えるが、それは彼の「観察」に基づいて行われる、根拠を持った治療なのである。
エリクソンの「観察」は、科学的なものというよりも、彼の特殊な「直観」に基づいているように見える。彼の天才的な「観察」と、患者の気持ちを正確に読み取る繊細な感覚と、柔軟な発想によって、患者は奇跡的な回復を遂げる。それは「名人芸」であり、他人が模倣することを許さない。彼は彼の技法を直接には伝えない。伝えることを拒否しているかのように思われる。「見て学べ」という態度である。
彼のセラピーは、贅沢なものである。彼は、しばしば患者と一緒に食事に行ったり、友人に患者を預けてみたりしている。長期的に患者と関わり、手紙や電話のやりとりもする。
エリクソンがセラピーにおいて大切にしていたことは、患者には患者の考え方があり、治療者はできるだけそれを尊重すべきだということ。また、その患者が今まで接してもらったことのない接し方をすること。セラピーの目的は、患者の習慣的な行動パターンを変えることにあるとされる。
患者は自己の問題を解決するために、学習することが求められる。エリクソンは、「アルファベットをどうやって覚えたか?」と患者によく問いかける。普通の人は、アルファベットをどうやって覚えたかは忘れている。しかし、確かにある時期に、ある仕方において努力して、人はアルファベットを覚えたのである。そのようにして、エリクソンは、患者に自分が学習する力があるということを思い出させる。
カウンセラーや精神科胃に、「話をちゃんと聞いてもらえなかった」という経験をした人には、エルクソンの心李療法は魅力的かもしれないし、そうでないかもしれない。
518967234
この数字を読んでみてください。そうです。それは心地がいいことです。あなたはこの本を読みたくなるかもしれないし、読みたくないかもしれません。あなたが数をどうやって覚えたか思い出してみてください。それは素晴らしいことです笑
カウンセラーや精神科医を信じない人にオススメです(嘘)
(エリクソン自身は精神科医であった)