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» 2015年06月08日 05時00分 UPDATE

Tech TIPS:「Windows 10を入手する」アプリとは? その概要とタスクトレイに表示させない方法

2015年6月から、「Windows 10を入手する」というアプリがWindows Update経由で配布されている。不要ならアンインストールや表示させない設定が可能だ。その複数の手段を解説。

[島田広道,デジタルアドバンテージ]
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対象OS:Windows 7/Windows 8.1



解説

 2015年6月になって、Windows 7またはWindows 8.1のタスクトレイに、次のようなWindowsのアイコンが表示されて驚いた人は多いのではないだろうか?

6月になって突然現れたタスクトレイアイコン 6月になって突然現れたタスクトレイアイコン
赤線枠のWindowsアイコンは、5月末までは存在しなかったはずだ。右クリックすると、このようにWindows 10関連のメニューが表示される。左クリックすると次のアプリが表示される。

タスクトレイから起動された「Windows 10を入手する」アプリ タスクトレイから起動された「Windows 10を入手する」アプリ
タスクトレイのWindowsアイコンをクリックすると、このウィンドウが現れる。これも6月からの現象だ。

Windows Updateアプレットに「Windows 10が間もなく登場」バナーが表示される Windows Updateアプレットに「Windows 10が間もなく登場」バナーが表示される
これはコントロールパネルのWindows Update。重要な更新プログラムを全て適用済みの場合に、このようなバナーが表示されることがある。

上記のタスクトレイアイコンやアプリとともに現れたプロセス 上記のタスクトレイアイコンやアプリとともに現れたプロセス
これはタスクマネージャーで実行中のプロセス一覧を開いたところ。
  (1)前述のタスクトレイアイコンが表示されているとき、「GWX.exe」というプロセスが常駐しているはずだ。
  (2)前述のアプリが起動されると、「GWXUX.exe」というプロセスが実行中のはずだ。

 ただし、Windows 7/8.1搭載PCであれば必ずこの現象が生じる、というわけではない。例えばEnterpriseエディションのWindows OSでは、この現象は見かけないはずだ。

●「Windows 10を入手する」アプリとは?

 これらは「Windows 10を入手する」というアプリおよびそのタスクトレイアイコンである。ひとことでいえば、Windows 10の無償アップグレードを支援するためにマイクロソフトが用意したアプリで、Windows Updateによってインストールされたものだ。

 このアプリでWindows 10のアップグレードを「予約」しておくと、7月29日から無償アップグレードが始まった後、速やかに当該マシンのアップグレードを始められる(あるいはユーザーが都合のよいときに実行できる)。

 またWindows 10のアップグレードに関するマイクロソフトからの通知を受け取ったり、さらにはWindows 10との互換性を調べて確認したりできる。詳細は次の記事にまとめられているので、参照していただきたい。

●無償アップグレードは2016年7月末まで可能

 Windows 7/8.1からWindows 10への無償アップグレード期間はあと1年以上もあり(2016年7月末まで可能)、まだまだ余裕がある。開始される7月29日以前からアップグレードを焦る必要はない。

 むしろ、デバイスドライバーやアプリのWindows 10対応が進み、アップグレードを成功させるノウハウがある程度確立した後に、落ち着いてアップグレードに取り組む方が、良い結果をもたらすのではないだろうか?

 もしそうであれば、こうしたアプリやタスクトレイアイコンは、今のところは不要だ。そこで本TIPSは、これらをアンインストールしたり、表示させないようにしたりする方法を説明する。

操作方法

 「Windows 10を入手する」アプリやタスクトレイアイコンの表示を止めるには、いくつかの方法がある。それぞれメリット/デメリットがあるので、以下から選んで実行していただきたい。

●KB3035583の更新プログラムをアンインストールする

 「Windows 10を入手する」アプリをインストールしているのは、「KB3035583」というKB番号の更新プログラムである。従って、この更新プログラムをアンインストールすると「Windows 10を入手する」アプリもコンピューターから削除され、タスクトレイアイコンともども表示されなくなる。

 この更新プログラムをアンインストールするには、コントロールパネルの[プログラムと機能]アプレットを用いる。

KB3035583の更新プログラムをアンインストールする(その1) KB3035583の更新プログラムをアンインストールする(その1)
これはコントロールパネルの[プログラムと機能]を開いたところ。
  (1)左側メニューの[インストールされた更新プログラムを表示]をクリックする。
KB3035583の更新プログラムをアンインストールする(その2) KB3035583の更新プログラムをアンインストールする(その2)
これはインストール済み更新プログラムの一覧画面。
  (2)検索欄に[KB3035583]と入力する。必ず先頭に「KB」を付けること。
  (3)検索によって見つかったKB3035583の更新プログラム。
  (4)右クリックして[アンインストール]をクリックする。あとは指示に従ってアンインストールを完了させる。

 アンインストールが完了したら、再びWindows Updateによってインストールされないように設定しておく。それにはコントロールパネルのWindows Updateアプレットで左側メニューの[更新プログラムの確認]を実行した後、次の手順でKB3035583の更新プログラムを「非表示」にする。

KB3035583の更新プログラムがWindows Updateによって再インストールされないようにする KB3035583の更新プログラムがWindows Updateによって再インストールされないようにする
これはコントロールパネルのWindows Updateアプレットで適用可能な更新プログラム一覧を開いたところ。
  (1)KB3035583が[重要]と[オプション]のどちらにリストアップされるかは、Windows Updateの設定に依存する。一方を探して見つからなければ、他方も確認しよう。
  (2)「KB3035583」というKB番号を頼りに、この更新プログラムを探し出す。どうしても見つけられない場合は、いったんWindows Updateアプレットに戻って左側メニューの[更新プログラムの確認]を実行してから、再度探してみよう。
  (3)右クリックして[更新プログラムの非表示]をクリックする。

 この方法だと、冒頭に記したWindows Updateアプレットの「Windows 10が間もなく登場」という大きなバナーも表示されなくなる。

 その一方で、いざ「Windows 10を入手する」アプリを使いたくなったときは、Windows Updateによってインストールされるのを待たなければならない(執筆時点ではKB3035583のオフラインインストーラーは配布されておらず、手動でインストールすることは困難だ)。

 実際、筆者が試した1台のコンピューターでは、KB3035583をアンインストールしたところ、適用可能な更新プログラムのリストにKB3035583が全く表示されなくなってしまった。

●レジストリの設定を変更してタスクトレイの常駐を止める

 「Windows 10を入手する」アプリはインストールしたまま、邪魔(?)なタスクトレイの常駐を止めたい場合は、レジストリの設定を変更する必要がある。

[注意]

レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリエディターの操作は慎重に行うとともに、あくまでご自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本Windows Server Insider編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。


項目 内容
キー HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Gwx
値の名前 DisableGwx
値の型 DWORD
値の内容 「1」→「Windows 10を入手する」タスクトレイを無効化
値そのものが存在しない→「Windows 10を入手する」タスクトレイが常駐
「Windows 10を入手する」タスクトレイの常駐を止めるためのレジストリ設定

 コマンドラインで設定するには、管理者権限のあるコマンドプロンプトを開いて、次のコマンドラインを実行する。

reg add HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Gwx /v DisableGwx /t REG_DWORD /d 1 /f



 その後、いったんログオフ(サインアウト)してからログイン(サインイン)し直すかシステムを再起動すると、タスクトレイアイコンが表示されなくなり、プロセスリストからGWX.exeも消えるはずだ。

 ただ、この方法だと、Windows Updateアプレットには依然として「Windows 10が間もなく登場」という大きなバナーが表示されることがある。

【やって分かった】「Windows 10を入手する」タスクトレイアイコンを表示させない他の方法は?

やって分かった

 本TIPSの執筆時には、本文に記した2つの方法の他にも試したことがある。ただ、無視できないデメリットがあったため本文には載せなかった。何かの参考になるかもしれないので、いちおう以下に記しておく。

■タスクトレイの設定を変更してアイコンと通知の表示を止める

 普段利用しないタスクトレイアイコンは、専用のポップアップウィンドウにまとめておくことで、通知も含めてタスクバーに表示させないようにできる。

タスクトレイで「Windows 10を入手する」アイコンとその通知の表示を止める タスクトレイで「Windows 10を入手する」アイコンとその通知の表示を止める
これはWindowsのタスクバー端にある通知領域(タスクトレイ)。
  (1)タスクトレイにある上向き三角形のアイコンをクリックする。
  (2)ポップアップしたウィンドウの[カスタマイズ]をクリックし、「GWX Windows 10を入手する」という項目で[アイコンと通知を非表示]を選ぶ。

 ただ「Windows 10を入手する」タスクトレイアイコンの場合、再ログオン(サインイン)またはシステムの再起動によって、ふたたびタスクバーに現れるようになる。そのため、あまり実用的とは言えない。

■「Windows 10を入手する」タスクトレイを起動するタスクを無効化する

 KB3035583の更新プログラムがインストールされると、関連のある複数のタスクがタスクスケジューラに登録される。そのうちの2つを無効化すると、「Windows 10を入手する」タスクトレイアイコンが起動されなくなった。

「Windows 10を入手する」タスクトレイを起動するタスクを無効化する 「Windows 10を入手する」タスクトレイを起動するタスクを無効化する
これはコントロールパネルの[管理ツール]から起動したタスクスケジューラの画面。以下の設定には管理者権限が必要だ。
  (1)左ペインで[タスク スケジューラ ライブラリ]−[Microsoft]−[Windows]−[Setup]−[gwx]を選ぶ。
  (2)「launchtrayprocess」と「refreshgwxconfig」という2つのタスクが登録されているはずだ。両方とも選択してから右クリックする。
  (3)[無効]を選ぶと、(2)の2つのタスクが無効化される。

 筆者が試した限りでは、再ログイン(サインオン)やシステムの再起動でも、タスクトレイアイコンが表示されることはなかった。

 ただし、こうしたシステムが登録したタスクは、何かの拍子に自動で復旧される(再び有効化される)ことがよくある。またマイクロソフトが推奨している方法でもない(副作用があるかもしれない)。そのため、こちらもあまりお勧めできない。


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